ARTISTS
越 ちひろ
絵画
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《run after a shadow》(2017年)
日本語テキストで読む
Read in English Text
私は長野に生まれ、20歳に上京するまでの時を
この地と共に生きた。
その幼い頃と青年期の様々な記憶と経験は、
身体に深く染み込んで、私を創造し、
やがて、私の色と光、形となって現れはじめた。
地というゼロに、図という有を生む。
空間に花を生けている。感じるままに色を置く。
無意識の状態に身を任せ、
身体性から生まれる線や点にかけていく。
アートの力を疑ったことがない。本当にないのだ。
世界が色でいっぱいになればいい。心からそう、思う。
ここでの世界とは、人々の内側のことでもある。
モノクロームの世界に色をさしていく。
無機質に温度を分けていく。
そのことに私の人生を懸けて命一杯に表現し、
描き続けていきたい。
この地と共に生きた。
その幼い頃と青年期の様々な記憶と経験は、
身体に深く染み込んで、私を創造し、
やがて、私の色と光、形となって現れはじめた。
地というゼロに、図という有を生む。
空間に花を生けている。感じるままに色を置く。
無意識の状態に身を任せ、
身体性から生まれる線や点にかけていく。
アートの力を疑ったことがない。本当にないのだ。
世界が色でいっぱいになればいい。心からそう、思う。
ここでの世界とは、人々の内側のことでもある。
モノクロームの世界に色をさしていく。
無機質に温度を分けていく。
そのことに私の人生を懸けて命一杯に表現し、
描き続けていきたい。
I was born in Nagano Prefecture and remained connected with it until I moved to Tokyo at the age of twenty.
Over the course of time, the various memories and experiences of my childhood and adolescence, which had soaked indelibly into my body and formed me, began to emerge as my original color, light and shapes in my painting.
Against the nothingness of a white background of canvas, I create patterns as if they exist.
I arrange flowers in space, and place colors just as I feel.
Unconsciously, I stake my life in the lines and dots which are born from bodily action alone.
I have never doubted the power of art. Never!
I hope from the bottom of my heart the world will be full of color.
The “world,” which I refer to, also reflects our “inner world.”
I give color to a monochromatic world.
I diffuse temperature to nonorganic things.
I would like to continue to express and create my art as long as I can for dear life.
Over the course of time, the various memories and experiences of my childhood and adolescence, which had soaked indelibly into my body and formed me, began to emerge as my original color, light and shapes in my painting.
Against the nothingness of a white background of canvas, I create patterns as if they exist.
I arrange flowers in space, and place colors just as I feel.
Unconsciously, I stake my life in the lines and dots which are born from bodily action alone.
I have never doubted the power of art. Never!
I hope from the bottom of my heart the world will be full of color.
The “world,” which I refer to, also reflects our “inner world.”
I give color to a monochromatic world.
I diffuse temperature to nonorganic things.
I would like to continue to express and create my art as long as I can for dear life.
《fraction》2016年
《fraction No.6(fraction 部分)》2016年
《白い森》2016年
NEWS
越 ちひろの関連情報
Profile
プロフィール
AWARD
おもな受賞歴
- 2004
- トーキョーワンダーウォール2004トーキョーワンダーウォール賞
- 2005
- トーキョーワンダーウォール2005入選
- 2006
- 東京造形大学卒業制作展 ZOKEI賞
- 2011
- 境内アート小布施× 苗市アート部門優秀賞
- 2012
- 境内アート小布施× 苗市アート部門優秀賞
- 2013
- ながの未来力大賞under40部門賞
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2004
- トーキョーワンダーウォール2004 越ちひろ展(東京都庁)
- 2006
- TWS-Emerging 070,RAIN OF A RAINBOW(トーキョーワンダーサイト本郷/東京)
- 2011
- 越ちひろ 300 枚のdrawing 展(ART SPACE FLATFILE/長野市)
- 2012
- 越ちひろ展 Birthday(ART SPACE FLATFILE/長野市)
村上“Ponta” 秀一のドラムペイント作品《Sun set of Spain》制作
- 2013
- 越ちひろ展 強く儚き優しい絵(北野美術館別館北野カルチュラルセンター/長野市)
- 2014
- インド、コルカタにて壁画《Matsuri》制作
- 2015
- 北陸新幹線開通に伴う長野駅改装時、駅ビルに壁画《色は私の色。私の色は長野の色。》制作
- 2016
- 越ちひろ展 ワンダーワンダー(サントミューゼ上田市立美術館/上田市)、越ちひろ展 fraction(FLATFILESLASH/長野市)、「Chihiro koshi×iQOS」アーティストコラボスリーブデザイン(フィリップモリスジャパン)
- 2018
- VOCA 展(上野の森美術館/ 東京)、JAPAN EXPO in Sri Lanka(バンダラナイケ記念国際会議場)で公開制作《Colors》、ことぶきアリーナ千曲にパブリック作品設置
COMMENTARY
学芸員の解説
日本語テキストで読む
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ワンダーの空気感
越ちひろの画面は、独特の色彩表現により構築された幾多もの色が形となり、折り重なる。輪郭線が内側に湾曲した菱形は、光輝を表す記号表現であり、数が増えるほどその輝きを増していく。〝キラキラ〟と呼ばれるこの表現は、カラフルな星が瞬く宇宙空間のごとく拡張し続け、キャンバスを無視していく。そして、血肉湧き踊る生命観を表現した躍動の色、パッションピンクは作家の存在感そのものを象徴し、ビビットな極彩色が人の色彩感覚を優しく刺激する。
濃淡や筆使いにより、擦れや暈し、滲みといった技法が画面に同居し、偶然に起きた滴りまでもが溶け込む。色や形、異種の技法が層をなす空間は、鮮明さと儚さを併せ持ち、水の揺らめく水槽を覗き込むような、また窓の向こう側に別次元の景色が広がっているような、不思議な感覚を引き起こす。このパラレルな景色が放つ空気感は、人の潜在意識へと語りかける。
心象風景は日常のなかで叙情的にフラッシュバックする。光や空気の姿形を見ることはできないけれども、人は感覚的にその存在を知っている。越ちひろの芸術表現〝ワンダー〟は見えない存在の空気感に近い。それは懐かしさや憧れであり、また好奇心の対象であり、同時に現代の不可解さでもある。千曲市で生まれ育ち、現在もそこで活動を続ける作家の内に潜む地域性なるものであり、長野県が有する日本の原風景を匂わす空気感の表出なのか。壁画や公開制作という、常に新しい人や場所と関わり合う、流動的な場の空気により作られた現代絵画の新スタイルが放つソーシャルな雰囲気なのか。
〝ワンダーの空気感〟は、まさに現代美術における〝今〟の様相といえる。それは公共性、社会性を意識した現代絵画として、新しい空気をまとう。作家の一挙一足、描画の一筆一筆に込められた芸術性、思考は完成形を凌駕し、結果へ導かれるための過程に眼を向けたとき、現代美術は常に感覚を一新させ、個の作家の存在感を強めていく。
濃淡や筆使いにより、擦れや暈し、滲みといった技法が画面に同居し、偶然に起きた滴りまでもが溶け込む。色や形、異種の技法が層をなす空間は、鮮明さと儚さを併せ持ち、水の揺らめく水槽を覗き込むような、また窓の向こう側に別次元の景色が広がっているような、不思議な感覚を引き起こす。このパラレルな景色が放つ空気感は、人の潜在意識へと語りかける。
心象風景は日常のなかで叙情的にフラッシュバックする。光や空気の姿形を見ることはできないけれども、人は感覚的にその存在を知っている。越ちひろの芸術表現〝ワンダー〟は見えない存在の空気感に近い。それは懐かしさや憧れであり、また好奇心の対象であり、同時に現代の不可解さでもある。千曲市で生まれ育ち、現在もそこで活動を続ける作家の内に潜む地域性なるものであり、長野県が有する日本の原風景を匂わす空気感の表出なのか。壁画や公開制作という、常に新しい人や場所と関わり合う、流動的な場の空気により作られた現代絵画の新スタイルが放つソーシャルな雰囲気なのか。
〝ワンダーの空気感〟は、まさに現代美術における〝今〟の様相といえる。それは公共性、社会性を意識した現代絵画として、新しい空気をまとう。作家の一挙一足、描画の一筆一筆に込められた芸術性、思考は完成形を凌駕し、結果へ導かれるための過程に眼を向けたとき、現代美術は常に感覚を一新させ、個の作家の存在感を強めていく。
鈴木 一史 (山ノ内町立志賀高原ロマン美術館)
An Atmosphere of Wonder
In the paintings of KOSHI Chihiro, various colors overlap and take shape in her unique way of expression - they ceaselessly expand like starlit cosmic space beyond the canvas. Her use of passion-pink, rendered as if dancing, symbolizes the lively presence of this artist with her rich, vivid colors that stimulate the viewers’ senses.
The “Wonder,” - her artistic representation, somehow conjures the atmosphere as a kind of an invisible existence. It arouses feelings such as familiarity and longing, as well as curiosity and, at the same time, it embodies the incomprehensibility of contemporary art. It may even represent the primary color encompassing the artist, who was born and raised in the region of Nagano Prefecture. It might be due to the especial atmosphere of Nagano Prefecture, which evokes images of indigenous Japanese landscape
The “Wonder,” - her artistic representation, somehow conjures the atmosphere as a kind of an invisible existence. It arouses feelings such as familiarity and longing, as well as curiosity and, at the same time, it embodies the incomprehensibility of contemporary art. It may even represent the primary color encompassing the artist, who was born and raised in the region of Nagano Prefecture. It might be due to the especial atmosphere of Nagano Prefecture, which evokes images of indigenous Japanese landscape
Suzuki, Kazufumi (Shigakogen Roman Museum)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
丸山晩霞記念館
東信エリア
- 住所
- 〒389-0515
長野県東御市常田505-1
- 電話番号
- 0268-62-3700
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 無休
丸山晩霞記念館はシンビズム2開催期間中(2018/12/01~12/24)、丸山晩霞作品の展示はございませんのでご注意ください。
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております