Artist
参加アーティスト
深沢 尚宏
Hisahiro Fukasawa
>《Tranquility no.26 / face》2015年
Works & Comment
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何百年ものときを経たものに偉大さを感じています。長野市で生まれ育ち、幼い頃から身近にあった善光寺の影響があるのだと思います。長い年月の積み重ねによって生まれる変化は「新しさ」には真似できない重みと美しさを感じます。
私はグラフィックデザインを学びました。そしてそれを入口にしてさまざまなアートに出会い、そのなかでもとくに室町から江戸時代にかけての絵師たちの影響を受けました。彼らの空間構成や花鳥の華美な世界に酔ったのを今でもはっきり覚えています。
明治以降、日本は西洋の価値観を大きく取り入れてきましたが、それは同時に日本のオリジナリティを捨て去る行為にもなりました。
江戸時代以前にみられた日本美術の特徴と現代的ビジュアルであるグラフィックのスタイルを融合させ、新たな和の世界を作りたいと思っています。
私はグラフィックデザインを学びました。そしてそれを入口にしてさまざまなアートに出会い、そのなかでもとくに室町から江戸時代にかけての絵師たちの影響を受けました。彼らの空間構成や花鳥の華美な世界に酔ったのを今でもはっきり覚えています。
明治以降、日本は西洋の価値観を大きく取り入れてきましたが、それは同時に日本のオリジナリティを捨て去る行為にもなりました。
江戸時代以前にみられた日本美術の特徴と現代的ビジュアルであるグラフィックのスタイルを融合させ、新たな和の世界を作りたいと思っています。
Whenever I encounter something that has been around for centuries, I am struck by its grandeur. Perhaps this is due to the fact I was born and raised in the city of Nagano and have been deeply attached to Zenkoji Temple ever since I was a child. T hings w hich u nderwent s ecular c hanges h ave t heir own depth and beauty that cannot be imitated by something new.
I studied graphic design, and it has introduced me to various kinds of art. One notable aspect which greatly influenced me is the paintings created by artists during the Muromachi and Edo Periods. I remember vividly how fascinated I was by viewing the spatial compositions and splendid worlds of flowers and birds by these painters.
Ever since the Meiji Period, Japan has extensively adopted Western values and, as a result, it has discarded its originality.
By mingling the characteristics of Japanese art which was seen until the Edo Period, and the graphic design used in modern visual art, I endeavor to create a new world of modern Japanese art.
I studied graphic design, and it has introduced me to various kinds of art. One notable aspect which greatly influenced me is the paintings created by artists during the Muromachi and Edo Periods. I remember vividly how fascinated I was by viewing the spatial compositions and splendid worlds of flowers and birds by these painters.
Ever since the Meiji Period, Japan has extensively adopted Western values and, as a result, it has discarded its originality.
By mingling the characteristics of Japanese art which was seen until the Edo Period, and the graphic design used in modern visual art, I endeavor to create a new world of modern Japanese art.
>《Moon and Irises》2017年
>《Tranquility no.06 》2013年
>《Camouflage(bird&Peony)》2014年
主な受賞歴
- 2013
- LUMINE meets ART AWARD 2013準グランプリ
主な展覧会歴
- 2007
- 【個展】HAYATO New York 青山/東京都
- 2008
- 【個展】恵比寿三越 アーティフェックスギャラリー/東京都
- 2010
- 【個展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2010
- 【グループ展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2011
- 【グループ展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2013
- 【グループ展】The Artcomplex Center of Tokyo/東京都
- 2009
- 【アートフェア】「International Artexpo New York 2009」(USA、N.Y.)
- 2013
- 【アートフェア】「Art Show Busan 2013」(韓国、釜山)
- 2014
- 【アートフェア】「Art Show Busan 2014」(韓国、釜山)
「Art Santa Fe 2014 」(USA、サンタフェ)
「Salon Art Shopping 2014」(フランス、パリ)
- 2015
- 【アートフェア】「Art Busan 2015」(韓国、釜山)
学芸員の解説
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「現代日本画とはどうあり得るのか」を
提示するアーティスト
提示するアーティスト
この作家の作品と初めて出会ったとき、「明鏡止水」の四文字が浮かびあがった。モノトーンの枝と葉、隙間に淡く色を添え咲き誇る花の姿。研ぎ澄まされた空間を背景に、確かな、しかし、誇示するのではない「存在する姿それ自体の美」を感じさせる作品である。花鳥、そしてときに人物の顔をモチーフとした「Tranquility」と名付けられたこのシリーズは、その単語を訳せば「静謐」「静けさ」「落ち着き」となろうが、それが作家の持つ一面であることは、ほかの作品とともに俯瞰すれば明らかとなる。作家にとって「動」と「静」の間の往復は制作活動の力を継続させる重要なモチベーションとなっている。
作家は学生時代にデザインを学んだ。その後、仕事のかたわら独学で日本画の制作をはじめる。円山応挙や尾形光琳など江戸期の作品はもとより、遠くは正倉院御物の時代まで遡り制作のインスピレーションを得るという。その一方で、箔や胡粉を使用しながらも、アクリル絵の具や鉛筆を多用し、シルクスクリーンなどの版の技法や、イラストレーターやフォトショップなどのデザインソフトをも颯爽と駆使する。「Tranquility」は作家の内なる感覚の具現化であり、花鳥風月に代表される「日本的なるもの」から感得し蓄積された作家自身の本質的美意識の昇華である。そして、もうひとつの「動」の作品群は、日本画の伝統、日本文化の伝統に取材しながら、色彩やデザイン的要素をアーティストとしての現代的解釈のもと、意識的に、ときに大胆で、ときに繊細さをもってわれわれに提示する。
日本画家でありデザイナーでありぺインターでもある、そのすべてを包含する立ち位置を目指す。そこに「現代日本画とはどうあり得るのか」を模索する作家の矜持をうかがい知ることができる。「日本的なるもの」を探究するその軌跡を並走して見続けたいと思わせる作家である。
作家は学生時代にデザインを学んだ。その後、仕事のかたわら独学で日本画の制作をはじめる。円山応挙や尾形光琳など江戸期の作品はもとより、遠くは正倉院御物の時代まで遡り制作のインスピレーションを得るという。その一方で、箔や胡粉を使用しながらも、アクリル絵の具や鉛筆を多用し、シルクスクリーンなどの版の技法や、イラストレーターやフォトショップなどのデザインソフトをも颯爽と駆使する。「Tranquility」は作家の内なる感覚の具現化であり、花鳥風月に代表される「日本的なるもの」から感得し蓄積された作家自身の本質的美意識の昇華である。そして、もうひとつの「動」の作品群は、日本画の伝統、日本文化の伝統に取材しながら、色彩やデザイン的要素をアーティストとしての現代的解釈のもと、意識的に、ときに大胆で、ときに繊細さをもってわれわれに提示する。
日本画家でありデザイナーでありぺインターでもある、そのすべてを包含する立ち位置を目指す。そこに「現代日本画とはどうあり得るのか」を模索する作家の矜持をうかがい知ることができる。「日本的なるもの」を探究するその軌跡を並走して見続けたいと思わせる作家である。
小笠原 正(上田市立美術館)
A Graphic Artist Who Asks Himself “How Contemporary Japanese-style Painting Can Be Expressed.”
Fukasawa Hisahiro’s strength is shown in executing works utilizing various kinds of techniques such as acrylic painting, pencil drawing, printmaking, and also graphic design which was his major when he was a student, to say nothing of the technique of contemporary Japanese-style painting. His works are divided into two groups; one group represents “movement”, the other, “tranquility.” In his works, which expresses “movement,” he renders an effect produced by coalescing traditions of Japanese-style painting with Japanese culture, and other contemporary elements. On the other hand, in his series entitled “tranquility,” he renders his inner space excellently represented.
Ogasawara Tadashi(Ueda City Museum of Art)
開催会場
東信
丸山晩霞記念館
- 住所
- 〒389-0515
長野県東御市常田505-1
- 電話番号
- 0268-62-3700
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 無休
「シンビズム -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております