ARTISTS
OZ-尾頭-山口 佳祐
絵画・パフォーマンス
動画提供 © PARK HOTEL TOKYO / creative unit moon
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《ひとうみ -鎮-》2018年
日本語テキストで読む
Read in English Text
ひとうみ
ヒトはどこからきたのか
大地から木のように隆起してきたのか
海から川へ流れるように湧き出てきたのか
記憶が定かでないながらも
古来より私たちは万物にカミが宿ると信仰を続けてきた
身近であったその物語も
いつの日か存在が擦れてきているように感じる
長い道のりの中で
何か大切なものを置き去りにしているのかもしれない
アニミズムの思考や神道の描写は
具体的な姿・形を持たない曖昧さを秘める
私たちの根底にある
〝見えないものが見える 聞こえないものが聞こえる〟
といった曖昧さを受容する為に
ヒトは人格化された描写を見出しながら
表現することをより豊かに発酵させてきたのかもしれない
人が生み出すもの
人を生み出すもの
ヒトなのか、カミなのか、それとも何なのか
ひとうみの瞬間、そのモノガタリを
清き水と深い山々に恵まれた、ここ安曇野で綴りはじめてみよう
ヒトはどこからきたのか
大地から木のように隆起してきたのか
海から川へ流れるように湧き出てきたのか
記憶が定かでないながらも
古来より私たちは万物にカミが宿ると信仰を続けてきた
身近であったその物語も
いつの日か存在が擦れてきているように感じる
長い道のりの中で
何か大切なものを置き去りにしているのかもしれない
アニミズムの思考や神道の描写は
具体的な姿・形を持たない曖昧さを秘める
私たちの根底にある
〝見えないものが見える 聞こえないものが聞こえる〟
といった曖昧さを受容する為に
ヒトは人格化された描写を見出しながら
表現することをより豊かに発酵させてきたのかもしれない
人が生み出すもの
人を生み出すもの
ヒトなのか、カミなのか、それとも何なのか
ひとうみの瞬間、そのモノガタリを
清き水と深い山々に恵まれた、ここ安曇野で綴りはじめてみよう
HITOUMI
Where did humans come from? Did we rise from the ground like trees? Did we well out just as water flows from the rivers to the oceans? While we do not remember precisely, from ancient times, we have been worshipping everything as if it hosted gods.This familiar story of gods, which had been so much a part of us in days of old, seemed to fade away over time.In the long way, perhaps, we have left behind something important.The ideas of Animism and depiction in Shinto conceal something ambiguous, which lacks concrete form and shape.We feel at the bottom of our heart that, “we see the things which cannot be seen, and hear the things which cannot be heard.”In embracing these ambiguous senses, humans may have richly fermented new ways of expression while seeking personified representation.What do humans create? Who creates humans? Are they humans? Is it a god? Or, something else? I would like to begin depicting my story about the moment of HITOUMI, from here in Azumino, which is endowed with clear water and dense mountains.
Where did humans come from? Did we rise from the ground like trees? Did we well out just as water flows from the rivers to the oceans? While we do not remember precisely, from ancient times, we have been worshipping everything as if it hosted gods.This familiar story of gods, which had been so much a part of us in days of old, seemed to fade away over time.In the long way, perhaps, we have left behind something important.The ideas of Animism and depiction in Shinto conceal something ambiguous, which lacks concrete form and shape.We feel at the bottom of our heart that, “we see the things which cannot be seen, and hear the things which cannot be heard.”In embracing these ambiguous senses, humans may have richly fermented new ways of expression while seeking personified representation.What do humans create? Who creates humans? Are they humans? Is it a god? Or, something else? I would like to begin depicting my story about the moment of HITOUMI, from here in Azumino, which is endowed with clear water and dense mountains.
《ひとうみ -祀-》2018年
《ひとうみ -畏-》2018年
《擬音態画伝 そより》2017年
《三十三応現身波図 –明日への精神-》2016年
《昇華 -sublimation-》2017年
NEWS
OZ-尾頭-山口 佳祐の関連情報
2018
12/01
(土)
Profile
プロフィール
AWARD
おもな受賞歴
- 2016
- RONIN-GLOBUS ARTIST IN RESIDENCE PROGRAM 最優秀賞(アメリカ、ニューヨーク)
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2011
- 大絵馬『御柱祭行列図』奉納(武井神社/長野市)
- 2013
- 大絵馬『千歳宮秋季例祭神輿渡御図』奉納(千歳の宮/長野市)
- 2014
- 国際アートフェスティバル(アイスランド)
『善光寺参り絵解き図』制作(長野市)
- 2015
- 「OZ-尾頭-山口佳祐展」(ギャラリー82/長野市)
国際アートフェスティバル(トルコ)
- 2016
- 大絵馬『東区観音堂今昔絵図』奉納(東福寺東区観音堂/長野市)
「OZ-尾頭-山口佳祐展-あい My 味-」(gallery151A/東京都、中央区)
- 2017
- ライブペインティング・作品展示(メキシコ)
パフォーマンス・個展(フランス)
「mono OZ-尾頭-山口佳祐展」(AIN SOPH DISPATCH/愛知県、名古屋市)
「MONO OZ-Yamaguchi Keisuke Solo Exhibition」(Museo Taller Luis Nishizawa/メキシコ)
- 2018
- 「やをらもの OZ-尾頭-山口佳祐 個展」(PARK HOTEL TOKYO Corridor Gallery 34/東京都、港区)
COMMENTARY
学芸員の解説
日本語テキストで読む
Read in English Text
そこに潜む何かを探り、描く
OZこと山口佳祐は、いつでも、そしてどこでも描きたいものを的確に描き出す。祭りでの即興表現、神社や店舗での制作、浮世絵、広告デザイン…。現代の生活のなかで求められる絵画を、伝統的な描き方を重んじながら制作する、まさに現代の絵師である。
OZは幼少期、北斎や水木漫画に憧れ、絵を繰り返し写すことで身体に線や形を刷り込んでいった。10代で抽象表現に出会い「円」をひたすら描く。この頃から魔法使いなどにちなみ〝OZ〟を使いはじめた。20代でその場で得たイメージを自由自在に描き上げるライブパフォーマンスに没頭。地方を行脚し「その場で仕上げる」ことに自分を追い込んだ。その後、我孫子の芸術祭で円や三角形をモチーフに抽象作品を発表し、海外での滞在制作のチャンスを得る。そこで「私は一体何者か?」と立ち止まり、日本人の「おくゆかしさ」に彼は気付きはじめた。
2011年、長野市の神社の大絵馬制作が大きな転機となる。〝自由自在に描くこと〟が彼の表現であったのに対し、歴史や文化を〝よりわかりやすく伝える〟ことに目覚めたのだ。すると日常の行事や神事への意識が強く働き、自らの生まれや先祖への敬意が生まれたという。
彼は今「おくゆかしさ」をテーマに、懐から湧き上がる生や死、神事への興味などを大小さまざまな作品にして発表している。《擬音態画伝 そより》は擬音語や擬態語から連想した人物シリーズの一点である。不気味なほどに人物の佇まいが緻密に表されながら、人物には顔がない。顔を描かないことで、はっきりと形にならない人間の心模様を表象しているのだ。
彼は空間やその場に宿るものを察知しイメージを素早く画面に仕上げることを武器にしてきた。さらに絵に妥協しない真摯な制作姿勢と人間への興味とが重なり合って、あらゆる場面で表現の可能性に挑戦し続けている。「シンビズム」では安曇野に潜む何かをどう捉え、新たに表現してくれるかとても楽しみにしている。
OZは幼少期、北斎や水木漫画に憧れ、絵を繰り返し写すことで身体に線や形を刷り込んでいった。10代で抽象表現に出会い「円」をひたすら描く。この頃から魔法使いなどにちなみ〝OZ〟を使いはじめた。20代でその場で得たイメージを自由自在に描き上げるライブパフォーマンスに没頭。地方を行脚し「その場で仕上げる」ことに自分を追い込んだ。その後、我孫子の芸術祭で円や三角形をモチーフに抽象作品を発表し、海外での滞在制作のチャンスを得る。そこで「私は一体何者か?」と立ち止まり、日本人の「おくゆかしさ」に彼は気付きはじめた。
2011年、長野市の神社の大絵馬制作が大きな転機となる。〝自由自在に描くこと〟が彼の表現であったのに対し、歴史や文化を〝よりわかりやすく伝える〟ことに目覚めたのだ。すると日常の行事や神事への意識が強く働き、自らの生まれや先祖への敬意が生まれたという。
彼は今「おくゆかしさ」をテーマに、懐から湧き上がる生や死、神事への興味などを大小さまざまな作品にして発表している。《擬音態画伝 そより》は擬音語や擬態語から連想した人物シリーズの一点である。不気味なほどに人物の佇まいが緻密に表されながら、人物には顔がない。顔を描かないことで、はっきりと形にならない人間の心模様を表象しているのだ。
彼は空間やその場に宿るものを察知しイメージを素早く画面に仕上げることを武器にしてきた。さらに絵に妥協しない真摯な制作姿勢と人間への興味とが重なり合って、あらゆる場面で表現の可能性に挑戦し続けている。「シンビズム」では安曇野に潜む何かをどう捉え、新たに表現してくれるかとても楽しみにしている。
塩原 理絵子 (安曇野市豊科近代美術館)
To Sense Things Harbored in Places and Depict Them
YAMAGUCHI Keisuke, also known as OZ, paints precisely whatever he wants, including improvised works for festivals, commissioned works for shrines or stores, Japanese wood block prints “ukiyoe,” advertisement designs, and so on. OZ is a contemporary artist, or “eshi,” who paints works of art for use in daily life, while remaining true to the traditional way of painting. OZ’s talent lies in his ability to absorb the unique atmosphere of a particular vicinity and reflect his images of it quickly in his paintings. Moreover, he attaches importance to abstract expressions and depicting historical events on large votive wooden tablets called “ema.” At this exhibition of Shinbism, he will entice us with his current interests in self-expression based on “life and death” and animism.
Shiohara, Rieko (Azumino Municipal Museum of Modern Arts, Toyoshina)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
安曇野市豊科近代美術館
中信エリア
- 住所
- 〒399-8205
長野県安曇野市豊科5609-3
- 電話番号
- 0263-73-5638
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 月曜(祝日除く)・祝日の翌日休
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております