ARTISTS
橋本 遥
漆芸
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《悪い夢》2012年
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漆と私
大学で学んだ芸術表現としての漆と、漆器産地で学んだ日常雑器としての漆。
それ以外にも漆には無数の表現分野が存在しています。
私は漆を扱う上で、色々な表現で漆に関わり物作りを続けていけたらと思っています。
信州と私
美術大学で漆芸を学んでいた2007年に、研修旅行で初めて塩尻市木曽平沢・奈良井宿の漆器産地を訪れました。
豊かな自然環境と、この地で漆を生業とする人々の生活に強く心を惹かれ、それ以来、知り合った地元の方を訪ねて定期的に通うようになりました。
現在は、木曽平沢で元は漆器職人の住居だった建物を仲間と共同で借り、長野県内でのワークショップや漆芸教室、地元の方との交流などの活動拠点としています。
大学で学んだ芸術表現としての漆と、漆器産地で学んだ日常雑器としての漆。
それ以外にも漆には無数の表現分野が存在しています。
私は漆を扱う上で、色々な表現で漆に関わり物作りを続けていけたらと思っています。
信州と私
美術大学で漆芸を学んでいた2007年に、研修旅行で初めて塩尻市木曽平沢・奈良井宿の漆器産地を訪れました。
豊かな自然環境と、この地で漆を生業とする人々の生活に強く心を惹かれ、それ以来、知り合った地元の方を訪ねて定期的に通うようになりました。
現在は、木曽平沢で元は漆器職人の住居だった建物を仲間と共同で借り、長野県内でのワークショップや漆芸教室、地元の方との交流などの活動拠点としています。
Urushi (Japanese Lacquer) and I
I studied Urushi as a material for artistic expression in university, and Urushi for japan ware for everyday use in Urushi-producing districts.
In addition to those, there are innumerable ways of expression using Urushi.
In working with Urushi, I would like to acquire various ways of expression and continue to produce Urushi products.
Shinshu and I
In 2007, when I studied Urushi-Art (Japanese Lacquer) at Tokyo University of the Arts, I visited two Urushi-producing districts, Kisoshirakawa and Naraijuku, in Shiojiri-shi in Nagano Prefecture for the first time, as part of a study tour.
Being attracted strongly by rich natural ambiences and the way of living of the local people working with Urushi, I started to visit there regularly to meet with the people I got acquainted with.
I am now renting a building which was formerly the residence of an Urushi master in Kisoshirakawa together with my friends, and we use it as a center for activities, including workshops and ceramic classes, or simply engage with the local people there.
I studied Urushi as a material for artistic expression in university, and Urushi for japan ware for everyday use in Urushi-producing districts.
In addition to those, there are innumerable ways of expression using Urushi.
In working with Urushi, I would like to acquire various ways of expression and continue to produce Urushi products.
Shinshu and I
In 2007, when I studied Urushi-Art (Japanese Lacquer) at Tokyo University of the Arts, I visited two Urushi-producing districts, Kisoshirakawa and Naraijuku, in Shiojiri-shi in Nagano Prefecture for the first time, as part of a study tour.
Being attracted strongly by rich natural ambiences and the way of living of the local people working with Urushi, I started to visit there regularly to meet with the people I got acquainted with.
I am now renting a building which was formerly the residence of an Urushi master in Kisoshirakawa together with my friends, and we use it as a center for activities, including workshops and ceramic classes, or simply engage with the local people there.
《悪い夢(部分)》2012年
《椿の箔濃》2017年
《椿の箔濃》2017年
《椿の箔濃》2017年
《椿の箔濃》2017年
《椎の葉の花器》2018年
《スプーン》2015年
《SMALL CUP》2015年
《CUP-×○》2015年
NEWS
橋本 遥の関連情報
2018
12/02
(日)
EVENT安曇野市豊科近代美術館橋本 遥
(1)10:00〜12:00、(2)13:30〜15:30
このイベントは終了しました橋本遥ワークショップ色漆で小皿を飾ろう!(仮)
[中信会場]
詳細を見る
Profile
プロフィール
橋本 遥HASHIMOTO Haruka
漆芸
- 1984
- 山梨県甲府市生まれ
- 2008
- 東京藝術大学美術学部工芸科漆芸専攻卒業
- 2010
- 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程漆芸専攻修了
- 2010−2013
- 東京藝術大学大学美術学部塗装造形工房教育研究助手
- 2017
- 東京藝術大学大学美術学部塗装造形工房非常勤講師
AWARD
おもな受賞歴
- 2008
- 卒業制作工芸科原田賞受賞
- 2010
- 修了制作漆工奨学賞受賞
- 2015
- 第4回そば猪口アート公募展審査員賞受賞
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2008
- 個展(東京都、京橋)
- 2012
- 「漆芸の軌跡と未来展」(東京藝術大学大学美術館/東京都)
「うるしのかたち展」(東京藝術大学アートプラザ/東京都)
- 2014
- グループ展(茨城県)
「うるしのかたち展」(東京藝術大学陳列館/東京都)
- 2015
- 第4回そば猪口アート公募展(安曇野市高橋節郎記念美術館/安曇野市)
- 2016
- グループ展(東京都、銀座)
「うるしのかたち展」(東京藝術大学陳列館/東京都)
COMMENTARY
学芸員の解説
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漆の伝道師
薄濃という言葉を知る人がどれほどいるだろうか。戦国の世に滅ぼされた浅井長政らは織田信長により薄濃にされたという。これは頭骨に漆を塗り金箔を施して飾ったもので、現代に生きる私たちにすれば、残酷極まる行為に信長のイメージを重ね、その暴虐ぶりに戦慄を感じずにはいられない。しかし、これは死者への最上級の敬意を表す行為であったようだ。信長は攻略に苦しんだ敵将を讃え、その鎮魂のために薄濃をしたようだ。
橋本遥の作る薄濃はもちろん人間の頭骨ではない。成形した髑髏を原型に、石膏で型を取り、漆を塗り重ねていく脱乾漆の技法によるものだ。厚さは3mmほどで手に取ると非常に軽い。堅さと軽さを併せ持つ乾漆造型は、工芸分野にとどまらぬ、ほかの手段による造型とも異なる可能性を秘めている。
橋本は猟奇的で血みどろな表現は苦手という。その一方で、人体の形状に惹かれるそうだ。作品は頭骨の模型を参考に原型を作るため、できあがった表情はどこかユーモラスだ。後頭部に目を移すと、そこには伏彩色を施した螺鈿の技法で花が描かれている。この花も制作をした季節の花というので、それほど思い入れはないらしい。鮮やかな花々に目を奪われるが、その周りには金色の蒔絵で描かれた雲状の模様がある。一見、伝統的な蒔絵の模様を思わせるが、そこには本来は頭のなかにあるべき脳ミソが描かれている。さらに、その周りには金色の蛆のようなものが…。
古今の美術のようにこの作品に死を思うのは考えすぎのようだ。橋本の狙いは漆の技巧をどう見せるかにある。橋本は漆の魅力を多くの人に伝えることに使命を燃やしている。現在の橋本は東京藝術大学美術学部(取手校)で非常勤講師を務める一方で、1カ月に10日ほど木曽平沢の工房に滞在し、松本・塩尻・安曇野で漆芸教室を主宰している。漆のクラフト作品を制作しながら、素知らぬ顔で薄濃の技巧にのめり込む橋本が生み出す新たな表現の行方を注視したい。
橋本遥の作る薄濃はもちろん人間の頭骨ではない。成形した髑髏を原型に、石膏で型を取り、漆を塗り重ねていく脱乾漆の技法によるものだ。厚さは3mmほどで手に取ると非常に軽い。堅さと軽さを併せ持つ乾漆造型は、工芸分野にとどまらぬ、ほかの手段による造型とも異なる可能性を秘めている。
橋本は猟奇的で血みどろな表現は苦手という。その一方で、人体の形状に惹かれるそうだ。作品は頭骨の模型を参考に原型を作るため、できあがった表情はどこかユーモラスだ。後頭部に目を移すと、そこには伏彩色を施した螺鈿の技法で花が描かれている。この花も制作をした季節の花というので、それほど思い入れはないらしい。鮮やかな花々に目を奪われるが、その周りには金色の蒔絵で描かれた雲状の模様がある。一見、伝統的な蒔絵の模様を思わせるが、そこには本来は頭のなかにあるべき脳ミソが描かれている。さらに、その周りには金色の蛆のようなものが…。
古今の美術のようにこの作品に死を思うのは考えすぎのようだ。橋本の狙いは漆の技巧をどう見せるかにある。橋本は漆の魅力を多くの人に伝えることに使命を燃やしている。現在の橋本は東京藝術大学美術学部(取手校)で非常勤講師を務める一方で、1カ月に10日ほど木曽平沢の工房に滞在し、松本・塩尻・安曇野で漆芸教室を主宰している。漆のクラフト作品を制作しながら、素知らぬ顔で薄濃の技巧にのめり込む橋本が生み出す新たな表現の行方を注視したい。
三澤 新弥 (安曇野市教育委員会)
A Missionary of Urushi (Japanese Lacquar)
There are episodes of conquered warlords whose skulls were covered with lacquer and painted with gold after being beheaded. This process is known as “hakudami” and, once completed, their crania were put on display. In the modern world, this may sound extremely crude. However, this was thought to be the way to pay the utmost respect for the dead. The “hakudami” created by HASHIMOTO Haruka is, of course, not made of real human skulls. He uses plaster heads produced from shaped casts. The plaster skulls are lacquered in layers. This method is called “hollow dry lacquering.” HASHIMOTO’s aim is to show the possibilities of the lacquer technique. It looks as though HASHIMOTO is creating just lacquer crafts on one hand but, on the other hand, he truly becomes deeply involved with “hakudami” with an innocent look on his face! I would like to keep my eye on what HASHIMOTO continues to create with his dry lacquer technique.
Misawa, Shinya (Azumino-shi Board of Education)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
安曇野市豊科近代美術館
中信エリア
- 住所
- 〒399-8205
長野県安曇野市豊科5609-3
- 電話番号
- 0263-73-5638
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 月曜(祝日除く)・祝日の翌日休
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております