Artist
参加アーティスト
小林 冴子
Saeko Kobayashi

>《Can you hear me? (未完)》2017年
Works

>《幕開け》2017年

>《雨雲に一番近いところ》2017年

>《Don't-kill-me》2016年

>《heavenly》2017年
主な受賞歴
- 2010
- 第63回長野県美術展SBC賞
- 2011
- 第65回佐久美術展新人賞
- 2013
- 第27回佐久平の美術展新人賞
- 2014
- アートムーブコンクール2014「ドリーム賞」
- 2016
- 第30回佐久平の美術展奨励賞
第33回FUKUIサムホール美術展優秀賞
主な作品発表歴
- 2004
- 初個展「空の穴」(びすとろぐ~て/佐久市)
- 2009
- 個展「かいこてん」(元麻布ギャラリー佐久平/佐久市)
- 2012
- 個展「今日までの日、今日の灯」(十一月画廊/東京都、銀座)
グループ展「5人の女流作家展」
(北野カルチュラルセンター/長野市)
- 2013
- 個展「手の記憶」(山門ギャラリー/佐久市)
グループ展「mille-feiull」
(ギャラリー惺SATORU/東京都、吉祥寺)
- 2014
- 個展「本日の行き先」(元麻布ギャラリー佐久平/佐久市)
イベント境内アート小布施×苗市(陽光山玄照寺/小布施町)
- 2015
- 個展「絵具とコーヒー屋」(花桃果/佐久市)
イベント「さくデ。2015 【まちデ。】」(佐久市)
- 2016
- 個展「小林冴子展」(Shonandai MY Gallery/東京都、六本木)
グループ展「ドローイング3人展」(FIATFILESLASH/長野市)
- 2017
- 個展「My Sweet Winding Road」(山門ギャラリー/佐久市)
個展「君がくれた花」(AAA Gallery/神奈川県、横浜)
個展「スーパードーターズ」(Blanc Art Gallery/千曲市)
- 2018
- 個展「さがしもの(仮)」(喜劇駅前食堂/佐久穂町)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
日本語テキストで読む
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もともとイラストを描くのが好きだった彼女は中学校で絵画部に入部。だがとくにタブローを制作することに関して何の思いもなかったようだが、2年生の夏休みに家族で訪れた欧州でゴッホと出会ってしまった。それが「絵かき・小林冴子」の出発点となったという。その後、大学3年生のときに入院・休学を余儀なくされて自分を喪失した時期、卒業後に絵を描くことを趣味にすべきかどうか悩んだ時期を経て2011年、東日本大震災の経験が第二の出発点になった。ニュースをみながらいろいろと思いを馳せるなか、「描きたいものを、瞬発力をもって描こう」と決意し、1年に100枚は描こうと取り組んでいるということだが、時折作品から感じる風力はこの瞬発力の所以かもしれない。
以後、現在までに作品がいろいろと変遷しているのだが、とくに意識しているわけではなくいつの間にかふと気がつくと「そういえば最近アレ描いてない」と。自然体にもほどがあると思わず笑ってしまったのだが、その態度が作品に表れているのかと納得した。彼女の作品の一番の魅力だと思っている「佐久の抜けるような光と空気と湿度が感じられること(風景画でなくても)」は、素直で柔らかな心持ちで呼吸をするように絵を描いていることが要因なのだろう。そして同時に、彼女は絵を描くことで呼吸しているのだ。
軽やかに舞うように次々と作品を生み出す彼女は、ロックやクラシック、ポップやバラードなど、さまざまな音楽が詰め込まれたアルバムのような絵描きでありたいと語る。今もそうだと思いつつ、もっとちがう高度を、密度のちがう空気のなかを飛んでみてほしい、と願っている。
工藤 美幸(佐久市立近代美術館)
She produces her paintings following her impulse “to paint instantaneously whatever she wants” as if breathing. The transparency which seems to radiate from her paintings might have originated from her attitude toward her unique execution.
For the artist, who produces works one after another as if dancing lightly, the kind of painter she wants to be, as she says, is just like a music album which covers various genres of music such as rock, classical, pop, ballads and so on. Though I admit she is already such a painter, I still wish her to try to soar much higher, experiencing different altitudes in which the air differs in density.
Kudo Miyuki(Saku Municipal Museum of Modern Art)
新海 誠
Makoto Shinkai

>(1) 映画「星を追う子ども」より
Works & Comment
それは、“ さよなら ” を言うための旅。
ある日、少女アスナは、地下世界アガルタから来たという少年シュンに出会う。二人は心を通わせるも、少年は突然姿を消してしまう。「もう一度あの人に会いたい」そう願うアスナの前にシュンと瓜二つの少年シンと、アガルタを探す教師モリサキが現れる。三人はそれぞれの想いを胸に、伝説の地へ旅に出る…。
[ スタッフ ]
監督・脚本・絵コンテ=新海誠 作画監督・キャラクターデザイン=西村貴 世美術監督=丹治匠 音楽=天門 主題歌=「Hello Goodbye & Hello」熊木杏里 2011年公開 / 本編約 116 分 (C)Makoto Shinkai/CMMMY

>(2) 映画「星を追う子ども」より

>(3) 映画「星を追う子ども」より

>(4) 映画「星を追う子ども」より
主な受賞歴
- 2002
- 『ほしのこえ』第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門優秀賞
- 2005
- 『雲のむこう、約束の場所』第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞
- 2007
- 『秒速5センチメートル』アジアアパシフィック映画祭“Bes Animated Feature Film(最優秀アニメ賞)”
- 2012
- 『星を追う子ども』東京国際アニメフェア2012アニメアワード美術賞
- 2013
- 『言の葉の庭』第21回ドイツシュトゥットガルト国際アニメーション映画祭長編映画部門最優秀賞
- 2016
- 『君の名は。』第42回ロサンゼルス映画批評家協会賞長編アニメーション賞
- 2017
- 『君の名は。』第40回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞/最優秀音楽賞/優秀監督賞/優秀アニメーション作品賞/話題賞
主な作品発表歴
- 2002
- 2月2日『ほしのこえ』公開
- 2004
- 1月20日『雲のむこう、約束の場所』公開
- 2007
- 3月3日『秒速5センチメートル』公開
- 2008
- グループ展「響きあう・多様な表現」(小海町高原美術館/小海町)
- 2011
- 5月7日『星を追う子ども』公開
- 2012
- 初個展「新海誠展」(小海町高原美術館/小海町)
- 2013
- 5月31日『言の葉の庭』公開
- 2016
- 8月26日『君の名は。』公開
個展「新海誠監督作品『君の名は。』展」(小海町高原美術館/小海町)
- 2017
- 個展「新海誠展―『ほし のこえ』から『君の名は。』まで―」(小海町高原美術館/小海町)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
日本語テキストで読む
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2011年に公開された『星を追う子ども』の一場面(図版1)をみる。山裾に一面に広がる畑を背景に少女が走っている。鉄塔、ビニールハウス、小屋、鳥居などが配置され、どこにでもありそうな田舎の風景が横長の画面に広がっている。
この絵は紙に筆で描かれたものではなく、デジタル技術を駆使して描かれたものだ。精細さ、シャープさ、ぼかし、光の表現、色彩の諧調の豊かさはデジタル技術の特徴をみせている。この場面の絵コンテ(※1) には、「この少女が学校での上手くできない振るまいをふりきるように走る」とある。少女の心情を陰影に包まれた少女と光があふれる背景で表現する独自の世界観がみてとれる。「どこにでもある風景」は新海によって美しく再構築される。この少女が暮らす町のモデルとなったのが新海の故郷・小海町であり、同町の風景を取材している。
デジタルで制作している新海の作品を美術館に展示するには、デジタルデータをプリントアウトして出品される。2012年に当館で行った初の個展のオープニング講演で新海はヴァルター・ベンヤミンの「アウラ」(※2) にふれ、「実体のないデータをプリントアウトして飾ることの試みが面白いと思った」と語っている。
そして展示を通じて来場者に何かを感じてほしいという。美術館でのアニメーションの展示を自覚し、作品がより多くの鑑賞者に近づいてくれることを願っている。
長野県の現在の美術の状況を提示しようとする本展において、故郷の原風景を創造の基底に置き、デジタル技術を駆使した新しい表現方法で、美しい背景美術と独自の世界観を生み出す新海誠を取り上げる意味も最後に確認しておきたい。
(※1)『星を追う子ども』絵コンテ集(2012年、ムービック)p- 55<br />絵コンテ:アニメーションを制作するための「設計図」。おおまかな画面構成やキャラクターの動き、カメラワーク、時間や演出の指示などが示される。
(※2)ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミン(1892~1940年)が芸術作品の「ほんもの」という概念はオリジナルの「いま」「ここに」にしかないという一回性によって権威づけられるが、複製技術が進みほろびゆくものが作品のもつ「アウラ」であるとし、これまでの一回かぎりの作品のかわりに、同一の作品を大量に出現させ、受け手のほうに近づけることで一種の現実性を生み出している。
参考:「複製技術時代の芸術」ヴァルター・ベンヤミン著、佐々木基一編集解説(1999年、晶文社発行)
中嶋 実(小海町高原美術館)
At this exhibition, which is intended to reflect the present situation of art in Nagano Prefecture, it is especially significant to introduce the works of Shinkai Makoto, who produces beautiful background art and presents his view of the world uniquely expressed through the excellent use of complementary digital technology based on the unique landscape of his home town, Koumi-machi.
Nakajima Minoru(Koumi-machi Kougen Museum of Art)
深沢 尚宏
Hisahiro Fukasawa

>《Tranquility no.26 / face》2015年
Works & Comment
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私はグラフィックデザインを学びました。そしてそれを入口にしてさまざまなアートに出会い、そのなかでもとくに室町から江戸時代にかけての絵師たちの影響を受けました。彼らの空間構成や花鳥の華美な世界に酔ったのを今でもはっきり覚えています。
明治以降、日本は西洋の価値観を大きく取り入れてきましたが、それは同時に日本のオリジナリティを捨て去る行為にもなりました。
江戸時代以前にみられた日本美術の特徴と現代的ビジュアルであるグラフィックのスタイルを融合させ、新たな和の世界を作りたいと思っています。
I studied graphic design, and it has introduced me to various kinds of art. One notable aspect which greatly influenced me is the paintings created by artists during the Muromachi and Edo Periods. I remember vividly how fascinated I was by viewing the spatial compositions and splendid worlds of flowers and birds by these painters.
Ever since the Meiji Period, Japan has extensively adopted Western values and, as a result, it has discarded its originality.
By mingling the characteristics of Japanese art which was seen until the Edo Period, and the graphic design used in modern visual art, I endeavor to create a new world of modern Japanese art.

>《Moon and Irises》2017年

>《Tranquility no.06 》2013年

>《Camouflage(bird&Peony)》2014年
主な受賞歴
- 2013
- LUMINE meets ART AWARD 2013準グランプリ
主な展覧会歴
- 2007
- 【個展】HAYATO New York 青山/東京都
- 2008
- 【個展】恵比寿三越 アーティフェックスギャラリー/東京都
- 2010
- 【個展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2010
- 【グループ展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2011
- 【グループ展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2013
- 【グループ展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2009
- 【アートフェア】「International Artexpo New York 2009」(USA、N.Y.)
- 2013
- 【アートフェア】「Art Show Busan 2013」(韓国、釜山)
- 2014
- 【アートフェア】「Art Show Busan 2014」(韓国、釜山)
「Art Santa Fe 2014 」(USA、サンタフェ)
「Salon Art Shopping 2014」(フランス、パリ)
- 2015
- 【アートフェア】「Art Busan 2015」(韓国、釜山)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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提示するアーティスト
作家は学生時代にデザインを学んだ。その後、仕事のかたわら独学で日本画の制作をはじめる。円山応挙や尾形光琳など江戸期の作品はもとより、遠くは正倉院御物の時代まで遡り制作のインスピレーションを得るという。その一方で、箔や胡粉を使用しながらも、アクリル絵の具や鉛筆を多用し、シルクスクリーンなどの版の技法や、イラストレーターやフォトショップなどのデザインソフトをも颯爽と駆使する。「Tranquility」は作家の内なる感覚の具現化であり、花鳥風月に代表される「日本的なるもの」から感得し蓄積された作家自身の本質的美意識の昇華である。そして、もうひとつの「動」の作品群は、日本画の伝統、日本文化の伝統に取材しながら、色彩やデザイン的要素をアーティストとしての現代的解釈のもと、意識的に、ときに大胆で、ときに繊細さをもってわれわれに提示する。
日本画家でありデザイナーでありぺインターでもある、そのすべてを包含する立ち位置を目指す。そこに「現代日本画とはどうあり得るのか」を模索する作家の矜持をうかがい知ることができる。「日本的なるもの」を探究するその軌跡を並走して見続けたいと思わせる作家である。
小笠原 正(上田市立美術館)
Ogasawara Tadashi(Ueda City Museum of Art)
サム・プリチャード
Sam Pritchard

>《Scramble Crossing, Shibuya, Tokyo スクランブル交差 渋谷 東京》2014年
Works & Comment
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大学で写真を学び、ロンドンで写真のレタッチをして働いたあと、私が想像していた、まるでSF小説にあるような大都市を確かめるために日本に移転しました。
しかし、日本の日常生活の現実は、ほかの先進国に比べても未来的ではないように感じました。そこで≪Land of Technology≫プロジェクトで、私が幼少の頃抱いていた「デジタル未来世界」ともいうべき幻影を作り出そうとしたのです。
これとは対照的に、最近の私のプロジェクトである≪A Classroom with a View≫は、ずっと昔の「家」に帰ったような場所である、長野の山々に囲まれた田舎の小学校に焦点を当てています。
After studying photography at university and working as a retoucher in London, I relocated to Japan to discover if it was the science fiction metropolis I had imagined.
However, the reality of daily life here seems no more futuristic than it is in any other modern, developed country. But in my Land of Technology project, I tried to create the illusion that it is some kind of digital future world that lives up to my childhood expectation.
In contrast, my latest project, A Classroom with a View, focuses on the daily goings on of a rural elementary school located in the mountains of Nagano – the place I have called home for the past decade.

>《Land of Technology:Tocho Mae, Nishi Shinjuku, Tokyo 都庁前 西新宿 東京》2014年

>《Tower Records, Shibuya, Tokyo タワーレコード 渋谷 東京》2014年

>《Iidabashi Station, Iidabashi, Tokyo 飯田橋駅 飯田橋 東京》2014年

>《Tokyo Sky Tree, Asakusa, Tokyo 東京スカイツリー 浅草 東京》2014年

>《Aoyama Technical College, Shibuya, Tokyo 青山製図専門学校 渋谷 東京》2012年

>《Ariake Junction, Ariake, Tokyo 有明ジャンクション 有明 東京》2009年

>《A Classroom with a View: Spring: Rice Planting 春:田んぼ絵》2017年

>《Summer: Sports Day 夏:運動会》2016年

Profile
サム・プリチャード Sam Pritchard
写真
- 1982
- イギリス生まれ
- 1998
- テルフォードニューカレッジアート&デザイン写真専攻入学
- 2001
- ウエストミンスター大学写真アート専攻入学
- 2004
- ロンドンの建築写真スタジオ「CGP Design Ltd.」でレタッチャーとして勤務
- 2008
- 来日、英会話教室などに勤務
- 2009
- 須坂市ALTとなる
- 2012
- 東御市立田中小学校、滋野小学校ALT
- 2014
- 東御市立滋野小学校、和小学校ALT
主な受賞歴
- 2015
- コニカミノルタフォトプレミオ受賞
主な作品発表歴
- 2015
- KONICA MINOLTA PLAZA(東京都、新宿)
個展(Parades Gallery/松本市)
- 2016
- 大西道男と二人展(東御市中央公民館/東御市)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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2008年、サムはそれを確かめるために日本にやってきたが、彼の思い描いていた日本とはちがう風景があった。しかし彼は自分のイメージを、東京の夜に探し求めたのである。彼は写真家・佐藤信太郎氏に強い影響を受けているという。しかし両者の「東京の夜」はまったくちがう印象を受ける。
サムの代表作である≪Land of Technology≫(2014)は、日本人の私にとって異次元の世界に映る。人の気配、雑踏、臭いが徹底的に消し去られ、時間も感じさせない無機質な世界である。
一方、佐藤信太郎氏の作品からは、人びとの生活感や人間模様、喧噪、アジア的空気感ともいうものが強烈に感じられる。
このちがいはどこから生じるのだろうか。佐藤信太郎氏は「東京の今を、未来に残す記録と、歴史を背景としたその場所特有の雰囲気にこだわっている」という。しかし、サムは、あくまで自分で思い描いていた未来的な世界を、現実のなかに追い求めている。東京の夜景に、自分のイメージを重ね、切り取り、そして高度なレタッチの技術を駆使して、作り上げているのである。
さて最新作の≪A Classroom with a View≫(2017)は、ある日の光景ではない。
学校で営まれる日々の活動を、季節ごとにひとつの作品に落とし込んでいるのである。サムは、日本の四季は、そのちがいが際立っており、何より日本人の生活や文化が四季を根底にして成り立っていると感じている。日本でALTを続け10年が経ち、サムの作品は日々を通じ感じたものを記録する仕事へと大きく変わったのである。
佐藤 聡史(丸山晩霞記念館)
His work entitled “Land of Technology,” depicts an inorganic world from where signs of life, crowds and time are erased. The artist executed his work by layering images of his own on film of Tokyo at night with other images by trimming sections from each, utilizing his highly skilled retouching technique.
Another work entitled “A Classroom with a View,” is presented as a series of four works representing the four seasons of school life. His ten years in Japan as an Assistant Language Teacher (ALT) transformed his work into one which records his everyday impressions of daily life.
Sato Satoshi(Maruyama Banka Memorial Museum)
森泉 智哉
Tomoya Moriizumi

>《MANDARAKE》2017年
Works

>《MANDARAKE》2017年

>《MANDARAKE》2017年

>《MANDARAKE》2017年

>《MANDAR AKE》2017年

Profile
森泉 智哉 Tomoya Moriizumi
テンペラ
- 1983
- 長野県小諸市生まれ
主な受賞歴
- 2009
- 第10回日仏現代美術世界展入選
- 2011
- イルフ童画大賞展入選
- 2016
- 萱アートコンペ2016Blanc賞受賞
- 2017
- イースト ウェスト アート アワード公募展(ロンドン)入選
主な作品発表歴
- 2002
- 【個展】HEXAN/東京都、六本木
- 2004
- 【個展】尾張あさひ苑/阿智村
- 2005
- 【個展】ほんまち町屋館/小諸市
胡桃倶楽部/東御市
- 2010
- 【個展】浅間縄文ミュージアム/御代田町
- 2011
- 【個展】KIGIギャラリー/軽井沢町
- 2013
- 【個展】十一月画廊/東京都、銀座
- 2014
- 【個展】Shonandai My Gallery/東京都、六本木、以降連続開催
- 2015
- 【個展】Art Project 沙庭/軽井沢町
- 2016
- 【個展】軽井沢ニューアートミュージアム/軽井沢町
- 2017
- 【個展】Art Projects Gallery/香港、アートギャラリーBlanc/千曲市
- 2002
- 【グループ展】「GEISAI#2出展」
- 2015
- 【グループ展】「第5回N-ART展」(ガレリア表参道/長野市)
- 2013
- 【アートフェア】
「Young Art Taipei」(台湾)
「Emerging Directors’Art Fair・Ultra」(青山スパイラル/東京都)
「Art Taipei 2013」(台湾)
- 2015
- 【アートフェア】
「Affordable Art Fair」(シンガポール)
「Art Monaco 2015」(モナコ)
「Young International Artists 2015」(フランス、パリ)
- 2016
- 【アートフェア】「Affordable Art Fair」(USA、N.Y.)
- 2010
- 【出版】絵本『サラと魔法のチョコレート』出版
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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「重なり続けることで現世が存在している」
個々の作品には題名がなく、一連の創作物に対して《MANDAR AKE》と名付けている。「曼荼羅華」とは色鮮やかで芳香を放つ天界に咲く花樹のことである。
《MANDARAKE》も同様にポップで明快な色味にあふれ、現代らしい雰囲気を醸し出しながらウネり伸び、増殖する樹木であるかのように造形されていく。だがしかし、これは偶然にも類似がみられるだけの、関連のないただの意味のない言葉だそうだ。
また、密教の宇宙観を図式的に配置したものが「曼荼羅」であり、そこに秩序と法則が存在するのであれば、森泉の“絵“は現実世界の模式図として有象無象がひしめき合う混沌としたリアルを思い浮かばせる。すなわち現代社会の曼荼羅、「リアル曼荼羅」なのである。この世は決して美しいものばかりではなく、美しいものを創造することだけが芸術ではない。身の回りに存在する雑多な物質や精神のイメージが集合体となり、この時代を象徴する。バラバラなイメージの集合はとても禍々しく、ケバい。しかし、そこが非常に面白おかしくもあり、その世界のなかで歯を剥き出しにしてニカッと笑みを浮かべることができるのが私たち現代人なのだ。
平成という時代に相応しい“絵“なのではないだろうか。
最後に最も追求すべき、テンペラ技法についてである。卵の黄身の部分を繋ぎに用いるルネサンス早期に起源を遡るこの古典技法を用いるわけ。それは発色の深みが好みであったというただそれだけの理由である。油彩やアクリル絵の具の色とのちがいを尋ねたとき彼は「ビールと発泡酒みたいなもの」と答えた。ちがいが分かる人にはわかるのだそうだ。
Suzuki Kazufumi(Karuizawa New Art Museum)
阿部 祐己
Yuki Abe

>《霧のあと》2012年
Works & Comment
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幼少の頃から足繁く通った霧ヶ峰は、名前の由来通り、しばしば濃い霧に包まれる。霧に覆われると境目が消え、どこまでも先に続いているような錯覚を覚えた。かつての霧ヶ峰では山岳信仰が盛んだったという。草原に残る社跡で行われる神事は、800年前に武士たちが行っていた狩猟祭の名残でもある。一方で草原には本来の役目を終えた建築群が、ひとつ、ふたつと増えている。放置された無人の建造物は現代の活動を後世に伝える新たな遺跡のようにも思えた。
霧は一瞬の出来事だ。出ては消えて、すべてを覆うようにみえてもどこかへと消える。人の活動も同じだろうか。古の史跡も現代の建物跡も山の表面に作られた一過性の存在に過ぎない。現代の霧ヶ峰自体が、霧のような一瞬の存在とは考えられないだろうか。山の長い時間軸のなかで、霧の先には、はじまりはなく、終わりもない。あとに残る、あるいは埋れていく霧のあとを探して、私は道を辿っている。
I have been to Kirigamine Kogen (plateau) often ever since I was a small child, and, as the name of the plateau implies, dense fog often settles there. When I am surrounded by fog, I get the illusion of fog spreading everywhere, devoid of boundaries.
People used to worship Kirigamine, and Shinto services are still held at the remains of a shrine in a grass field there. This ritual could be traced back to the Samurai, who held hunting ceremonies there 800 years ago. In the grass fields, people have also begun abandoning their residences one by one when they are no longer any use to them. Theses deserted buildings will look like ruins in the future and, from their remains, future generations will learn how we lived.
Fog is ephemeral ― it appears and disappears. It may look like it covers everything, but it will eventually vanish. Our activities might be considered in the same way. Ancient remains and modern architecture on the plateau exist only briefly. We can see Kirigamine presently as something similar to fog, can’t we?
Time has no bearing on how long Kirigamine has been or will exist, just as fog has no beginning or end.
I continue on my path, tracing fog wherever it appears or disappears.

>《霧のあと》2013年

>《霧のあと》2016年

>《霧のあと》2015年

Profile
阿部 祐己 Yuki Abe
写真
- 1984
- 長野県茅野市生まれ
- 2011
- 日本写真芸術専門学校卒業
主な受賞歴
- 2011
- 写真新世紀佳作
- 2012
- 写真新世紀佳作
- 2015
- 三木淳賞
主な作品発表歴
- 2014
- 【個展】「新しき家」(新宿Nikon Salon/東京都、大阪Nikon Salon/大阪府)
- 2015
- 【個展】三木淳賞受賞作品展「新しき家」(新宿Nikon Salon/東京都)
- 2016
- 【個展】「霧のあと」(銀座Nikon Salon/東京都、大阪Nikon Salon/大阪府)
三木淳賞受賞作品展「新しき家」(大阪Nikon Salon/大阪府)
- 2011
- 【グループ展】写真新世紀(東京都写真美術館,せんだいメディアテーク/宮城県)
- 2012
- 【グループ展】写真新世紀(東京都写真美術館,せんだいメディアテーク/宮城県)
- 2013
- 【グループ展】キヤノンフォトグラファーズセッション
- 2014
- 【グループ展】BIRTH展(CANSON Gallery/韓国、ソウル)
三菱商事アートゲートプログラム展(GYRE/東京都、表参道)
- 2015
- 【グループ展】全州国際Photo FESTIVAL(全州郷校/韓国、全州市)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
日本語テキストで読む
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阿部が現在に至るまで10年近くにわたって撮影を続ける本シリーズ「霧のあと」は、霧ヶ峰高原に取材した作品群である。スキー場やグライダー場を擁する観光地として昭和の初めから開発された霧ヶ峰は、ビーナスラインが開通するとドライブ客で賑わい、現在でも高原の植生が広がる景勝地として知られている。しかし同時にそこは旧石器時代から縄文時代にかけての遺跡が数多く存在し、中世には諏訪大社の重要な狩猟祭である御射山祭が盛大に行われていた場所であった。
こうしたいくつもの時間が交差する霧ヶ峰高原を舞台に、現在の人びとの営みが一定の距離をとって記録される。草原への火入れ作業と山火事、廃墟、石祠とそこで行われる大小の祭り、スキーに興じる人びとの姿などが、中立的な視点で淡々と示されていく。
かつて牧草地として人の手によって何百年も維持されてきた草原は、現在では放っておけば森林化してしまうのを防ぐために火入れが行われているという。ときの変化とともに打ち捨てられ廃墟となったホテルのように、一時の人の営みが永遠に続くわけではない。現在を生きる私たちの営みもまたあっという間に儚く消えていくものなのだ。俯瞰して撮影された人びとの姿は、自然に飲み込まれかねない小さく不確かな存在のように映る。しかし一方で、この地で何百年も前に行われていたであろう祭祀が今現在もかたちを変えて行われ続けていることが分かる。不確かながらも連綿と続いてきた人びとの営みの姿を、阿部は鮮やかに示してみせている。
長年にわたり足を運び、撮影を重ねることで、そのときその場にいるだけではみることのできない地層のように重なる歴史が浮かび上がる。壮大な自然のうえに写し取られているのは、その重なる歴史の表層として現れた人びとの姿なのだ。
長田 絵美(八ヶ岳美術館)
Abe captures at a distance, in his photos, modern people currently living in this locality, where various times have merged steadily, but calmly. As a result, what we see is the ephemeral figures of people which are threatened to be engulfed by nature and, on the other hand, the continuation of festivals which have been handed down since ancient times, though changing in form to this day. The history of this region, layered like geological strata, is embodied in the present-day appearance of ourselves in his works.
Nagata Emi(Yatsugatake Museum of Art)
高橋 広平
Kohei Takahashi

>《DAIFUKU》2013年
Works & Comment
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Despite this fact, I came upon ptarmigans up in the mountains, and I immediately fell in love. This was a one-way love affair from a human being to ptarmigans, so it was unattainable from the very beginning. After ten years of twisting and turning, I became a photographer who specializes in photographing ptarmigans.
Just by looking at them, I learned a lot about their surroundings and present state, their neighboring plants and animals that rejoice in the joie de vivre. There were people who expressed their fondness of ptarmigans and spend considerable time with them. On the other hand, there were those who were indifferent and even hurt these birds that I deeply love. Those people never reflect on what they did. As someone who has received so many gifts from ptarmigans, I think I am obligated to return their favor to me. “Humans can transform themselves through their encounters and absorbing their newly-gained knowledge.” – these words represent my prayers and wishes. By pursuing my own passion and becoming a photographer, I found opportunities to impart my knowledge of ptarmigans widely to others. Now, I hope a lot more people will learn about ptarmigans. At the same time, I think, if my photographs of ptarmigans can help people “transform themselves,” it would be a great reward to me as a creator of art.

>《お父さん、出勤す。Ⅱ》2017年

>《つがい-春-》2009年

>《天使》2011年

>《山と》2009年

Profile
高橋 広平 Kohei Takahashi
写真
- 1977
- 北海道苫小牧市生まれ
- 1998
- 単身、長野県に移住
- 2006
- 知人の誘いで登山をはじめる
- 2007
- 雷鳥に出会い、一目惚れし独学で写真をはじめる
- 2008
- 雷鳥に近付くために職を辞し、北アルプス山中の山小屋に勤務
- 2013
- SSP日本自然科学写真協会入会
長野県自然保護レンジャー参加開始
- 2016
- ライチョウサポーター参加開始
- 2017
- 山小屋を退職、写真家として独立、講師などとして活動開始
- 現在
- 「雷鳥とその生態系」というテーマのもと安曇野を拠点に活動中
- 第4回田淵行男賞岳人賞・受賞
主な作品発表歴
- 2014
- SSP日本自然科学写真協会「第35回SSP展」~2017年毎年出品、個展「DAIFUKU」(安曇野高橋節郎記念美術館 南の蔵/安曇野市)
- 2015
- 個展「雷鳥 ~幾万年を紡ぐものたち~」(田淵行男記念館/安曇野市)
企画展【写真家たちの新しい物語】高橋広平写真展「四季を纏う神の鳥 ~雷鳥に魅せられて~」(富士フイルムフォトサロン 東京/東京都)
個展「雷鳥~白銀の無垢なるものたち~」(カフェ風のいろ/池田町)
- 2016
- 常設展(南アルプスユネスコエコパーク井川ビジターセンター/静岡県)
企画展「雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~」高橋広平写真展(市立大町山岳博物館/大町市)
初写真集『雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~』限定出版
- 2017
- 企画展「雷鳥 小さな愛おしい命」(南アルプス市芦安山岳館/山梨県)
企画展「雷鳥の四季」(白馬五竜エスカルプラザ/白馬村)
企画展「雷鳥~四季を纏う神の鳥~」(苫小牧市美術博物館/北海道)
写真集『雷鳥~Messenger from God, who wearing scenery~』出版
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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少年時代の高橋は、素描が得意で、美術の授業ではほかの生徒が1枚を仕上げる間に3枚の作品を描いたという。画家を夢みながらも高橋は、北海道の美術工芸高校で工芸を学んだ。しかし、卒業後は美術の世界から離れ、専門学校を経て長野県で一般企業に就職する。当時は、独学ながら飛び込みの営業でさまざまな企業や個人から契約を取り付けていたと、高橋は語る。この経験から、高橋はどんな逆境にあったとしてもそれを糧にし、生き抜く自信を得たのだ。一方で、プライベートでは室内に籠りがちな高橋を外界へと誘ったのは山岳であった。高山に棲む雷鳥に一目惚れした高橋は、カメラを手にし撮影を試みる。さらに職を山小屋勤務に変えてしまう。山小屋では訪れる写真家と交流し、カメラの知識や技術を身につけていった。わずかな間に高橋は人生の歯車を回転させていく。
高橋の写真家としての出発点は、第4回田淵行男賞岳人賞の受賞にある。これを始点に高橋の歩みは加速する。選考委員の写真家・水越武の自宅へ押しかけて知遇を得るだけでなく、都内の出版社やギャラリーへと自身の売り込みを進めている。
2017年、高橋は山小屋を辞し、写真家として身を立てる決意をした。独力で自然と対峙する高橋の挑戦がはじまったのだ。高橋の表現が、どこに変転していくのか注目していきたい。
三澤 新弥(安曇野市教育委員会)
Misawa Shinya(Azumino-shi Board of Education)
常田 泰由
Yasuyoshi Tokida

>《Drawings》2001−2010年
Works & Comment
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When I maintain a certain distance from shapes, my artwork is completed. Additionally, in my collage works, which I embarked on recent years, shapes of both colored, cut-out paper, and its residue co-exist, but exhibit a certain distance from each other. I think that measuring distance between objects and myself, as well as between one object to another, is the way I execute my art.

>《f.p.》2017年

>《t.p.》2017年

>《c.f.》2017年

Profile
常田 泰由 Yasuyoshi Tokida
版画
- 1980
- 長野県生まれ
- 2004
- 東京造形大学造形学部絵画専攻卒業
- 2006
- 愛知県立芸術大学大学院美術研究科油絵専攻修了
- 2010
- 東京造形大学非常勤講師(〜2014、2015〜)
- 2015
- 武蔵野美術大学非常勤講師
主な受賞歴
- 2003
- 第28回全国大学版画展収蔵賞
- 2004
- 第29回全国大学版画展収蔵賞
- 2005
- 第30回全国大学版画展収蔵賞
- 2006
- 愛知県立芸術大学大学院修了制作買上げ
主な作品発表歴
- 2009
- グアンラン国際版画ビエンナーレ(グアンラン美術館/中国)
「版画―日本の第二言語」(日本美術技術博物館マンガ/ポーランド)
- 2011
- 「第7回造形現代芸術家展」(東京造形大学附属横山記念マンズー美術館/東京都)
- 2014
- 「4つの窓 長野ゆかりの版画家4人展」(須坂版画美術館/須坂市)
- 2015
- 「上諏訪中学校+常田泰由 かたちをみつけて」(諏訪市美術館/諏訪市)
- 2016
- 「Drawings」(switch point/東京都)
「ZOKEI NEXT 50」(Arts Chiyoda 3331/東京都)
- 2017
- 「collage」(gallery N/愛知県)2013、2011、2008
「Views of Contemporary Japanese Printmaking」(Famagusta Gate/キプロス)
「Poetry of place 場所の醸す詩情」(The Koppel Project/イギリス)
「piece」(Gallery惺SATORU/東京都)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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「かたち」集めのスタートは、身の回りのあらゆるものの形の素描からはじまる。学生時代から描き続けられてきたドローイングの数は数千にもおよぶという。ドローイングは輪郭を集めるように描かれ、そのなかから「かたち」を選び、そこを出発点として版画にしていく。
選ばれた「かたち」は型紙となり、刷紙のうえで均一に油性インクをのせた版木が置かれ、プレス機に通される。型紙のあるところはインクが付かず、型紙のないところはインクが付くというシンプルな方法で作品はできている。これは、木版ではあるが版木を彫って製版するのではなく、木版と、型紙を使用するステンシルを合わせた技法だといえる。プレス機を通した瞬間に作品が生まれるこの技法は、もともと何気なく描きとめられたドローイングを作品とするのに適した瞬間性を持っている。
ほかにも、「かたち」への興味からコラージュ作品も制作している。コラージュの制作では、「かたち」の探し方は変化し、どこか現実にあるもののなかからではなく、紙のうえで色と形のバランスが整う瞬間を探し、作品とする。また、紙を切り抜いたあとの紙片を使用することもあり、意図したもの、しないもの、意識と無意識それぞれの「かたち」を組み合わせたコラージュを元に、版画作品にも変換している。そうした過程を経て、作為のあまりみえてこないような、作家の目指す、ただ寡黙にそこにある、浜辺の石や無銘の古壺のようなあり方に近づいていく。
制作過程を経て「かたち」は少しずつ変化する。発見された「かたち」は、ドローイングの線画となり、型紙となる。プレス機に通され版画作品となる。もとのモチーフの要素が消えていき、シンプルな「かたち」として絵になっていく様子を、モチーフの単語の頭文字のみが残ったタイトルが表わしている。
丸山 綾(諏訪市美術館)
“Shapes” are utilized as patterns which are rendered on paper. Then the paper with those patterns goes through a pressing machine together with a wooden plate applied with oil-based ink.By utilizing this technique combining woodcut printing with stencils, you see the finished work immediately after the paper passes through the pressing machine. This technique also makes it possible to transform his spontaneous drawings to finished works.
These “Shapes” change in time and process. The form of the original shape disappears, leaving just simplified shapes in his prints. Then finally, only initials representing the title of the work, chosen by the artist, become its true title.
Maruyama Aya(Suwa City Museum of Art)
中村 恭子
Kyoko Nakamura

>《風景を漁る者-現実よりも懐かしい》2017年
Works & Comment
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>《皿鉢絵》2015−16年

>《皿鉢絵》2015−16年

>《皿鉢絵》2015−16年

>《皿鉢絵》2015−16年

>《かものはす-急上昇》2014−15年

>《かものはす-急上昇》2014−15年

Profile
中村 恭子 Kyoko Nakamura
日本画
- 1981
- 長野県諏訪郡下諏訪町生まれ
- 2010
- 東京藝術大学大学院美術研究科日本画研究領域博士課程修了
- 2014
- 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員
主な作品発表歴
- 2007
- 中村恭子展「植物的方法」(長野県高森町蘭植物園/高森町)
- 2008
- 中村恭子日本画作品展(サンシャインシティ世界のらん展/東京都)
中村恭子展「ランの解剖学」(長野県高森町蘭植物園/高森町)
- 2009
- 中村恭子日本画作品展「生命の解剖学-生きた自然を描く」(数奇和ギャラリー/東京都・滋賀県)
口頭発表+展示:中村恭子「ランを通して読むアーダ」(日本ナボコフ協会大会、東京外国語大学/東京都)
- 2010
- 中村恭子展「生殖の線と百刻みの刑」(ジィオデシックギャラリー/東京都)
銅金裕司・中村恭子展「シルトの岸辺」(Art Space Kimura ASK?/東京都)
- 2012
- 銅金裕司・中村恭子展「精神の経済学」(Art Space Kimura ASK?/東京都)
- 2015
- 口頭発表+展示:中村恭子日本画作品展「人が自然を産み出す話:異質なものの普遍性」(アジア・アフリカ言語文化研究所/東京都)
口頭発表+展示:中村恭子「空虚な坩堝:いまひとたびの壺葬論」(第9回内部観測研究会、早稲田大学/東京都)
- 2016
- 中村恭子展「首を擡げたアルシブラ」(Art Space Kimura ASK?/東京都)
- 2017
- 口頭発表+展示:中村恭子「SAWACHI DE MOBY DICK complete」(第11回内部観測研究会、早稲田大学/東京都)
中村恭子皿鉢絵巻展(Art Space Kimura ASK?/東京都)
口頭発表+展示:Nakamura,K.,Gunji,Y-P.,“ Entanglement of'art coefficient', or creativity”( Worlds of Entanglement,the Free University of Brussels/Belgium)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
哺乳類の「生きた化石」と呼ばれるカモノハシ。異質な部分が結合し、人間による分類を超えるような奇妙な姿を呈しており、この画家の新たな生命理解と芸術的展開への意欲をかきたてた。カモノハシの尻尾を、シャルル・フーリエ(1)が来るべき時代に人間に備わると唱えた「第五肢=万能肢」に類比し、未来の人間の新たな姿や世界を重ねる。
私たちが豊麗な姿として認識するランの花がエキゾチックな断片となって浮遊し、つながる作品には、官能的な迷宮に迷い込んだかのような目まいを覚えるが、ハナバチとランとの擬似交接からは、経済社会における人間の、貨幣との両義性さえ照らし出される。
「皿鉢」料理に登場する小動物のおどけた行動によって、大皿を囲む人びとが、刻まれた魚を互いに口に運ぶ行為が浮かび上がり、アニメーションのごとく次々と展開する長大な巻子作品では、外海を泳ぐ巨大な鯨が最後に対比的に描かれる。自然と共立する人間の新たな眼差しが暗示される。
陸と水とが無限に拮抗する汀(みぎわ)に生きるアサリは、海上に浮かぶ蜃気楼をみることができるのだろうか。生物個々が認知する主観的な世界は、いわばそれぞれのイリュージョンかもしれないが、蜂や鳥の眼を通して人間の姿を映す手法が埋め込まれ、人間の認識や眼差しを問うようだ。
ときに奇矯、奇想な画風だが、決してユートピアの夢想ではなく、意想外の異質なモチーフを対置し、人間の新しい生命像へのアプローチと絵画表現の果たす可能性を探る中村のスタンスは明瞭だ。
(1) 1772−1837フランスの哲学者、社会思想家
赤羽 義洋(辰野美術館)
In her work consisting of fragmented orchids, which represents the pseudo-copulation of bees and orchids, she renders another interpretation of human beings as the monetary force in the socio-economic system. She also lays the tail of a platypus on a human figure in her painting, assimilating it to a “fifth foot” of a future human being. In her picture scroll, fantasies flow out of dishes of “Sawachi Dishes,” which is reminiscent of animation films. In her work, she seems to imply a co-existence of human beings with nature, through other living organisms and the irregularly sliced food that she rendered.
Akahane Yoshihiro(Tatsuno Art Museum)
藤沢 まゆ
Mayu Fujisawa

>《楽園(部分)》2014年〜
Works & Comment
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そうするとそこから次々と浮かんできて、それをひたすら衝動のままに染めていく。そのなかで言葉も浮かんできたり、もしくは完成した何日もあとに現れたり。
言葉はその作品が、この世に生まれてきてよかったなと思ってもらいたいので、いつの間にか自分のなかで作るようになっていました。
絵の完成をみるときは、「こうなったんだ〜」と他人事のように思います。
なぜ自分はこんな絵を描くのだろうと考えたときに、行き着いた言葉が「つながり」です。自分の記憶や思考を探っていくと、世界のすべてのものが同じで、つながっていて、とてもシンプルで美しいのだなと思っていたから。
今回の作品《楽園》は2014年から作り続けている作品です。
たくさんの報われない命が少しでも心地いいと思える場所を作りたかったのです。美しいものはとても強く、儚く、まっすぐでめまいがするほどです。
As images begin to surface one after another, I keep dyeing while trusting my impulses. Words come forth readily during this process, or perhaps many days after the completion of my works. With words, I want to celebrate the birth of my artworks so that they will find happiness on earth. That is why I became accustomed to composing the words within myself subconsciously.
When I look at my completed art, I realize “OK, this is how it came out,” as if I were observing it from a distance.
When I asked myself why my works turn out as they do, the word I came across was “connection.” When I traced my recollections and thoughts, I figured out that everything in the world was the same-- connected, very simple and beautiful.
I had worked on “Paradise” since 2014, which is exhibited here.
There are a lot of creatures that go unrewarded, and I want to give them cozy places. Whatever the beautiful things may be, they are also strong, ephemeral and straight. Whenever I look at them, their intense energy makes me dizzy.

>《楽園》2014年〜

>《楽園(部分)》2014年〜

Profile
藤沢 まゆ Mayu Fujisawa
染色
- 1986
- 長野県伊那市出身、小学校の頃2年間アメリカで過ごす
- 2007
- 女子美術大学短期大学テキスタイルデザインコース卒業
- 2008
- 同大学専攻科卒業
- 2009
- 装画『ホ・オポノポノの教え』信州高遠美術館アートスクール(〜2015)
主な受賞歴
- 2008
- 女子美術大学卒業制作優秀賞受賞
主な作品発表歴
- 2010
- 個展(信州高遠美術館ギャラリー/伊那市)
- 2011
- 個展(Gallery b.TOKYO/東京都、京橋)
Artist Apartmen(t 伊勢丹立川/東京都)
- 2012
- 個展(BANANA MOON/安曇野市)
- 2014
- 個展(GALLERY A/N/東京都、日本橋)
ダンス公演「GingerRope×藤沢まゆ」
「代官山猿楽祭」(ART FRONT GALLERY/東京都)
雑誌掲載/木村カエラとコラボ『NYLON japan』
書籍掲載/木村カエラアートブック『Session』
- 2015
- 「高遠エフェクト」(信州高遠美術館/伊那市)
「plus ultra the art fair 2015」(青山スパイラル/東京都)
「テキスタイルミニアチュール展4」(Gallery5610、金沢21世紀美術館/石川県)
エレベーターアートラッピング(ルミネ新宿1/東京都)
イベントメインビジュアル(ルミネ横浜/神奈川県)
- 2016
- 個展(art space morgenrot/東京都、青山)
個展(OUCHI GALLERY/USA、N.Y.)
「染めの世界と暮らしのデザイン」(阪急うめだ/大阪府)
「英国ウィーク」(新宿伊勢丹本館5F/東京都)
MV、CDジャケット/歌手ZYUN.
- 2017
- 「Summer Group Show」(ONISHI GALLERY/USA、N.Y.)
装画『人生が変わるホ・オポノポノの教え』
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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伊那市高遠町に生まれ、自然に囲まれた環境のなかで育ち、幼い頃、母親の絵本の読み聞かせに、いつしか自分の空想の世界を思い描いていた。
「本当は、世界中のすべてのものは同じ」――すべてのものの根っこは共通だという認識を持ち、複雑に絡まったようにみえるものも、本当に大切なものはとてもシンプルなもの、という。人間の日々の生活から宇宙にいたるあらゆることが、人間は自然の一部だという一体感とともに、今この場所で感じ、考えることでみえてくる。
そんな思いを抱きながら、染色を通して「藤沢まゆの世界」を表現する。
今回出品する《楽園》には、次のような詩を添える。
ここではないどこか遠くにある場所
今は見えないけれど、いつか会える場所
たくさんの悲しみや憎しみを大きく包み込む場所
いま、目の前にある
つらく悲しい命がむくわれるように
わたしたちの過ちをお許しください
わたしは小さい者だから
とても小さい力しかないけれど
ここから祈ります
あなたが幸せに、笑顔になりますように
武井 文一(信州高遠美術館)
Using mixed motifs of plants, animals and other familiar objects in nature that reflect her worldview, she creates narrative pictures and continues to present her works at various exhibitions.
She says, “Everything on earth is basically the same,” projecting a perception that everything stems from the same root - even things which look tangled and complicated turn out to be very simple and plain in actuality. Furthermore, she also holds that living a normal life is not just an ordinary thing, but both miraculous and extraordinary. In her works, she renders the “World of Fujisawa Mayu” through dyeing with an earnest wish for the prevalence of peace.
Takei Fumikazu(Takato Museum of Arts)
小野寺 英克
Hidekatsu Onodera

>《水面に浮かび上がった動物》2007年
Works & Comment
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また、近年自作の造形が様式化している反省から、異素材である陶を採り入れて造形のアクセントとするなどし、今後の展開を摸索している。
In addition, based on self-examination of my work that has stylized in recent years, I am adopting new techniques of using different materials such as ceramics and so on, to give accent to my woodcarvings. This is how I continue to find new ways to create my works.

>《空に溶け込む動物》2009年

>《空に溶け込む動物2》2012年

>《空に溶け込む動物4》2017年

Profile
小野寺 英克 Hidekatsu Onodera
彫刻
- 1982
- 栃木県小山市生まれ
- 2005
- 信州大学教育学部美術教育分野卒業
- 2006
- 宇都宮大学研究生(〜2007)
ライフワークとして彫刻制作を開始
- 2009
- 上越教育大学大学院学校教育研究科「美術」修了
- 2010
- 長野県蘇南高等学校講師(〜2015)
- 2015
- 栃木県立益子芳星高等学校講師
主な受賞歴
- 2006
- 二紀展(第60回)奨励賞
第60回栃木県芸術祭芸術祭賞
- 2008
- 二紀展(第62回)優賞
- 2010
- 二紀展(第64回)損保ジャパン美術財団奨励賞
- 2012
- 第31回損保ジャパン美術財団選抜奨励展 新作優秀賞
主な作品発表歴
- 2006
- 第60回二紀展奨励賞
第60回栃木県芸術祭芸術祭賞
- 2008
- 第62回二紀展優賞
- 2010
- 第64回二紀展損保ジャパン美術財団奨励賞
- 2012
- 第31回損保ジャパン美術財団選抜奨励展新作優秀賞
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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~独特なマッス、うずくまるネズミ~
モチーフは一貫してネズミ(ラット)である。不気味で、ユーモラスでもあり古くから物語などに取り上げられてきた小動物を、巨大化させて迫力ある木彫に仕上げている。
小野寺は信州大学と上越教育大学大学院で学んだあと、2010年から5年間、木曽郡南木曽町で高校講師を務めた。ここで家族とともに暮らしながら地域になじみ、旧妻籠小学校をアトリエに使用した。筆者はこの頃に小野寺の存在を知り、《空に溶け込む動物》(2009)を観た。うずくまるネズミと延々とのびゆく尻尾の対比は緊張感あふれ、デフォルメされた姿に惹きこまれた。
今回、創作の秘密を探ろうと小野寺の過去の論文を読ませてもらった。論文によると大学時代、木彫制作の途中でみえない部分に施す内刳り(うちぐり)(軽量化と表面の割れ防止)がきっかけで内部構造探求に目覚めたらしい。人体構造の把握や手の所作など身体言語にも高い関心を持った。そこで小動物などのモチーフを貪欲に研究しながら、人体の一部を獣のなかに侵食させる試行を繰り返し、独特のマッス(量塊)を持つ現代彫刻を生み出すに至った。
《空に溶け込む動物2》(2012)も1匹のネズミが登場する。尻尾は円環となり先端をくわえながら空中に浮かぶようだ。前作より台座が高くなり重力から解放された軽やかさも加わり、自在な造形力でイメージを実在に置き換えることに成功している。筆者には、深い森林と高峰に囲まれた谷あいから広い空に憧れて、美しく赤く染まったネズミの化身にもみえる。本作で「第31回損保ジャパン美術財団選抜奨励展FINAL」新作優秀賞を受賞した。
本展は2007年からの作家の創作の軌跡と、2017年の新作までを木曽会場のレトロな空間で鑑賞できる初めての機会である。
伊藤 幸穂(木曽町教育委員会)
After earning his Master degree in art from Shinshu University and attending additional educational institutions, he continued to work on woodcarving while teaching at a high school located in Nagiso-machi and others as a lecturer from 2010 to 2015.
His work entitled “An Animal Melting into the Sky2” (2012) arouses the impression of a rat floating in the sky with its huge curling red tail. For this work, which is real in appearance and powerful in its presence, he was awarded the Excellent Work Award at the “31st Sompo Japan Award Exhibition.” This is the first display of an exhibition that gives the viewers an opportunity to see a series of works by the award-winner since 2007.
Ito Sachiho(Kiso-machi Board of Education)
角居 康宏
Yasuhiro Sumii

>《票》2017年
Works & Comment
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人間とそのほかの生物を隔て、人間たらしめている最たるものは「意識」というものであろう。
「意識」を獲得することにより人間は死を予測し、自分自身を失うという恐怖を乗り越えるために祈り、祈りは多様化しながらそれを具現化するためにものを作った。
作るという行為がどんなに高度化しミクロの世界に入り込もうとも原点はそこにある。
有史以来、人はしあわせを祈り、豊穣を願い、ものを作り続けている。
そして今その端くれに自分が立っている。
そのことを自覚しながら作るという行為を続けることで、人間そのものの本質にふれることができるのだと信じている。
I imagine “consciousness” separates us human beings from other living organisms more than anything else.
By having “consciousness,” human beings expect death, and, by praying, we try to overcome the fear of losing our bodies. Our prayers become diversified and, to materialize those prayers, we create.
How sophisticatedly we produce, how microscopically we manufacture, it all starts there!
Ever since history began, we have prayed for happiness and fertility, and have continued to create.
Now, I take a small part in creating.
If I continue to work with such ever-present consciousness, I believe, I will be able to touch the true nature of who we are.

>《票(部分)》2017年

>《たま》2017年

>《染色体》2002年

>《染色体(部分)》2002年

>《はじまりのかたち》2007年

Profile
角居 康宏 Yasuhiro Sumii
金属造形
- 1968
- 石川県金沢市生まれ
- 1993
- 金沢美術工芸大学美術工芸学部産業美術学科工芸デザイン専攻卒業
卒業後、陶芸家の鯉江良二の工房で学ぶ
長野県に移住し、原始古代からの自然に対する人間の営みをテーマにした《原初》(1998)、《呪術》(2003)、《依代》(2006)、《秘密》(2008)、《神話の風景》(2013)、《層》(2016)、《野辺》(2017)シリーズを制作している
主な受賞歴
- 2009
- 佐野ルネッサンス鋳金展優秀賞
主な作品発表歴
- 1995
- 「天理ビエンナーレ」(奈良県)
- 1997
- 「洞爺湖国際彫刻ビエンナーレ」(北海道)
- 2005
- 「中国国際画廊展覧会」(中国、北京)
「KOREA INTERNATIONAL ART FAIR」(韓国、ソウル)
- 2007
- 個展「はじまりのかたち」(八十二文化財団/長野市)
「第6回まつしろ現代美術フェスティバル」(長野市)
- 2008
- 個展「はじまりのかたち」(金沢市民芸術村/石川県)
- 2009
- 「佐野ルネッサンス鋳金展」(栃木県)
- 2015
- 「はじまりのかたち 角居康宏金属造形作品展」
(山ノ内町立志賀高原ロマン美術館/山ノ内町)
- 2016
- 「はじまりのかたち 角居康宏金属造形作品展」
(関口美術館/東京都)
- 2017
- 角居康宏鋳金展「はじまりのかたち」
(信州高遠美術館/伊那市)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
日本語テキストで読む
Read in English Text
早い時期に陶芸家の鯉江良二の影響を受けたことが、この作家の芸術性の方向を定めたように思われる。陶芸は成形の段階こそ作家の意図がおよぶが、窯に入れてからは火の力に頼る。完成形が予測できない。作品は作家の統制を離れて自然の力を借りることになる。角居康宏の制作はこれとよく似ている。
人間が美術という概念を確立するずっと以前に、人間の心や意識の根底にあった「美しい」という感覚は、人間にはどうにもできない自然の力や運命に対する畏怖や感謝、喜びや悲しみの感情と不可分に結び付いているように思われる。いや、そうした人間の理解を超えた絶対的な力に対する人間の感情がまず先にあり、それが昇華されて美しいという感覚に達したのだろう。
西洋はルネサンス以降、人間と自然を対立した関係としてとらえ、人間の尺度で自然を解釈していくという人間中心の世界観にもとづいて発展してきており、美術もその例外ではない。翻って東洋では、人間と自然は対立した関係ではなく、自然の一部にすぎないと考えた。人間が自然のなかに入り込み一体となって振るまう世界観は、山水画など古くからの東洋絵画にみられる。
角居康宏の芸術の座標とは、こうした両洋の自然への解釈に至るよりずっと前の、人間の自然に対する驚きや畏敬の念に裏打ちされた無垢な意識のうえに立つ。人間が太古の昔に感じ、そして進歩することで忘れていったこの感覚を芸術としてのかたちに完結させたことにある。
角居康宏の作品は、われわれの記憶を美術が美術と認識される以前の始原的な感覚にまで遡らせることにより衝撃的であり、われわれに与える印象は強烈なのである。
いつから私たちは謙虚な気持ちを失ったのだろう。畏れるべき大いなる存在をなくしたのだろう。角居康宏の作品に囲まれると、私はいつもそんな思いにかられる。
大竹 永明(松本市教育委員会)
The art of Sumii Yasuhiro is based on innocent consciousness which naturally originates with our sense of wonder or awe of nature. He embodies in his works feelings which mankind once bore before, in ancient days, but became lost in our progress toward the future.
The work of Sumii Yasuhiro conveys shocking and strong impressions because it compels us to trace our memory back to primitive times long before the days when art was recognized as art.
Otake Nagaaki(Matsumoto-shi Board of Education)
瀬尾 誠
Makoto Seo

>《古金胎色漆文ヤンポ(卵殻・泉健太郎)》2015年
Works

>《古金胎色漆文香盒》2016年

>《木胎色漆文小箱》2014年

>《古金胎色漆文印籠》2014年

Profile
瀬尾 誠 Makoto Seo
漆芸
- 1983
- 滋賀県近江八幡市生まれ
- 2007
- 金沢美術工芸大学工芸科漆木工専攻卒業
- 2009
- 長野県上松技術専門校木工科修了
- 以後
- 長野県大桑村にて漆による作品の制作
主な受賞歴
- 2006
- 石川現代工芸展入選
- 2008
- 京展入選、KFS イラストコンペティション優秀賞
- 2010
- 大阪国際アートトリエンナーレ 2010 入選
ほぼ日刊イトイ新聞作品大賞入選
- 2010
- 伊丹国際クラフト展入選
- 2012
- 伊丹国際クラフト展入選
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
日本語テキストで読む
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この有機的な模様と暖かみのある色合いは、漆によるものである。漆を施す対象は、木材だけでなく、陶器や金属、古道具と多岐に渡り、漆の表情を多彩にする。
懐かしくありながらどこか新しい、伸びやかでいながら繊細、木訥としながら華やか、といった、相反する要素を両立させ、私が抱く漆器への固定観念を軽やかにすり抜けていく。彼の作品を工芸品なのか美術品なのかと分類するのは、無意味に感じられる。作家自身も「分からない」という。
1983年、滋賀県の近江に生まれる。金沢美術工芸大学、長野県上松技術専門校を経て、そのまま木曽に移住した。金沢と木曽という漆に縁の深い地で学び、漆の持つ多様な可能性を追求している。伝統工芸の先人への敬意を払いながら、従来の漆器とはまたちがった、新しい、自由で色彩豊かな世界観をつくり出している。
河井寛次郎、芹沢銈介、柴田是真、円空、木喰といった彼のあげる好きな作家と共通するのは、手しごとへの敬意と同時に、どこか型破りな遊び心を思わせるところだ。
近年では、竹細工や卵殻細工といったまったく異なる技法を使用する他作家とのコラボレーションを積極的に行っている。作品を作るうえでは綿密な話し合いをあえてせずに、互いに作品そのものを通して「挑発し合う」のだという。言葉ではなく作品による対話の純粋な楽しさと喜びが、作者の創作意欲をかき立てている。
無意識に枠からはみ出す彼の作品は、みたことのないものをみた驚きや興奮を与える。
立野 直緒(木曽路美術館)
Showing respect for traditional lacquered arts and crafts, he creates his own free and colorful world of lacquer, which differs from convention. His work gives proof that any classification between arts and crafts is meaningless.
In recent years, he has actively collaborated with other artists working with different media, such as bamboo, eggshells and so on. His belief is, as he has said, “It’s important to inspire each other.” The joy of non-verbal dialogue through works fuels his motivation for further creation.
Tatsuno Nao(KISOJI ART MUSEUM)
千田 泰広
Yasuhiro Chida

>《0.04》2017年
Works & Comment
日本語テキストで読む
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情報と物が容易に行き交う時代、地域の意味と特性は薄まっている。そこで個性を持たせるために、土産や祭りを作り出す。目的はそれらの意味になく、経済効果にある。経済が目的である以上、その手法や競争自体がコピーとなり、そこに個性などあるはずもない。
このような状況において、地域に入り、制作することに、何が可能だろうか。木曽ではただ作品を持ち込み展示するのではなく、展示後に意味があること、ここで暮らす子どもたちの役に立つことができたらと思う。住環境として適さない御料館の地下室を、自分たちの手で居心地の良い場所に変える体験を作りたい。具体的な環境を自分たちの手で変えていく体験はそのまま、世界を自分たちの手で変えていく力に繋がると、願いを込めて。
Due to the free flow of information and goods in modern societies, the significance of local communities and their distinctive characteristics are becoming indistinguishable. To compensate for this negative effect, local communities are trying to produce unique souvenirs and host various kinds of festivals. The problem underlying souvenirs and festivals is the lack of depth in meaning, as their sole aim is to make profit. Because local communities are driven by economic gain, similarity in their activities and products can be seen wherever you go. The element of uniqueness is nonexistent.
Submersed by these problems, I wonder how we can contribute to local communities and what we can create. In Kiso, I cannot be content with just exhibiting what I have created. I hope my small contribution to this art exhibition will bring about a longawaited effect after the exhibition by leaving the local children with a precious gift. My desire is to transform the basement of this data hall, which is unsuitable as a place to live, into a cozy place for children to spend time, with the help of others. I hope this experience of converting tangible surroundings with our own hands will give us new abilities to change the world.

Profile
千田 泰広 Yasuhiro Chida
インスタレーション
- 1977
- 神奈川県生まれ
武蔵野美術大学建築学科専攻
高所登山やケービングなどのフィールドワークを行い、「空間の知覚」「体性 感覚の変容」をテーマに空間を実体化する作品を制作。ほか、建築、舞台美術、空間演出などを行う。現在、長野県の山林に環境と一体となったアートパークを建設中。
www.chidayasuhiro.com
主な受賞歴
- 2014
- スマートイルミネーション横浜オーディエンス賞
- 2015
- 六甲ミーツアート、イセ カルチュラルファンデーションアルテラグーナ賞ノミネート、あいちアーツチャレンジ
- 2016
- 世田谷ライトインファーム最優秀賞
主な作品発表歴
- 2010
- [Kalamatoria 01/Retina light]「文化体験プログラム展」(豊科近代美術館/安曇野市)
- 2013
- [Myrkviðr 38.44r](カラマパーク)
[Myrkviðr]「千田泰広インスタレーション展」(軽井沢ニューアートミュージアム/軽井沢町)
- 2014
- [Himaraya in the zelt]「テント村#4」(art and river bank/東京都)
- 2015
- [Your box]「テント村#5」(art and river bank/東京都)
[1,443km/s]「宇宙芸術祭」(種子島)
[Retina Wave]「スマートイルミネーション横浜」(神奈川県)
[3x1+/300,000km/s]「宇宙をみる眼展」(志賀高原ロマン美術館/山ノ内町)
- 2016
- [Brocken 5.1]「Signal festival」(チェコ、プラハ)
[Brocken 5.1「] BLIK BLIK light festival(」チェコ、プルゼニ)
[Gene Pool Pool「] Behind Ghost In the Cell」(金沢21世紀ミュージアムギャラリー/石川県)
- 2017
- [Brocken 6 A] Amsterdam Light Festival (オランダ)
Solo exhibition Die Licht-Zeit Cologne(ドイツ)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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ところで、そもそもタイトル《0.04》は何を示しているのか? どんな仕組みでできている作品なのか? まったくわからない。聞いてみれば、タイトルは作品のコアにあたる水滴の体積。仕組みは、仕掛けのなかににじみ出てきた水が、光に照らされ、それを外部に屈折しながら、徐々に膨らんでいく。それが臨界に達すると落下する。なるほどかなりシンプルな構造をしている。ん? たしかこういった感じを適切に評した言葉があったような気がする…。「高貴なる単純、静かなる偉大」。本来の意味とはちがうかもしれないが、評語の醸すイメージは不思議とシンクロする。
2カ月ほど前、「次回は、光を使って鹿威し(ししおどし)みたいな作品を作ってみたいんですよね」とラフをささっと描きながら話をしてくれていたことを思い出す。作りがシンプルなだけに、光の色や環境を変えることで、表現は無限に広がりそうなものだが、そうした安易な方向ではなくて、まだまだ表現のクオリティを上げる方向で研ぎ澄ませていきたいという。彼のこういうところが僕は好きだ。表現したい情景を思い描き、それを表現しきるということ。この求めていく姿勢が、近頃の作品でいえば《900,000km/s》(2015)や「Brocken」シリーズにつながっているように思う。《900,000km/s》は宇宙最速のスピードを感じさせてくれるもので、宇宙を対象とするその世界観、歯車を使ってそれを表現するという発想力に驚いてしまう。
《Brocken 5.1》(2016)のような「Brocken」シリーズが、自己模倣に陥らずに、あくまで表現を追求するなかで生み出されたヴァリアントとして仕上がっているところなどは、表現を突き詰めていく彼の姿勢の現れなのだろう。
次はどんな光景をプレゼントしてくれるのか、胸が躍る。
武井 敏(公益財団法人碌山美術館)
Once he sees what he wants to express in his mind, he sticks to it until he reaches the perfect embodiment of his image. I’m looking forward to his next piece, embodied from such a strict attitude toward creation.
“Shishi-odoshi,” which is constructed from a bamboo tube which clack against a stone when the tube is emptied, is a general name for devices used to intimidate and drive away agriculture-damaging birds and animals. We tend to enjoy its sound and natural elegance.
Takei Satoshi(Rokuzan art museum)
矢島 史織
Shiori Yajima

>《Monster #10》2016年
Works & Comment
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森の中で、コントラストの強い木漏れ日のトンネルに出会うとワクワクした。刻々と姿を変えるその現象は生命の躍動感に溢れ、鮮烈な太陽の陽射しがつくりだす世界は私の作品に「光と影」をもたらした。
それから私は、太陽の形を追い求めるようになった。
しかしながら、ある年の春、木漏れ日との決別を決めた。
なぜなら、ビジュアルだけでなく根本から作品を変えたい、という強い思いがあったからだ。
それから4年。グラスを通した「光と影」はやがて心の中に宿り、光が強ければ強いほど影の色が深いことに気がついた。
今でも木漏れ日の光の輪は私を引きつけて離さない。
トンネルの先には一体何があるのだろうか。
まだ答えは見つかっていない。
In the woods, I was enthralled to encounter the tunnels shaped by these rays of sunshine creating a striking contrast. The phenomenon by the sunlight, transforming every second, seemed vibrant with life, and the world created by the vivid sunshine brought “light and shadow” to my works.
Since then, I have been searching for the effects of the sun.
But, on a spring day, I decided to distance myself from these rays of sunshine.
Because I felt a strong desire to change my works, not only visually, but also essentially from its very foundation.
Four years have passed since then. "Light and shadow" through glass have gradually entered my heart instead, and I took notice of a phenomenon where the brighter the light gets, the darker the shadows become.
The circles formed by the rays of sunshine through the branches of trees still captivate me.
What’s on the other end of these tunnels?
I have yet to find the answer.

>《Forest》2012年

>《One day》2010年

>《Monster #13》2017年

Profile
矢島 史織 Shiori Yajima
日本画
- 1979
- 長野県茅野市生まれ
- 2005
- 多摩美術大学大学院美術研究科日本画領域修了
主な受賞歴
- 2014
- The 9th 100 ARTISTS EXHIBITION 1st Prize
- 2015
- 清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ準大賞・美術館賞
シェル美術賞2015準グランプリ
- 2016
- 第5回あさごアートコンペティション優秀賞
主な作品発表歴
- 2005
- 「矢島史織展」(ギャラリー渓/東京都)
- 2006
- 「羅針盤セレクション HOPE 2006 VOL.2 様々なニホン画」(アートスペース羅針盤/東京都)
「ウチダヨシエ/矢島史織展」(ギャラリー渓/東京都)
- 2007
- 個展「Emotional Landscape」(柴田悦子画廊/東京都)
個展「ひかりをつなぐ」(銀座スルガ台画廊/東京都)
- 2008
- 個展「光の増殖」(桜華書林/長野市)
- 2009
- 「矢島史織展」(柴田悦子画廊/東京都)
- 2010
- 個展「あふれる光・ゆらめく影」(ギャラリー82/長野市)
現代アートシーンIV「感覚の向こうへ」(小海町高原美術館/小海町)
- 2011
- 「第1回メタモルフォーシス展」(ギャラリー82/長野市)
以降第2回(2014年)と第3回(2017年)にも出品
- 2013
- 個展「MIND SCOPE」(LIXILギャラリー/東京都)
- 2014
- 信濃美術をみつめる#4 矢島史織(茅野市美術館/茅野市)
個展「Beyond the Forest」(OUCHI GALLERY/USA、N.Y.)
- 2015
- 「開館2周年記念特別企画展 新世代アーティスト展 矢島史織」(市立岡谷美術考古館/岡谷市)
清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ「Vol.79 矢島史織展 ひかりのなかの永遠」(清須市はるひ美術館/愛知県)
- 2016
- 個展「Little Little Little ...」(桜華書林/長野市)
- 2017
- 矢島史織・石井奏子展(アートスペース羅針盤/東京都)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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1979年、長野県茅野市に生まれた矢島は、日本画の顔料そのものの魅力と、日本美術に興味を持ち日本画を志した。多摩美術大学の大学院生のとき、八ヶ岳の森で木漏れ日のピンホール現象にふれた。太陽の光が、葉と葉の隙間を通ることで生まれる、楕円形にゆれる光の輪。その風景に心の奥底から感動し、その脳裏に鮮烈な印象を残したという。
ゆらめく光と影。自然や生活のなかにある木漏れ日を数年に渡り追い続け、「木漏れ日」シリーズが生まれる。やがてより心象に迫った「光と影」を描きたいという気持ちから「グラス」シリーズが生まれた。「誰もが持ち合わせている内面的な影を、身近なグラスの水の中に潜ませたい」と語り、自身の心の「光と影」をも追い求める。
目にみえる「光と影」、目にみえない「光と影」。モチーフを変えてその両方を約10年に渡って描き続けた矢島は、2015年に新しいシリーズ「Monster」を発表する。
自身の子の姿を主題とし、瞬く間に成長する子と、その脳の発達、そういった変化を身近に感じながら、花や棘、貝、ソフトクリームなどとの組み合わせを試みながら表現する。たとえば、本展に出品する《Monster #10》では、茅野市内の散策のなかでみつけた直径4cmほどのルリダマアザミを脳に重ねて、爆発的なエネルギーで変化していく様子が描かれている。子の目をつぶる静かな表情、そしてその表情からは想像できないような脳の発達。花のなかの小宇宙。そこにはさまざまな「光と影」をみることができる。
矢島の原風景には、幼少期、父と過ごした八ヶ岳の山々で感じた木々の呼応、生命の輝きがあるという。その輝き=光の裏には、山という場所があわせ持つ、危険な影も潜んでいる。矢島は自身の理想を「自然の光に匹敵する光をみつけて描きたい」と語る。今後も、自然と人の心をみつめながら、新たな光、そして影をわれわれにみせてくれるだろう。
前田 忠史(茅野市美術館)
Maeda Tadafumi(Chino City Museum of Art)
青山 由貴枝
Yukie Aoyama

>《夜に沈む》2014年
Works

>《ふたりぼっち》2015年

>《雨あがり》2015年

>《ビーナス》2015年 110

>《カランコエ》2017年

>《ひそひそばなし》2016年

>《apartment Ⅰ》2016年

Profile
青山 由貴枝 Yukie Aoyama
銅版画
- 1987
- 埼玉県生まれ
- 2010
- 日本大学芸術学部美術学科絵画コース卒業
- 2012
- 日本大学大学院 造形芸術専攻版画コース博士前期課程修了
- 現在
- 長野県在住
主な受賞歴
- 2010
- 日本版画協会展第78回版画展
第11回浜松市美術館版画大賞展
- 2011
- 第3回ガンラン国際版画ビエンナーレ
- 2012
- 第11回南島原市セミナリヨ版画展
版画協会展第80回記念版画展
- 2016
- 版画協会展第84回記念版画展
- 2017
- 第7回山本鼎版画大賞展
主な作品発表歴
- 2010
- 「日芸版画修了卒業制作展」(ギャラリー川船/東京都、銀座)
「第33回東京五美術大学連合卒業・修了制作展」(国立新美術館/東京都、六本木)
第22回ヨコハマ「未来の痕跡24」展(ランドマークホール/神奈川県、横浜)
第275回企画展「日本・台湾学生版画交流展-版の萌芽-」展(岩崎ミュージアム/神奈川県、横浜)
「第35回全国大学版画展」(町田市立国際版画美術館/東京都)
- 2011
- 「第36回全国大学版画展」(町田市立国際版画美術館/東京都)
- 2012
- 「日芸版画修了卒業制作展」(ギャラリー川船/東京都、銀座)
「版画協会展 第80回記念版画展受賞者展」(シロタ画廊/東京都、銀座)
- 2015
- 「13artistsー日芸版画OB・OG展」(ギャラリー川船/東京都、銀座)
「版画の魅力展」(サントミューゼ/上田市)
「第52回北斗会洋画展」(ギャラリー82/長野市)
- 2016
- 青山由貴枝版画展「日常風景」(飯田創造館/飯田市)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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昨日も今日も、おそらく明日も繰り返す「日常」。
私はいつも、繰り返す日常の不思議やそこに在る一瞬の風景にこだわってきた。
同じ電車や建物の中に、同じ顔、形をした自分と他者が同時に平然と存在し気にも留めず共有する日常の異空間は、ふと立ち止まると異様であり不気味である。
あるいは意味もなくおかしい。他者との出会いとは、選ばれて訪れるものだと思う。声も名前も知らず出会うことのない多くの他者の中で生活しながら、違和感なく過ごす人々。その異様さ、不気味さ、不思議に私はいつもとらわれていた。
日々の中で何気なく目にした場面を切り取り、異化しながら表現する事で、日常から発生する不安や不思議、日常の儚さを観る者に問いかけたい。
あなたは、今日、すれ違った人の顔を思い出せますか? (青山 由貴枝)
梨本 有見(須坂市旧小田切家住宅)
Nashimoto Yuumi(Kyu Otagiri House)
池田 潤
Jun Ikeda

>《Trace-Focus-09.o.Ar.F.003》2009年
Works & Comment
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この過程で現れる映像は、私たちと対象物との間に垂らされた1枚のスクリーンとして、鑑賞者の視界を遮り、イメージは浮遊した状態を保ちながら、マクロな存在も、ミクロな存在も等価なものとして、そこに表出している。
この映像が現れる過程のなかに、孔版(スクリーンプリント)との共通性を見出した。
孔版によって紙を隔てた対象へ幾度となく層を重ね、その痕跡を紙というスクリーンに定着させていく。
そこにはオブジェクトも記号性もない、ただ純粋な映像が存在するのみである。
In this way, the images we see are like screens that separate viewers from objects which cause these out of focus images to seem to float for a while. These images make no distinction between the macro and micro in nature, so the value of the objects we view remains the same.
I found similarity in this process of making images become clearer while creating silkscreen prints.
I use stencils to position multiple layers of ink, leaving the residue on screens made of paper, leaving neither objects nor encoded symbols, to render pure images.

>《Trace-Focus-10.To.Iz.F.006》2010年

>《Trace-Thread-07.Tto.Ar.F.S001-1》2007年

>《Trace-Particle-03.S15.Wa.S.021》2003年

Profile
池田 潤 Jun Ikeda
版画 スクリーンプリント
- 1984
- 長野県生まれ
- 2002
- エクセラン高等学校美術科卒業
- 2006
- 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻卒業
- 2008
- 同大学院美術研究科博士前期課程版画専攻修了
- 2013
- 同大学院美術研究科博士後期課程版画専攻単位取得後退学
主な受賞歴
- 2005
- 第30回全国大学版画展美術館収蔵賞
- 2007
- AOMORI PRINT TRIENNALE 2007審査員奨励賞
- 2009
- 第86回春陽展版画部奨励賞
- 2010
- 日本版画協会 第78回版画展立山賞
- 2011
- 日本版画協会 第79回版画展準会員優秀賞
第8回高知国際版画トリエンナーレ展優秀賞
第5回山本鼎版画大賞展キリンビール賞
第3回NBCメッシュテックシルクスクリーン国際版画ビエンナーレ展優秀賞
主な作品発表歴
- 2008
- 個展(アートミュージアム・まど/中野市)
- 2010
- 「日本当代版画邀請展 現代日本版画展-20世紀から21世紀まで-」(浙江美術館/中国)
「Print composition 2010 多摩美術大学版画教室40周年展」(多摩美術大学美術館/東京都)
- 2011
- 「ASPECTS 2011-Japanese Contemporary Prints」(Gallery of The Faculty of Art and Design Rajabhat Suan Sunandha University/タイ)
- 2012
- 「公募団体ベストセレクション2012」(東京都美術館/東京都)
- 2013
- 「池田潤 版画展」(中野市一本木公園展示館/中野市)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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さて、池田の作品展開における一貫したテーマは「痕跡」である。作品群は《Trace》シリーズと名付けられ、さらに傾向のちがいから《Shelter》《Particle》《Thread》《Focus》と4つの副題に分類される。「痕跡」とは過去に何かがあったことを示す跡形であり、時間が経過することでしか生み出せない記憶である。
池田はスクリーンプリント(=版)を用いて、この「時間」という概念の表現を試みた。スクリーンプリントは枠に張った紗の織目からインクを押し出すことにより絵柄を刷りとる版画技法で、刷るたびにインクの厚みが紙に積層し美しいマチエールやテクスチャーを生み出すことができる。シリーズはこのスクリーンプリントの特徴であるレイヤーをロジックとして展開されていく。しかし隠された意図を知らずとも鑑賞者は作品に宿る透明感ある色彩の重層と質感ある画肌の美しさに魅了される。図らずも作家の無意識の領域だ。どんなに版という客観性を持ち込んでも版を通過して表現されるのは、実は作家自身であるようだ。そこには今日を生き、版画とは何かを常に問い続ける版画家・池田潤が転写されているのであった。
前澤 朋美(長野市信州新町美術館)
Maezawa Tomomi(Shinshu Shinmachi Museum)
下田 ひかり
Hikari Shimoda

>《神さまの行方0(ゼロ)》2014年
Works & Comment
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私は普段、大体3つのテーマで作品制作をしています。今回のシンビズム展ではその3つのテーマで制作された作品ひとつずつを出品いたしました。
私は東日本大震災に大きなショックを受け、その後より「世界の姿と、人類の未来」を強く考えるようになりました。
常に相反する物事が同時に存在し、一人ひとりが平和を望むのに集団になると争いが発生する。みんなが自分の正義を持ち、誰もが孤独や不安を胸に、言葉にならない言葉を抱え、生きづらさを感じて生きている。
この混沌としてみえづらく不確実な「世界」というものの一端を、また、そんな人類が向かうであろう未来を、私の目を通して表現したいと思っています。
I generally create my art based on three themes. At this exhibition, I am exhibiting works from each.
The Great East Japan Earthquake and Tsunami in 2011 was a traumatic event for me, and this disaster caused me to ponder on “the appearance of the world and the future of mankind.”
In the world, contradicting things coexist simultaneously and, when people form groups, they begin fighting among themselves despite the yearn for peace of each individual. Each of us experiences feelings of his or her own justice, lonesomeness and anxiety in our hearts. We also have ineffable thoughts and struggles with the difficulties of living.
I would like to express in my works, an inkling of this chaotic, obscure and uncertain world and, also the future which mankind is bound for, through my eyes.

>《人類滅亡叙事詩(We can not redo)》2014年

>《この星の子ども23》2014年

>《I Do Not Know My Enemy - Girl》2016年

>《ぼくらの神様~如意輪観音菩薩~》2016年

>《人類滅亡物語~人類滅亡~》2016年

>《神様さまの行方1》2012年

Profile
下田 ひかり Hikari Shimoda
絵画
- 1984年長野県生まれ、短大卒業後、イラストレーション青山塾で2年間学び、2008年より現代美術家として活動を開始。2011年から海外でも作品を発表。現在ではロサンゼルスを中心に海外で作品発表を行う機会が多い。
主な作品発表歴
- 2008
- 「Innner Children~わたしの中の子ども達~」(MOTT gallery/東京都、曙橋)
- 2009
- 「Now,Here I am~今、ここのわたし~」(Gallery 156/東京都、銀座)
- 2010
- 「獣の皮をかぶったヒトちゃん」(GALLERY TRINITY/東京都、六本木)
- 2011
- 「Me,as in the beast coat」(Foley Gallery/USA、N.Y.)
「Lonely Hero」(DMO ARTS/大阪府、大阪三越伊勢丹内)
「Solo Exhibition」(Hellion Gallery/USA、ポートランド)
- 2012
- 「この星の子ども」(ヴァニラ画廊/東京都、銀座)
「神さまの 死んだ国で」(KURUM’ART contemporary,The Artcomplex Center of Tokyo/東京都、四谷)
グループ展「KEEP A BREAST TOKYO LOVE SHOW」(表参道ヒルズ/東京都)
- 2013
- 「ひとりぽっち宇宙」(DMO ARTS/大阪府、大阪三越伊勢丹内)
「後の世の人々について」(KURUM’ART contemporary,The Artcomplex Center of Tokyo/東京都、四谷)
- 2014
- 「Fantastic Planet, Goodbye Man」(Corey Herford Gallery/USA、L.A.)
以下グループ展「Hello! Exploring the Supercute World of Hello Kitty」(Japanese American National Museum/USA、L.A.)、「進撃の巨人展」(上野の森美術館/東京都)、「COMIC CON NEW YORK」(USA、N.Y.)
- 2015
- 「やがてゼロに至る黙示録」(KURUM’ART contemporary,The Artcomplex Center of Tokyo/東京都、四谷)
「この星の行方」(KURUM’ART contemporary, space2*3/東京都、日本橋)
グループ展「PICTOPLASMA Art Festival」(ドイツ、ベルリン)
- 2016
- 「Recycling Humanity」(Corey Herford Gallery/USA、L.A.)
- 2017
- 「MEMENTO MORI」(Corey Herford Gallery/USA、L.A.)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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―モチーフに託された想い
パステルカラーで画面いっぱいに描かれる「子ども」は、日本独自の「イラスト」表現をベースにしつつも、そのキャラクター性を誇示するのではなく、画面にあふれる感情や感覚を表すものとして存在する。左右の色が異なる、印象的な大きな瞳は「子ども」の感じている虚ろさや寂しさの象徴でもあり、相反するものが共存する世界を暗示しているという。「子ども」の虚ろな表情は、アーティスト自身の個人的体験によりながらも、現代社会における私たちの孤独感や不安感へと直結していくが、「子ども」を包み込むキラメキの描写は世界をみつめる視線の温かさをも感じさせる。
本展では取り組んできたおもなテーマ作品が出展される。シリーズ《この星の子ども》では大きな瞳の子どもが虚ろな表情で描かれる。シリーズ《神さまの行方》は、3.11の原発事故を受けて描かれており、「子ども」の首には「チェルノブイリのネックレス」(1986年のチェルノブイリ原発事故後に甲状腺異常の子どもたちが受けた手術の傷あと)が痛々しく刻まれる。コラージュ・シリーズは、人間によって生み出された救世主たち(魔法少女とスーパーマン)が人類の滅亡後に取り残されて、未来を紡ぎ出すという自作の物語にもとづいている。宗教においては救世主が世界を滅ぼすことで人間に救済をもたらすことに注目し、現代版の救世主をファンタジーに見出すことで、現代人にとっての救済とは何かを問う。
地元・長野に制作活動の拠点を置きながらも、国際的に作品発表を続けており、インターネット上でも世界中のファンから共感を得ている。
鈴木 幸野(山ノ内町立志賀高原ロマン美術館)
Suzuki Yukino(Shiga Kogen Roman Museum)
魲 万里絵
Marie Suzuki

>《導かれる》2014年
Works & Comment
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もうすぐ来る、芽吹きの春を心待ちにしています。
緑が燃え立つ夏の暑いときは、次の冬はどうすごしているのかを想像します。
いつか来る肉体の命が終る日まで、あとどれ位の距離にいるのだろうかと思います。
いつまで描いていられるかどうかわかりませんが、出来るだけ長く続けられたらと思います。
I am patiently waiting for next spring when the trees begin budding, and sprouts begin to emerge from the ground.
On hot summer days when the green of plants is so vivid, I wonder how I will ever get through the coming winter.
I wonder how long my body will last.
I don’t know how much longer I will be able to paint, but I want to paint as long as I can.

>《鬼か神かが》2015年

>《うわっつらも もっていく》2014年

>《数には入れない》2016年

>《勝てない》2016年

>《口先軽やかな盗人》2016年

Profile
魲 万里絵 Marie Suzuki
絵画
- 1979
- 長野県長野市生まれ、同市在住
- 2007
- 年末よりはさみ、乳房、性器などをモチーフとした絵画を描きはじめる。
主な受賞歴
- 2014
- 第19回信毎選賞受賞
主な展覧会歴
- 2010−2011
- 「ART BRUT JAPONAIS」展(パリ市立アル・サン・ピエール美術館/フランス)
- 2011−2014
- 「アール・ブリュット・ジャポネ」展(埼玉県立近代美術館/埼玉県ほか)
- 2011
- 個展「魲万里絵展 縷々(るる)累々(るいるい)、紙の上の私の風景」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀県)
作品集『日本のアールブリュット 魲万里絵』(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、社会福祉法人滋賀県社会福祉事業団、RAW VISION)
- 2012
- 「アール・ブリュット in NAGANO」展(ホクト文化ホール/長野市ほか)
- 2013
- 個展「魲万里絵展」(るんびにい美術館/岩手県)
- 2014
- 「Souzou:Outsider Art from Japan」(Wellcome Collection/イギリス、ロンドン)
「アール・ブリュット☆アート☆日本」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀県)
- 2015
- 「これ、すなわち生きものなり」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀県)
- 2016
- 個展「魲万里絵 遠くて近い私の風景」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀県)
- 2017−2018
- 日本のアールブリュット「KOMOREBI」展(フランス国立現代芸術センター”リュー・ユニック”/フランス、ナント)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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ところが、作家本人は作品の印象とは逆の、冷静で知的な、そして穏和な人である。問いかけには、自分の気持ちに最も近い言葉で答えようとする。
言葉への敏感さは、巧みな作品タイトル―たとえば「エリエリ・レマ・サバクタニ」(イエス・キリスト最期の言葉「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」の意味)、「ワゴンセール正義」―にも表れている。キリスト教系高校の生徒であった素養や女性であることへのストレスなどをシニカル(冷笑的)に伝えるものが多い。しかし、本人は作品とタイトルは直接関係がなく、そのときに思いついた言葉や、ニュースで心に残った発言を名付けるという。
2007年末から突然、現在のような絵を描きはじめた。それも色数や構図を増やしながらゆっくりと進化をし続けている。子宮から生まれる生命へのいぶかしさ、性に対する恐怖感や嫌悪感、そして、そうした感情と表裏をなす興味関心。描かれる乳房や性器、はさみは思春期の記憶が大きく影響しているそうだ。
2010年、フランスで開かれた「アール・ブリュット・ジャポネ」展に出品。以降、彼女の生活は劇的に変化した。海外への出品、国内各地での個展が相次ぐ。本展も2017年秋に開幕したフランス国立現代芸術センターの展覧会との並行作業となった。
繰り返しの表現、鮮烈な色彩、性的なモチーフなどの共通点から、草間彌生さんと比較される。男性など他者に対する嫌悪と関心を増殖させ、自らの存在をかき消そうとするような草間さんの表現に対し、魲さんが描くのは自分と同じ、女性の身体である。
「自分の気持ちにズレのないものを描きたい」。ごまかすことなく自己をみつめる作家は、しなやかに、巨匠を超える強さを秘めているのかもしれない。
私は、その強さへの憧れと奥底からの共感をもって応援し続ける。
伊藤 羊子(一般財団法人 長野県文化振興事業団)
Her work is compared with that of Kusama Yayoi, a world-famous Japanese female artist, because of its similarity in the usage of repetitive patterns, vivid colors, sexual motifs and so on. However, contrary to Kusama Yayoi, who propagates her hatred and curiosity about the male sex, and tries to erase any existence of herself, Suzuki Marie, though a female painter as well, portrays (naked bodies and organs of) the female sex solely.
An artist with deep introspection displays a kind of strength surpassing that of Kusama Yayoi, a renowned master, in her bosom.
ナカムラマサ首
Masakubi Nakamura

>《BLOODWORSHIP》2017年
Works & Comment
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じゃあ何のために表現をするのか? それは決して世間や相手の承認を引き出すものではなく、表現をきっかけとして与えることのできる刺激と反応があるのならば、それを起点に自分は世間に対して何者であるのかというのが少しみえたり、自分の内面に漂う「何か」の気付かなかった輪郭が少しでもみえたりするかもしれないという希望である。それを希望ととらえている以上、引き続き呼吸を続けたいと思うのである。
Then why do I express anything? Expressing myself isn’t meant to gain the recognition of others. I express myself in my art with the slight hope that if expressing myself provides a great chance to stimulate people or seek a response from them, I may be able to know a little more about who I am, or see an outline of the things which dwell within me unconsciously. As far as I perceive it as a hope, I would like to keep breathing and remain sentient.

>《Dad》2016年

>《Mom》2015年

>《HAKABA》2016年

>《EXPRESSION OF SEXUAL CHARACTERISTICS》2016年

>《SHOUJO-NOUCHIGAWANOZOKI 》2015年

>《INNER VIEW》2015年

>《DECOMPOSITION PEEK》2016年

Profile
ナカムラマサ首 Masakubi Nakamura
ステンドグラス、絵画
- 1976
- 兵庫県生まれ
- 1998
- 神戸芸術工科大学芸術工学部視覚情報デザイン学科中退
- 2003
- 多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業
- 2009
- 株式会社AZCREW ステンドグラス製作室所属
- 2015
- 10月独立、制作活動に専念
主な受賞歴
- 2016
- 萱アートコンペティション2016梅田版画工房賞
- 2017
- 萱アートコンペティション2017寿高原食品
主な作品発表歴
- 2015
- 「紙に鉛筆」展(FLATFILESLASH GALLERY/長野市)
「D15 ナガノオルタナティブプレイベント」(FLATFILESLASH Lounge Gallery/長野市)
- 2016
- 個展「異形の声」展(ARTSPACE FLATFILE/長野市)
個展「2階の胎内」展(GALLERY BAR tomorrow/東京都)
個展「発光・分裂・増殖」展(GALLERY BAR tomorrow/東京都)
「nagano art file 2016 10×10」(FLATFILESLASH GALLERY/長野市)
「Blanc with LOVE」(Blancアートギャラリー/千曲市)
「萱アートコンペティション2016」(Blancアートギャラリー/千曲市)
- 2017
- 「ちいさなアート展2017 NAGANO」(ギャラリー松真館/長野市、松代町)
「萱アートコンペ2016 受賞者作家展」(gallery Blanc/千曲市)
「ちいさなアート展2017 NewYork」(Studio 34 Gallery/USA、N.Y.)
「萱アートコンペティション2017」(Blancアートギャラリー/千曲市)
「たいせつなもの展」(靖山画廊/東京都)
参加アーティストからのお知らせ
千田泰広:新作《Scale》
千田泰広:木曽町福島学童クラブの子どもたちとの共同制作
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
[再放送] 2018/02/15(木)午前0:00~(※水曜の深夜)
長野の限界集落をアーティストの秘密基地へ。 中条アートロケーション《場》設置プロジェクト
学芸員の解説
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本格的に作品を発表してまだ2年ほど。神戸の大学でデザインを学ぶがむしろバンド活動に専念。その後、東京で映像を学び制作会社に出入りした時期もあったが、求人情報誌でみたのがステンドグラスの会社で、そこで初めてその世界にふれるこ
とになる。もともと研究熱心、徐々に、「型にはまりすぎでは」「こうしたらよりすごいものが作れるのに」と考え、自由な表現をしようと独立した。
作品の特徴として鉛線に注目したい。本来鉛線は無加工が多いが、マサ首氏のものは、棘や血管のような加工を施す。また画像をフィルムにプリントしてガラスに挟み込んだり、シリコンを入れてガラス部分に泡を入れたりと斬新な試みだらけ。
教会のステンドグラスではなく、ポップでシュールで、グロテスクでもある。
ステンドグラス制作とはまったく異なるのがドローイングだ。制作工程を決めるステンドグラスに対し、ドローイングは下書きなし、構図も考えずに「感情にピントを合わせ、それを紙に転写する」作業だという。ちがった取り組みが心のバランスを保っているそうだ。
アトリエにあった神戸の大学時代の冊子の取材記事に「空間も含めた会場全体が一つの作品になるような個展を開きたいんです」とある。「今と変わらないこといってますね」と話していたのが印象的だった。今回はまさに場所との融合。グループ展ではあるが、ほかの作品を巻き込み、実は自らの作品としてしまうというテーマで臨む。この文章執筆時、作品の全貌は明らかではないが、彼にとって記念碑的な作品になり、新たなスタートを切ることができたら本望である。
宮下 真美(おぶせミュージアム・中島千波館)
Unlike ordinary stained glass works on which vertical lead lines are the norm, he processes the lead came into shapes like thorns or blood vessels, which are characteristic of his artwork. He makes his works look fresh and original by inserting film imprinted with an image between two or more pieces of glass, and utilizing silicon to glue them together, and sometimes to create bubbles. Contrary to stained glass, which requires an exact production process, his drawings are executed freehanded. The only thing he considers is “focusing on his feelings and transferring them to paper,” paying no concern to its composition.
He is determined to contribute to this exhibition with an ambitious theme of consolidating his works through assimilation with other exhibitors’ artworks on site.
Miyashita Mami(THE OBUSE MUSEUM The Nakajima Chinami Gallery)
開催会場
信州新町美術館
「シンビズム -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております