ARTISTS
中村 眞美子
版画
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《ユキノハナ・1》2017年
日本語テキストで読む
Read in English Text
日の光が目に痛いほどまぶしく、風に木々の緑が揺れる
あるいは身を切るような吹雪の中、力尽き倒れた枯れ草が雪にうずもれてゆく-
私が生まれ育ってきた町でいつも繰り返される風景である。
そしていつもその時々のはっとする一瞬がある。
「美しいもの」とはどこか遠い場所でなく、私のとなりにすでにあるのだと思う。
ありふれたように見える景色をもう一度目を開き、新しく見たい。 移り変わってしまう時の一瞬を、なんとかして定着させたいと願っている。
あるいは身を切るような吹雪の中、力尽き倒れた枯れ草が雪にうずもれてゆく-
私が生まれ育ってきた町でいつも繰り返される風景である。
そしていつもその時々のはっとする一瞬がある。
「美しいもの」とはどこか遠い場所でなく、私のとなりにすでにあるのだと思う。
ありふれたように見える景色をもう一度目を開き、新しく見たい。 移り変わってしまう時の一瞬を、なんとかして定着させたいと願っている。
The sunlight is so glaring that I almost feel a pain in my eyes, and the green leaves of the trees are swinging in the wind.
Or, in a blizzard, the lifeless grass is buried under the snow.
Such ordinary landscapes are seen repeatedly in the town where I was born and raised, and they still surprise me every time I see them.
I think “beauty” exists just beside me, not somewhere in the distance.
I wish to look at the landscapes which once seemed ordinary to me freshly, with my eyes wide open, and embody those moments of transformation in my prints.
Or, in a blizzard, the lifeless grass is buried under the snow.
Such ordinary landscapes are seen repeatedly in the town where I was born and raised, and they still surprise me every time I see them.
I think “beauty” exists just beside me, not somewhere in the distance.
I wish to look at the landscapes which once seemed ordinary to me freshly, with my eyes wide open, and embody those moments of transformation in my prints.
《ユキノカゼ・8》2017年
《ユキノカゼ・20》2017年
《窓辺―ニラの実》2018年
《窓辺―ノイバラの実》2018年
NEWS
中村 眞美子の関連情報
2018
12/15
(土)
Profile
プロフィール
中村 眞美子NAKAMURA Mamiko
版画
- 1972
- 長野県上水内郡信濃町生まれ
- 1993
- 長野美術専門学校造形学科デザインコース卒業
- 2003
- 版画家・故山下孝子氏に師事、版画を始める
- 2008
- 画文集『ゆりかご』(桜華書林、言葉/ごとうなみ)刊
AWARD
おもな受賞歴
- 2005
- 第4回武井武雄記念日本童画大賞奨励賞
- 2007
- 第5回武井武雄記念日本童画大賞優秀賞
- 2010
- 第7回大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ展入選
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2008
- 第5回武井武雄記念日本童画大賞受賞者三人展 (イルフ童画館/岡谷市)、N-ART展 (ガレリア表参道/長野市)
- 2009
- 個展「線の続く方へ」(桜華書林/長野市)、個展「声のかわりに」(酢重ギャラリー/軽井沢町)
- 2010
- 個展「わたくしごと」(朝陽館ギャラリー蔵/長野市)
- 2011
- 女性版画家三人展(ガレリア表参道)
- 2012
- 「ネクスト:信州新世代のアーティスト展2011」(ホクト文化ホール/長野市)
- 2013
- 「中村眞美子版画展 草の風景・秋から冬へ」(ホクト文化ホール)
- 2014
- アートde NEW YEAR展(ガレリア表参道)、信濃毎日新聞コラム栁澤寿男「心をつなぐタクトの調べ」挿画(4月〜1年間)、個展「草の風景小品集」(酢重ギャラリー)
- 2015
- そこにあるもの−モノクロームの魅力−展 (小海町高原美術館/小海町)、「中村眞美子ドライポイント作品展 草の風景・秋から冬へ2」(ホクト文化ホール)
- 2016
- 植物園展(心の花美術館/上田市)、個展「草の風景 秋から冬へ2012-2015」(ギャラリーノイエ/松本市)、個展「冬の草」(酢重ギャラリー)、個展「草の風景 冬」(秀友画廊/東京都、銀座)
- 2017
- 「中村眞美子版画展 冬の草の風景」(ホクト文化ホール)
- 2018
- 個展「冬の草の風景」(ギャラリーノイエ/松本市)、個展「窓辺より」(酢重ギャラリー)
COMMENTARY
学芸員の解説
日本語テキストで読む
Read in English Text
決 意
雪原に枯れた草木がある。
積雪のある地に住む者にとって当たり前の光景が、作品として完成されると共鳴し、神々しいような忘れられない景色となって胸に迫る。
どんな人がこのような作品を生み出しているのだろうか。
専門学校でデザインを学び、会社に就職、何の取柄もない自分を感じて、何でもいいから描こうと手を動かしはじめたそうだ。そしてたまたま版画教室の先生である故山下孝子氏の展示を見て、その場で入会を決める。そこで版画をひと通り学び、のめり込んでいった。その後、公募展で賞を受賞するなど幅を広げていく。
あるギャラリーでの発表をきっかけに画家の平山英三、和子夫妻と出会い、夫妻の自宅に通いながら指導を受けることになる。
平山氏の助言もあってはじめた冬の草について、雪深い信濃町出身である中村には、おなじみというより見過ごしている風景だった。運転中ふと窓から見た枯れ草がシルエットとして見え、版画に結びついたという。
中村はこれまでドライポイントだけでなくエッチングの作品も発表しているが、なかでも冬の草のシリーズは長く取り組んでいる。現在はこのシリーズのほかにさらに踏み込んだ表現を模索しながら制作を続けている。
中村の作家像について、過去の資料や作家の言葉から、作品のイメージそのままに張りつめていて、物静かで、控えめでと勝手に想像していた。
しかしそうではない。そう見えてしまうだけで、心の奥には想像もできないような情熱や熱意を内包している。それはこれまで地道に続けてきた制作活動が物語る。強い意志がなければ、成し得なかったものだ。
シンビズムの準備のため話を聞いたのは、この4月から新しく改装し、譲り受けた大きなプレス機のあるアトリエだった。そのプレス機は、これからのさらなる挑戦へ歩みを進める、決意を表していたように見えた。
積雪のある地に住む者にとって当たり前の光景が、作品として完成されると共鳴し、神々しいような忘れられない景色となって胸に迫る。
どんな人がこのような作品を生み出しているのだろうか。
専門学校でデザインを学び、会社に就職、何の取柄もない自分を感じて、何でもいいから描こうと手を動かしはじめたそうだ。そしてたまたま版画教室の先生である故山下孝子氏の展示を見て、その場で入会を決める。そこで版画をひと通り学び、のめり込んでいった。その後、公募展で賞を受賞するなど幅を広げていく。
あるギャラリーでの発表をきっかけに画家の平山英三、和子夫妻と出会い、夫妻の自宅に通いながら指導を受けることになる。
平山氏の助言もあってはじめた冬の草について、雪深い信濃町出身である中村には、おなじみというより見過ごしている風景だった。運転中ふと窓から見た枯れ草がシルエットとして見え、版画に結びついたという。
中村はこれまでドライポイントだけでなくエッチングの作品も発表しているが、なかでも冬の草のシリーズは長く取り組んでいる。現在はこのシリーズのほかにさらに踏み込んだ表現を模索しながら制作を続けている。
中村の作家像について、過去の資料や作家の言葉から、作品のイメージそのままに張りつめていて、物静かで、控えめでと勝手に想像していた。
しかしそうではない。そう見えてしまうだけで、心の奥には想像もできないような情熱や熱意を内包している。それはこれまで地道に続けてきた制作活動が物語る。強い意志がなければ、成し得なかったものだ。
シンビズムの準備のため話を聞いたのは、この4月から新しく改装し、譲り受けた大きなプレス機のあるアトリエだった。そのプレス機は、これからのさらなる挑戦へ歩みを進める、決意を表していたように見えた。
宮下 真美 (おぶせミュージアム・中島千波館)
Determination
There are dead plants and trees in a snow-covered field.
This is a familiar sight to the eye of NAKAMURA, who is originally from Shinano-machi, a town known for its heavy snowfall. Casually looking out the window while driving, those plants and trees created a silhouette and this image is rendered in her prints.
The personality of NAKAMURA is reflected in her art and writings. She is quiet and modest. Am I right?
No. Her consistent creative activities tell us she has a burning passion and enthusiasm for art deep within her. Without her strong will, she could not have accomplished what she did.
A press machine given to her, which now sits in her new studio, is proof of her determination to pursue further challenges.
This is a familiar sight to the eye of NAKAMURA, who is originally from Shinano-machi, a town known for its heavy snowfall. Casually looking out the window while driving, those plants and trees created a silhouette and this image is rendered in her prints.
The personality of NAKAMURA is reflected in her art and writings. She is quiet and modest. Am I right?
No. Her consistent creative activities tell us she has a burning passion and enthusiasm for art deep within her. Without her strong will, she could not have accomplished what she did.
A press machine given to her, which now sits in her new studio, is proof of her determination to pursue further challenges.
Miyashita, Mami (THE OBUSE MUSEUM, The Nakajima Chinami Gallery)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
須坂版画美術館
北信エリア
- 住所
- 〒382-0031
長野県須坂市大字野辺1386-8 (須坂アートパーク内)
- 電話番号
- 026-248-6633
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 水曜休(祝日除く)
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております