ARTISTS
藤野 貴則
陶芸
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《螺子(ネジ) 一輪挿し》2015年
日本語テキストで読む
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日常の生活のなかには、沢山のアートが存在していると思います。人の作り出したアート作品もそのなかのひとつですが、自然のなかの生き物や街の風景、人の生き方、考え方、建築物、言葉など、限りなくあります。そのなかに人の作り出した、常に身近にあり、かと言ってそこまで意識することのないペットボトルや錆びついた螺子に興味が湧き、素材を磁器に変え別の使い方ができるように表現しました。普段は伝統工芸作品を主に制作していますが、工芸から観たアートを追求できればと日々制作しています。
In our daily lives, there is a plethora of “art,” including not only man-made artworks, but also living creatures in nature, city-scapes, our ways of living and thinking, the architecture we observe, languages we use, and so on. The list of what is considered “art” is without limitation.
Among the endless variety of “art,” the PET bottles and rusted screws, which are always around us, but scarcely come to our attention, began to interest me and enticed me to represent them in my art, apart from their original utilization, only by changing their materials to porcelain. I usually work in traditional handicrafts, and in doing so, I endeavor to create my art from the view point of a craftsman.
Among the endless variety of “art,” the PET bottles and rusted screws, which are always around us, but scarcely come to our attention, began to interest me and enticed me to represent them in my art, apart from their original utilization, only by changing their materials to porcelain. I usually work in traditional handicrafts, and in doing so, I endeavor to create my art from the view point of a craftsman.
《ペットボトル 一輪挿し》2014年
《螺子(ネジ) 一輪挿し》2014年
《ペットボトル 徳利とぐい呑》2016年
《鉄?? あれ〜?! ペーパーウエイト》2014年
Profile
プロフィール
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2008
- 個展(さいか屋川崎店/神奈川県)
- 2009
- 個展(ギャラリー亜陶/東京都、青梅市)
- 2011
- 個展(東急百貨店本店/東京都、渋谷)
個展(京王百貨店新宿店/東京都、以降毎年開催)
八人展(つかもとギャラリー/栃木県、益子)
- 2012
- 個展(アートスペース泉/福島県、いわき市)
山陶舎一門展(東急百貨店本店/東京都、渋谷)
- 2013
- 個展(アートスペース泉/福島県、いわき市)
- 2015
- 急須茶器展(ギャラリー壷琳/栃木県、宇都宮市)
個展(アートスペース泉/福島県、いわき市)
- 2017
- 個展(アートスペース泉/福島県、いわき市)
COMMENTARY
学芸員の解説
日本語テキストで読む
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陶芸と現代アート
一見、ペットボトルのような作品やネジに見える作品群。しかし、これらは一輪挿しの陶芸作品である。質感も本物のペットボトルやネジのように表現されている。機能性と美術的な美しさを融合させた工芸でもありアートでもある作品であると思う。
作家自身、伝統工芸を主にしている。大分に生まれ、長野県には陶芸家・末岡信彦氏に師事するために移住してきた。日本伝統工芸展に出品を続け、20代で日本工芸会の正会員になる。普段は繊細な四季折々の花や動物などが描かれた色絵磁器作品を制作する。〝技〟や〝日本固有の美しさ〟を追求している作家と〝現代アート〟のような作品、ペットボトルなどの作品は意外な組み合わせである。伝統工芸の作家がペットボトルやネジをモチーフの作品を制作していると知ったとき、ひと通り伝統工芸を制作し終わり、新たな境地を見出すべくアート作品を制作しはじめたと勝手に推測した。しかしながら日本工芸会正会員になる前に、このような作品を制作しはじめたということも興味深い。
〝工芸から観たアート〟。作家はこのように表現している。「現代アート作品を制作しようとして創り出しているのではなく、工芸的主観で創り出している。身近にある物、常に身の廻りにあり気にも留めない物を焼き物という材質を借りて表現している。工芸はハッキリと、(皿、コップなど)使えるものであり、綺麗や汚いも分かりやすい」。
作家の言うように、陶芸作品はとくに用途があることが多く、そういう意味では〝わかりやすい〟作品であり、アートというよりは工芸作品の枠を出なかった。あえて、その陶芸作品に一輪挿しなどの用途を残しつつ、作家本人は意図していなくとも客観的に現代アートと思える作品となっている。そこに、この作家から陶芸も現代アート作品となりうる可能性を提示されているように思える。そして〝陶芸作品とは何か?〟という陶芸作品の本質を問う作品群であると考える。
作家自身、伝統工芸を主にしている。大分に生まれ、長野県には陶芸家・末岡信彦氏に師事するために移住してきた。日本伝統工芸展に出品を続け、20代で日本工芸会の正会員になる。普段は繊細な四季折々の花や動物などが描かれた色絵磁器作品を制作する。〝技〟や〝日本固有の美しさ〟を追求している作家と〝現代アート〟のような作品、ペットボトルなどの作品は意外な組み合わせである。伝統工芸の作家がペットボトルやネジをモチーフの作品を制作していると知ったとき、ひと通り伝統工芸を制作し終わり、新たな境地を見出すべくアート作品を制作しはじめたと勝手に推測した。しかしながら日本工芸会正会員になる前に、このような作品を制作しはじめたということも興味深い。
〝工芸から観たアート〟。作家はこのように表現している。「現代アート作品を制作しようとして創り出しているのではなく、工芸的主観で創り出している。身近にある物、常に身の廻りにあり気にも留めない物を焼き物という材質を借りて表現している。工芸はハッキリと、(皿、コップなど)使えるものであり、綺麗や汚いも分かりやすい」。
作家の言うように、陶芸作品はとくに用途があることが多く、そういう意味では〝わかりやすい〟作品であり、アートというよりは工芸作品の枠を出なかった。あえて、その陶芸作品に一輪挿しなどの用途を残しつつ、作家本人は意図していなくとも客観的に現代アートと思える作品となっている。そこに、この作家から陶芸も現代アート作品となりうる可能性を提示されているように思える。そして〝陶芸作品とは何か?〟という陶芸作品の本質を問う作品群であると考える。
梨本 有見 (須坂版画美術館)
Ceramics and Contemporary Art
The works by FUJINO Takanori on display at this exhibition look like colored PET bottles, at first sight. However, these are ceramic bottles created to be used as small flower vases. I think they are a kind of fusions of function in artistic beauty, belonging not only to crafts, but also art. The artist comments that his works are “artworks created from a craftsman’s point of view” – i.e. “artworks based on creating craftworks.” In other words, he creates contemporary art out of ceramic works, open to utilization in various ways, including small vases. It seems that this artist displays the possibility that ceramic works could become contemporary art. Moreover, his group of works on display look to me to be questioning “what really are ceramic works?” – the essence of ceramic works.
Nashimoto, Yuumi (SUZAKA HANGA MUSEUM)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
須坂版画美術館
北信エリア
- 住所
- 〒382-0031
長野県須坂市大字野辺1386-8 (須坂アートパーク内)
- 電話番号
- 026-248-6633
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 水曜休(祝日除く)
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております