[ 絵画 ]
小山 利枝子
KOYAMA Rieko
- 1955
- 長野県長野市生まれ
- 1979
- 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
- 1995-2007
- 飯綱高原美術館内(長野県飯綱町)に小山利枝子絵画館オープン
- 2006
- 文化庁海外研修制度によりオランダ滞在、作品制作・研究
- 収蔵
- 文化庁、横須賀美術館(神奈川県)
上田会場の作品展示
© シンビズム / 撮影:大井川 茂兵衛
© シンビズム / 撮影:大井川 茂兵衛
© シンビズム / 撮影:大井川 茂兵衛
おもな作品発表歴
- 1980
- 個展(Gアートギャラリー/東京都)
個展(藍画廊/東京都)
- 1982・1987・1988
- 個展(田村画廊/東京都)
- 1982・1987・1990
- 個展(真木画廊/東京都)
- 1990 − 1993
- 個展(コバヤシ画廊/東京都)
- 1991・1994・1998・2001
- 個展(ギャラリー16/京都府)
- 1991・1992・1994・1996・1999・2002・2005
- 展(ギャラリー8 2 /長野県)
- 1994
- 「VOCA展9 4 新しい平面の作家達」(上野の森美術館/東京都)
- 1997
- 「山種美術館賞展」(山種美術館/東京都)
- 2001
- 「光とその表現展」(練馬区立美術館/東京都)
- 2002
- 「第21回安田火災美術財団選抜奨励賞展」(安田火災東郷青児美術館/東京都)、「彼女たちが創る理由」(長野県信濃美術館/長野市)
- 2004
- 「文化庁買上優秀美術作品披露展」(日本芸術院会館/東京都)
- 2006・2007・2010・2012・2014・2017
- 個展(ガレリア表参道/長野市)
- 2008
- 「絵画のコスモロジー」(多摩美術大学美術館/東京都)、「未来を担う美術家たちDOMANI・明日展」(国立新美術館/東京都)
- 2009
- 「絵画のコスモロジー」(多摩美術大学美術館/東京都)、「未来を担う美術家たちDOMANI・明日展」(国立新美術館/東京都)
- 2009
- 「花 美と生命のイメージ展」(横須賀美術館/神奈川県)
- 2009 − 2012・2014・2018・2019
- 個展(始弘画廊/東京都)
- 2013
- 「指触手 考画説」(東京アートミュージアム/東京都)
- 2016
- 小山利枝子展(おぶせミュージアム・中島千波館/小布施町)
- 2019
- 八色の森の美術展(池田記念美術館/新潟県)
- 2020
- 八色の森の美術展(池田記念美術館/新潟県)
現在まで、そして、これから
Until Now and from Here After
小山は1955年長野市に生まれ、父親の影響で幼少期から写生やデッサンなどに親しみ、絵画教室にも通っていた。東京藝術大学美術学部絵画科で油画を専攻するも、学生時代は絵画分野ではなく、インスタレーションに挑んでいた。当時の現代アートはコンセプトが重視され、感覚的なものやイメージを排除した枠組みのなかで新しい表現を追求するという考えが支配的であり、小山もその影響下にあった。
卒業後、制作を休止していた小山が再び絵を描きはじめたのは84年のこと。その前には、結婚・長野への帰郷・出産、そして身内の死などを経験していた。そのような日々のなかでも、「表現したい」という気持ちは常にあったと小山は振り返る。「芸術の枠組みがどうだとか発表などにこだわらず、本当に自分が何を表現したいのかということを素直に考えたとき、やはり絵が浮上してきた」※1という。だが、意識は抽象絵画には向かなかった。なにかをみて描きたいという思いで、モチーフを模索していた日々のなか、まだ1歳だった娘を連れて散歩をしていたとき、道端の花を娘と一緒にじっくりとみることがあった。それは、夏の日に咲く真っ赤な百日草。「小さな花びらが幾重にもつながって、真ん丸いポンポンした半球形のかたちになっているのを見て、『造形的に面白いな』と思った」。そして、この一つひとつの花びらをもっと大きく描いて、それらの花びらが有機的に連関しているかたちを抽象的に表現したら、意外に面白い絵になると思い、そこで「面白いから描く」という最も素朴に絵画を描きたいという動機と自分自身がうまくつながったと感じたという。それから、小山は花をモチーフに現在まで描き続けている。
絵画を再開し、花を描きはじめ、しばらくして小山は花上端の輪郭線と山の稜線のイメージが重なるようになる。それまで紙に描いていたが、素材をキャンバスに変え、画面も大きくなり、花だけをみつめていた目が、花と空や山などがダイナミックにシンクロした大自然の息吹をみるように変化していく。94年には、福田美蘭、村上隆、大竹伸朗らとともに第1回VOCA展に選抜されるなど、評価も高まり、小山は絵画表現を確立させていくようになる。
一方、色彩はというと、キャンバスに向かったときにはじめてでてくるのである。色彩は、そのときどきに内在しているものであり、意識はしておらず、そのときの無意識に支配されている。大作になればなるほど、デッサン的な明暗以外はコントロールできないものだと小山はいう。
現在、小山の作品スタイルは確立し、完成期を迎えたといってよいだろう。ここ数年、小山自身も新たな絵画表現を模索している。「線」での表現を試みたいとも話している。そのためには日常描いているデッサンから変えなければならず、容易なことではない。しかし、完成されたスタイルがあってこそ次のステージにいけるともいえる。小山の今後の絵画表現にも期待していきたい。
梨本 有見(須坂版画美術館)
※1 「小山利枝子 大気と自然のかたち」『Contemporary Artists Review no.13』(スカイドア、1994年4月)
参考文献
『立ち上がる境界』(辰野町郷土美術館、1994年)
Although seemingly abstract, her motif is flowers. While she majored in oil painting at university, she challenged herself to create installation works. She temporarily ceased her activity after graduation from university and, in 1984, after marrying, homecoming and childbirth, she resumed painting. Since then, she continues painting flowers to the present. While in the process of rough sketching, she is only aware of lines, shapes, forms and shading. The concept of color comes to her mind when she first stands before the canvas. In all her practice, her colors become incorporated in her paintings, depending on the contents of the painting, and are ruled by unconsciousness. At present, the style of Koyama’s works is established. However, in recent years, she has been trying to find a new way of expression. We highly anticipate further development in her paintings.
Nashimoto, Yuumi / Suzaka hanga Museum
[上田会場] 終了しました
2021.2.13sat - 3.14sun
上田市立美術館
9:00-17:00休館日 = 火曜日(祝日の場合は翌日)
入館料 = 当日券:一般500(400)円、高校生以下無料
※ ( ) 内は20名以上の団体、障害者手帳携帯者とその介助者1名は無料
長野県上田市天神3丁目15-15 サントミューゼ内電話 0268-27-2300