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伊藤 三園に関する学芸員テキスト
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光と影の交わり
伊藤三園の切り絵の世界は、ほとんどの場合小さな黒い紙の画面に繊細な表現で作品を作る。15歳の頃から独学で切り絵の制作をはじめる。
植物、動物、人物をモチーフにした小さな作品のなかにひとつの思いが表出しているもの、また作者の幼い頃の思い出やひとりの女性としての思いが込められた切り絵と木版画の≪育むいのち≫や≪つかの間の夢≫のような作品もある。
生まれ育った故郷の身近に感じる風景、光や音、おもかげが、緻密なモノトーンの切り口から醸し出されてくる。作品には共通して自然や季節、人生節目の催事が背景として取り入れられる。絵を描くことと同時に、切り絵には紙を切るという物を作る作業があり、それが好きであった。また、切り絵と木版画を組み合わせた作品では越前和紙などを使い、鋭い切り口と朦朧とした版木のあたたかさがやわらかくイメージを包み込む。故郷での経験や感覚が、作品作りにおける一筋の線としてある。何気ない日常のなかで経験したことや過ぎ行く季節のなかで感じたことがかけがえのないものであり、創作のエッセンスになっている。
その時々の作りたいと思った気持ちを大切にして、黒一色の作品のなかにも色を感じられることを目指す。小さな作品のなかに宇宙や日常生活、人生の節目の行事をさりげなく挿入する。そして、ずっと眺めていたくなる作品、気持ちの良い、安らぎを与えられる作品を作りたいという。
ふるさとの緩やかな時間の流れは、作家に心のゆとりと創造力を与える。季節や自然のなかで感じたことを、また人とのかかわりのなかで生まれたひとりでは抱えきれない思いを、できるだけきれいな姿で昇華することをこれからも心がけて制作する。
植物、動物、人物をモチーフにした小さな作品のなかにひとつの思いが表出しているもの、また作者の幼い頃の思い出やひとりの女性としての思いが込められた切り絵と木版画の≪育むいのち≫や≪つかの間の夢≫のような作品もある。
生まれ育った故郷の身近に感じる風景、光や音、おもかげが、緻密なモノトーンの切り口から醸し出されてくる。作品には共通して自然や季節、人生節目の催事が背景として取り入れられる。絵を描くことと同時に、切り絵には紙を切るという物を作る作業があり、それが好きであった。また、切り絵と木版画を組み合わせた作品では越前和紙などを使い、鋭い切り口と朦朧とした版木のあたたかさがやわらかくイメージを包み込む。故郷での経験や感覚が、作品作りにおける一筋の線としてある。何気ない日常のなかで経験したことや過ぎ行く季節のなかで感じたことがかけがえのないものであり、創作のエッセンスになっている。
その時々の作りたいと思った気持ちを大切にして、黒一色の作品のなかにも色を感じられることを目指す。小さな作品のなかに宇宙や日常生活、人生の節目の行事をさりげなく挿入する。そして、ずっと眺めていたくなる作品、気持ちの良い、安らぎを与えられる作品を作りたいという。
ふるさとの緩やかな時間の流れは、作家に心のゆとりと創造力を与える。季節や自然のなかで感じたことを、また人とのかかわりのなかで生まれたひとりでは抱えきれない思いを、できるだけきれいな姿で昇華することをこれからも心がけて制作する。
武井 文一 (信州高遠美術館)
The Intersection of Light and Shadow
ITO Misono renders mostly the world of papercutting in her works on small black paper utilizing her delicate expressions. She started papercutting using her original technique since when she was about 15 years old. The variety in her work includes motifs such as plants, animals and human beings. On the other hand, her work combining papercutting with wood block printing entitled “Nurturing Life” depicts the memories in her childhood and her subtle feeling as a woman. Her elaborate cuttings on the wood blocks conjure up not only the familiar sceneries, but also the light, sound and the images that she closely felt in her hometown where she was born and raised.
As commonly seen in her works, some special event representing a milestone in the natural surroundings or seasonal changes in her life is incorporated in their backgrounds. Cherishing her impulse for creation, she aims to create her works in black and white, albeit you can still feel various colors.
As commonly seen in her works, some special event representing a milestone in the natural surroundings or seasonal changes in her life is incorporated in their backgrounds. Cherishing her impulse for creation, she aims to create her works in black and white, albeit you can still feel various colors.
Takei, Fumikazu (Takato Museum of Arts)