ARTISTS
伊藤 三園
切り絵
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《睡夢》2018年
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私は切り絵と木版画というふたつの技法を使って制作を行っています。
切り絵では大きなテーマを設けず、その時の気持ちで自由に制作をおこない、木版画の作品では周りの人との関わりから感じた気持ちの揺れなどを主なテーマに制作をしています。
雰囲気の違う切り絵と木版画の作品のどちらにも根底にあるのは信州で過ごした10代の日々です。
大学進学で東京に出てきたとき、せかせかと時間に追われ同じ毎日を淡々とこなすような感覚に息苦しさを覚え、自然とともに暮らしていく何気ない日々がかけがえのないものであると気づきました。
季節の移ろいで変わる風のにおいや、周りを取り囲む山々の変化、次々と咲き誇る草花、虫の音色や、動物たちの姿…。
この情景や経験をそのまま作品としてかたちにはしませんが、エッセンスとして少しずつ落としこみ、故郷での暮らしのようにゆったりとした時間の流れや安らぎを感じるような作品を目指して制作を続けています。
切り絵では大きなテーマを設けず、その時の気持ちで自由に制作をおこない、木版画の作品では周りの人との関わりから感じた気持ちの揺れなどを主なテーマに制作をしています。
雰囲気の違う切り絵と木版画の作品のどちらにも根底にあるのは信州で過ごした10代の日々です。
大学進学で東京に出てきたとき、せかせかと時間に追われ同じ毎日を淡々とこなすような感覚に息苦しさを覚え、自然とともに暮らしていく何気ない日々がかけがえのないものであると気づきました。
季節の移ろいで変わる風のにおいや、周りを取り囲む山々の変化、次々と咲き誇る草花、虫の音色や、動物たちの姿…。
この情景や経験をそのまま作品としてかたちにはしませんが、エッセンスとして少しずつ落としこみ、故郷での暮らしのようにゆったりとした時間の流れや安らぎを感じるような作品を目指して制作を続けています。
I create my work using the techniques of papercutting and wood block printing.
While papercutting, I create by allowing my feelings to be released freely without creating a main theme.
In wood block printing, I set the main theme by following the vibrations I experience through my interactions with people around me.
However, though my papercutting and wood block printing create different atmospheres, they both essentially depict my adolescence spent in Shinshu.
Since moving to Tokyo to attend university, I felt suffocated looking at people pushed for time and living their busy lives indifferently. I came to realize how precious ordinary life in the countryside is.
The smell of the wind which varies by season, the change of color over the mountains around us, plants flourishing one by one, the buzz of insects and figures of the animals...
I would like to continue creating my art, by way of conveying only the essence of the scenery and my experiences indirectly, instead of depicting them realistically, so that those who view my work feel relaxed and comfortable as if they are living a tranquil life in my native countryside.
While papercutting, I create by allowing my feelings to be released freely without creating a main theme.
In wood block printing, I set the main theme by following the vibrations I experience through my interactions with people around me.
However, though my papercutting and wood block printing create different atmospheres, they both essentially depict my adolescence spent in Shinshu.
Since moving to Tokyo to attend university, I felt suffocated looking at people pushed for time and living their busy lives indifferently. I came to realize how precious ordinary life in the countryside is.
The smell of the wind which varies by season, the change of color over the mountains around us, plants flourishing one by one, the buzz of insects and figures of the animals...
I would like to continue creating my art, by way of conveying only the essence of the scenery and my experiences indirectly, instead of depicting them realistically, so that those who view my work feel relaxed and comfortable as if they are living a tranquil life in my native countryside.
《巡る季節》2017年
《育むいのち》2017年
《つかの間の夢》2018年
NEWS
伊藤 三園の関連情報
2018
11/18
(日)
EVENT辰野美術館伊藤 三園
13:30~15:00
このイベントは終了しました伊藤三園「ゆらゆらモビールを作ろう!」
[南信会場] 参加費無料。2018/11/15(木)までに事前申込必要。
詳細を見る
Profile
プロフィール
伊藤 三園ITO Misono
切り絵
- 1994
- 長野県伊那市高遠町生まれ
- 2012
- 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻卒業
- 2018
- 同大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻版画研究領域修了
AWARD
おもな受賞歴
- 2013
- 第9回べラドンナアート展入賞
- 2017
- 大細密展2017優秀賞
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2013
- 公募展「第9回べラドンナアート展」(東京都美術館/東京都)、選抜展「ベラドンナ新鋭作家展」(アモーレ銀座ギャラリー/東京都)
- 2014
- 「現役美大生 伊藤三園の切り絵」(東急ハンズ池袋店)、グループ展「切り絵8人展」(アモーレ銀座ギャラリー/東京都)、個展「伊藤三園切り絵展−Re:fresh−」(オヒサマの森/長野県)
- 2015
- 「新進気鋭の切り絵作家 伊藤三園切り絵展」(東急ハンズ池袋店)
- 2016
- 「東京五美大連合卒業・修了制作展」(国立新美術館/東京都)、「多摩美術大学絵画学科版画専攻卒業制作展」(文房堂ギャラリー/東京都)、グループ展「四美神」(八犬堂ギャラリー/東京都)、「多摩美術大学大学院版画研究領域1,2年合同展示−connect−」(文房堂ギャラリー/東京都)、「紙々のアート展」(伊勢丹新宿店)、個展「ゆめの追憶」(DESIGNFESTA GALLERY /東京都)、グループ展「切る彫る成せる展」(DESIGNFESTA GALLERY/東京都)
- 2017
- グループ展「ときめきの予感展」(ミレージャギャラリー/東京都)、公募展「大細密展2017」(アートコンプレックスセンター/東京都)、企画展「谷にふく風−伊那谷12人の作家展−」(信州高遠美術館/伊那市)、「KENZAN2017」(アレーナホール&サロン/東京都、二子玉川)
- 2018
- グループ展「鉱石展」(DESIGN FESTA GALLERY/東京都)
COMMENTARY
学芸員の解説
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光と影の交わり
伊藤三園の切り絵の世界は、ほとんどの場合小さな黒い紙の画面に繊細な表現で作品を作る。15歳の頃から独学で切り絵の制作をはじめる。
植物、動物、人物をモチーフにした小さな作品のなかにひとつの思いが表出しているもの、また作者の幼い頃の思い出やひとりの女性としての思いが込められた切り絵と木版画の≪育むいのち≫や≪つかの間の夢≫のような作品もある。
生まれ育った故郷の身近に感じる風景、光や音、おもかげが、緻密なモノトーンの切り口から醸し出されてくる。作品には共通して自然や季節、人生節目の催事が背景として取り入れられる。絵を描くことと同時に、切り絵には紙を切るという物を作る作業があり、それが好きであった。また、切り絵と木版画を組み合わせた作品では越前和紙などを使い、鋭い切り口と朦朧とした版木のあたたかさがやわらかくイメージを包み込む。故郷での経験や感覚が、作品作りにおける一筋の線としてある。何気ない日常のなかで経験したことや過ぎ行く季節のなかで感じたことがかけがえのないものであり、創作のエッセンスになっている。
その時々の作りたいと思った気持ちを大切にして、黒一色の作品のなかにも色を感じられることを目指す。小さな作品のなかに宇宙や日常生活、人生の節目の行事をさりげなく挿入する。そして、ずっと眺めていたくなる作品、気持ちの良い、安らぎを与えられる作品を作りたいという。
ふるさとの緩やかな時間の流れは、作家に心のゆとりと創造力を与える。季節や自然のなかで感じたことを、また人とのかかわりのなかで生まれたひとりでは抱えきれない思いを、できるだけきれいな姿で昇華することをこれからも心がけて制作する。
植物、動物、人物をモチーフにした小さな作品のなかにひとつの思いが表出しているもの、また作者の幼い頃の思い出やひとりの女性としての思いが込められた切り絵と木版画の≪育むいのち≫や≪つかの間の夢≫のような作品もある。
生まれ育った故郷の身近に感じる風景、光や音、おもかげが、緻密なモノトーンの切り口から醸し出されてくる。作品には共通して自然や季節、人生節目の催事が背景として取り入れられる。絵を描くことと同時に、切り絵には紙を切るという物を作る作業があり、それが好きであった。また、切り絵と木版画を組み合わせた作品では越前和紙などを使い、鋭い切り口と朦朧とした版木のあたたかさがやわらかくイメージを包み込む。故郷での経験や感覚が、作品作りにおける一筋の線としてある。何気ない日常のなかで経験したことや過ぎ行く季節のなかで感じたことがかけがえのないものであり、創作のエッセンスになっている。
その時々の作りたいと思った気持ちを大切にして、黒一色の作品のなかにも色を感じられることを目指す。小さな作品のなかに宇宙や日常生活、人生の節目の行事をさりげなく挿入する。そして、ずっと眺めていたくなる作品、気持ちの良い、安らぎを与えられる作品を作りたいという。
ふるさとの緩やかな時間の流れは、作家に心のゆとりと創造力を与える。季節や自然のなかで感じたことを、また人とのかかわりのなかで生まれたひとりでは抱えきれない思いを、できるだけきれいな姿で昇華することをこれからも心がけて制作する。
武井 文一 (信州高遠美術館)
The Intersection of Light and Shadow
ITO Misono renders mostly the world of papercutting in her works on small black paper utilizing her delicate expressions. She started papercutting using her original technique since when she was about 15 years old. The variety in her work includes motifs such as plants, animals and human beings. On the other hand, her work combining papercutting with wood block printing entitled “Nurturing Life” depicts the memories in her childhood and her subtle feeling as a woman. Her elaborate cuttings on the wood blocks conjure up not only the familiar sceneries, but also the light, sound and the images that she closely felt in her hometown where she was born and raised.
As commonly seen in her works, some special event representing a milestone in the natural surroundings or seasonal changes in her life is incorporated in their backgrounds. Cherishing her impulse for creation, she aims to create her works in black and white, albeit you can still feel various colors.
As commonly seen in her works, some special event representing a milestone in the natural surroundings or seasonal changes in her life is incorporated in their backgrounds. Cherishing her impulse for creation, she aims to create her works in black and white, albeit you can still feel various colors.
Takei, Fumikazu (Takato Museum of Arts)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
辰野美術館
南信エリア
- 住所
- 〒399-0425
長野県上伊那郡辰野町樋口2407-1
- 電話番号
- 0266-43-0753
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 月曜(祝日除く)・祝日の翌日、冬期休
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております