Artist
参加アーティスト
下田 ひかり
Hikari Shimoda
>《神さまの行方0(ゼロ)》2014年
Works & Comment
日本語テキストで読む
Read in English Text
このたびはご招待いただきありがとうございました。
私は普段、大体3つのテーマで作品制作をしています。今回のシンビズム展ではその3つのテーマで制作された作品ひとつずつを出品いたしました。
私は東日本大震災に大きなショックを受け、その後より「世界の姿と、人類の未来」を強く考えるようになりました。
常に相反する物事が同時に存在し、一人ひとりが平和を望むのに集団になると争いが発生する。みんなが自分の正義を持ち、誰もが孤独や不安を胸に、言葉にならない言葉を抱え、生きづらさを感じて生きている。
この混沌としてみえづらく不確実な「世界」というものの一端を、また、そんな人類が向かうであろう未来を、私の目を通して表現したいと思っています。
私は普段、大体3つのテーマで作品制作をしています。今回のシンビズム展ではその3つのテーマで制作された作品ひとつずつを出品いたしました。
私は東日本大震災に大きなショックを受け、その後より「世界の姿と、人類の未来」を強く考えるようになりました。
常に相反する物事が同時に存在し、一人ひとりが平和を望むのに集団になると争いが発生する。みんなが自分の正義を持ち、誰もが孤独や不安を胸に、言葉にならない言葉を抱え、生きづらさを感じて生きている。
この混沌としてみえづらく不確実な「世界」というものの一端を、また、そんな人類が向かうであろう未来を、私の目を通して表現したいと思っています。
I would like to express my sincere gratitude for inviting me to this exhibition.
I generally create my art based on three themes. At this exhibition, I am exhibiting works from each.
The Great East Japan Earthquake and Tsunami in 2011 was a traumatic event for me, and this disaster caused me to ponder on “the appearance of the world and the future of mankind.”
In the world, contradicting things coexist simultaneously and, when people form groups, they begin fighting among themselves despite the yearn for peace of each individual. Each of us experiences feelings of his or her own justice, lonesomeness and anxiety in our hearts. We also have ineffable thoughts and struggles with the difficulties of living.
I would like to express in my works, an inkling of this chaotic, obscure and uncertain world and, also the future which mankind is bound for, through my eyes.
I generally create my art based on three themes. At this exhibition, I am exhibiting works from each.
The Great East Japan Earthquake and Tsunami in 2011 was a traumatic event for me, and this disaster caused me to ponder on “the appearance of the world and the future of mankind.”
In the world, contradicting things coexist simultaneously and, when people form groups, they begin fighting among themselves despite the yearn for peace of each individual. Each of us experiences feelings of his or her own justice, lonesomeness and anxiety in our hearts. We also have ineffable thoughts and struggles with the difficulties of living.
I would like to express in my works, an inkling of this chaotic, obscure and uncertain world and, also the future which mankind is bound for, through my eyes.
>《人類滅亡叙事詩(We can not redo)》2014年
>《この星の子ども23》2014年
>《I Do Not Know My Enemy - Girl》2016年
>《ぼくらの神様~如意輪観音菩薩~》2016年
>《人類滅亡物語~人類滅亡~》2016年
>《神様さまの行方1》2012年
Profile
下田 ひかり Hikari Shimoda
絵画
- 1984年長野県生まれ、短大卒業後、イラストレーション青山塾で2年間学び、2008年より現代美術家として活動を開始。2011年から海外でも作品を発表。現在ではロサンゼルスを中心に海外で作品発表を行う機会が多い。
主な作品発表歴
- 2008
- 「Innner Children~わたしの中の子ども達~」(MOTT gallery/東京都、曙橋)
- 2009
- 「Now,Here I am~今、ここのわたし~」(Gallery 156/東京都、銀座)
- 2010
- 「獣の皮をかぶったヒトちゃん」(GALLERY TRINITY/東京都、六本木)
- 2011
- 「Me,as in the beast coat」(Foley Gallery/USA、N.Y.)
「Lonely Hero」(DMO ARTS/大阪府、大阪三越伊勢丹内)
「Solo Exhibition」(Hellion Gallery/USA、ポートランド)
- 2012
- 「この星の子ども」(ヴァニラ画廊/東京都、銀座)
「神さまの 死んだ国で」(KURUM’ART contemporary,The Artcomplex Center of Tokyo/東京都、四谷)
グループ展「KEEP A BREAST TOKYO LOVE SHOW」(表参道ヒルズ/東京都)
- 2013
- 「ひとりぽっち宇宙」(DMO ARTS/大阪府、大阪三越伊勢丹内)
「後の世の人々について」(KURUM’ART contemporary,The Artcomplex Center of Tokyo/東京都、四谷)
- 2014
- 「Fantastic Planet, Goodbye Man」(Corey Herford Gallery/USA、L.A.)
以下グループ展「Hello! Exploring the Supercute World of Hello Kitty」(Japanese American National Museum/USA、L.A.)、「進撃の巨人展」(上野の森美術館/東京都)、「COMIC CON NEW YORK」(USA、N.Y.)
- 2015
- 「やがてゼロに至る黙示録」(KURUM’ART contemporary,The Artcomplex Center of Tokyo/東京都、四谷)
「この星の行方」(KURUM’ART contemporary, space2*3/東京都、日本橋)
グループ展「PICTOPLASMA Art Festival」(ドイツ、ベルリン)
- 2016
- 「Recycling Humanity」(Corey Herford Gallery/USA、L.A.)
- 2017
- 「MEMENTO MORI」(Corey Herford Gallery/USA、L.A.)
学芸員の解説
日本語テキストで読む
Read in English Text
ファンタジーが現実に出会うとき
―モチーフに託された想い
―モチーフに託された想い
現代アーティスト・下田ひかりは、絵画作品のモチーフとして「人物」とくに「子ども」を用いる。「アイデンティティが定まらず、存在としてまだ曖昧な子どもは、私が描き伝えたい世界観を入れるための表現の器」とその理由について述べている。
パステルカラーで画面いっぱいに描かれる「子ども」は、日本独自の「イラスト」表現をベースにしつつも、そのキャラクター性を誇示するのではなく、画面にあふれる感情や感覚を表すものとして存在する。左右の色が異なる、印象的な大きな瞳は「子ども」の感じている虚ろさや寂しさの象徴でもあり、相反するものが共存する世界を暗示しているという。「子ども」の虚ろな表情は、アーティスト自身の個人的体験によりながらも、現代社会における私たちの孤独感や不安感へと直結していくが、「子ども」を包み込むキラメキの描写は世界をみつめる視線の温かさをも感じさせる。
本展では取り組んできたおもなテーマ作品が出展される。シリーズ《この星の子ども》では大きな瞳の子どもが虚ろな表情で描かれる。シリーズ《神さまの行方》は、3.11の原発事故を受けて描かれており、「子ども」の首には「チェルノブイリのネックレス」(1986年のチェルノブイリ原発事故後に甲状腺異常の子どもたちが受けた手術の傷あと)が痛々しく刻まれる。コラージュ・シリーズは、人間によって生み出された救世主たち(魔法少女とスーパーマン)が人類の滅亡後に取り残されて、未来を紡ぎ出すという自作の物語にもとづいている。宗教においては救世主が世界を滅ぼすことで人間に救済をもたらすことに注目し、現代版の救世主をファンタジーに見出すことで、現代人にとっての救済とは何かを問う。
地元・長野に制作活動の拠点を置きながらも、国際的に作品発表を続けており、インターネット上でも世界中のファンから共感を得ている。
パステルカラーで画面いっぱいに描かれる「子ども」は、日本独自の「イラスト」表現をベースにしつつも、そのキャラクター性を誇示するのではなく、画面にあふれる感情や感覚を表すものとして存在する。左右の色が異なる、印象的な大きな瞳は「子ども」の感じている虚ろさや寂しさの象徴でもあり、相反するものが共存する世界を暗示しているという。「子ども」の虚ろな表情は、アーティスト自身の個人的体験によりながらも、現代社会における私たちの孤独感や不安感へと直結していくが、「子ども」を包み込むキラメキの描写は世界をみつめる視線の温かさをも感じさせる。
本展では取り組んできたおもなテーマ作品が出展される。シリーズ《この星の子ども》では大きな瞳の子どもが虚ろな表情で描かれる。シリーズ《神さまの行方》は、3.11の原発事故を受けて描かれており、「子ども」の首には「チェルノブイリのネックレス」(1986年のチェルノブイリ原発事故後に甲状腺異常の子どもたちが受けた手術の傷あと)が痛々しく刻まれる。コラージュ・シリーズは、人間によって生み出された救世主たち(魔法少女とスーパーマン)が人類の滅亡後に取り残されて、未来を紡ぎ出すという自作の物語にもとづいている。宗教においては救世主が世界を滅ぼすことで人間に救済をもたらすことに注目し、現代版の救世主をファンタジーに見出すことで、現代人にとっての救済とは何かを問う。
地元・長野に制作活動の拠点を置きながらも、国際的に作品発表を続けており、インターネット上でも世界中のファンから共感を得ている。
鈴木 幸野(山ノ内町立志賀高原ロマン美術館)
When Fantasy Meets Reality - Feelings Represented in her Motifs
Shimoda Hikari, a contemporary artist, depicts her view of the world pictorially in a motif of “children,” based on “illustration techniques” unique to Japan. While she deals with contemporary social problems symbolized by the empty expressions of children who have impressively big eyes, in which the color varies between the left and right eyes, depicted in pastel shades, we feel warmth in her works. In this exhibition, her works presented are with themes she has mainly worked on until now. Based in Nagano, where she was born and is her place of work, she put together a worldwide publication of her works which have acquired empathy from Internet viewers around the world.
Suzuki Yukino(Shiga Kogen Roman Museum)
開催会場
北信
信州新町美術館
- 住所
- 〒381-2404
長野県長野市信州新町上条88-3
- 電話番号
- 026-262-3500
- 開館時間
- 9:00~16:30
- 閉館日
- 月曜と祝日の翌日休
「シンビズム -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております