ARTISTS
Yoshimi Hayashi
インスタレーション
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《X marks no spot(制作の様子)》2018年
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私は簡素、淡白、儚さを愛する日本的感性と、概念的、心理分析的な西洋的厳格さを合体させる。近作は「場」の考え方を取り込み、アート作品とその設置されるサイトとの関係性を考察している。この考察はしばしば画廊や美術館の空間の枠を超え、現場のよりグローバルな視点を包含している。アート作品は対象のミクロ的研究だけでなく、周辺地域(市町村)のマクロ的研究のスタート点となる。作品はしばしば地勢、景観、住民の野外調査の後、現場で制作される。作品素材として、ビデオ、木材、セラミックス、ファイバー、紙、金属などのミクストメディアを使う。私はまた人間の条件のメタファーとしてのありふれた、壊れやすい材料に特に惹かれる。作品中の空所(void)は生命のポテンシャリティ(潜在能力)である。結局のところ、作品は深くプロセスに依拠し、しばしばサイト、そしてソリューションを求め、その地域住民とのコラボレーションに依拠している。
Hayashi incorporates his Japanese sensibilities for the love of the simple, vapid, and ephemeral, with the Western rigor for conceptual and psychological analysis. His recent work has incorporated ideas of a “place” and takes into consideration of how artworks work in relationship to certain site. This consideration often expands beyond the limits of a room in a gallery or a museum, and encompasses more global perspective of the locale. The artwork not only becomes a microscopic study of the object, but serves as a starting point to a macroscopic investigation of the surrounding location (city, town, country). The work is often created on site after extensive study of the topography, landscape, and its people. He incorporates mixed media ranging from video, woods, ceramics, fiber, paper, and metals. Hayashi is particularly drawn to materials that are mundane and fragile as a metaphor for the human condition. The void within the piece is the potentiality of life. Ultimately, the work is deeply process based and often relies upon collaboration of the site, as well as those who inhabit the area for a solution.
《Place for space, space for space(部分)》2018年
《X marks no spot(部分)》2018年
《Burnt map (部分)》2018年
《Burnt map (部分)》2018年
NEWS
Yoshimi Hayashiの関連情報
Profile
プロフィール
Yoshimi HayashiYoshimi HAYASHI
インスタレーション
- 1971
- 東京都生まれ
- 1977
- 米国カリフォルニア州に移住
- 1997
- カリフォルニア州立大学スタニスラウス校心理学修士号取得
- 2001
- ニューメキシコ大学美術学修士号取得
- 現在
- カリフォルニア州在住、ミラコスタ大学美術学部長
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2001
- 個展(Kruglak Gallery/アメリカ、カリフォルニア州)
- 2004
- 個展(Rosengarten/ドイツ、ベルリン)
- 2005
- 個展(Harwood Gallery/アメリカ、ニューメキシコ州)
個展(Gallerie Lucky Tackle/アメリカ、カリフォルニア州)
- 2007
- 「カレンタリー・ウェスト~西へ…アメリカの現代美術~」(小海町高原美術館/小海町)
- 2013
- グループ展(オーストラリア国立大学/オーストラリア、キャンベラ)
- 2014
- グループ展(コロラド州立大学/アメリカ、コロラド州)
「コレクション展」(小海町高原美術館/小海町)
- 2015
- グループ展(Ucross Art Foundation Art Gallery/アメリカ、ワイオミング州)
- 2016
- グループ展(イェール大学/アメリカ、コネチカット州)
- 2017
- 「アート・ラリー KOUMI」(小海町高原美術館/小海町)
- 2018
- 「Core/コア」(志賀高原ロマン美術館/山ノ内町)
COMMENTARY
学芸員の解説
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芸術は経験である
Yoshimi Hayashiは2007年、当館での滞在制作において黒板に白のチョークで「alone by myself all by myself(一人だけで、全て自分で)」の言葉を繰り返し描いた。言葉は、彼がアイディアや空間について考えたときに漠然と思い浮かぶものであり、自身の存在状態に挑みかけ、ときとして世界観をも変えるものである。言葉は写経(2017年に制作された作品には般若心経の言葉が繰り返された)のように、またアメリカで悪いことをした子どもが何回も書かされる反省の言葉のように忍耐強く繰り返される。描くことで心を浄化し、世界を把握し発見していく。チョークという素材は消えるかもしれない「はかなさ」を強調する。2016年の滞在制作では同作品画面中央に描かれた文字が「X」の形に消される。もしくは余白の空間が現れる。この「X」と同じサイズのくぼみが、美術館の中庭と町内を流れる千曲川の中洲に彼の手によって現れた。中庭の「X」は表情を変え今も在り続け千曲川の「X」は増水した水に文字のようにかき消された。そして、本展出品作では、同じサイズの「X」を小海町と東御市の高校生が共同制作し展示する構想だ。作品の構成を整理してみる。黒板に描かれた文字、文字が消されて現れた余白、余白に対応している現実の空間。そして黒板の「作品」と現実の空間を取り巻く空間。すなわち彼が重視する見る側の経験と時間である。さらに本展では地域に関係する別の制作者の経験が加わることになる。
日本に生まれたYoshimi Hayashiは、6歳のとき家族でアメリカ合衆国カリフォルニア州に移住する。アメリカで心理学と美術史を修め、日本の陶芸、茶道、遍路、空手を経験し、アメリカの広大な自然のなかでサーフィンやサイクリングを楽しむ。経験を通して自然を理解し、素直に作品をつくる。ランド・アートからサイト・スペシフィック・アート(その場所固有の芸術)を経た彼の作品は、経験の重要性と、芸術は生きることと同様に自由でなければならないことを教えてくれる。
日本に生まれたYoshimi Hayashiは、6歳のとき家族でアメリカ合衆国カリフォルニア州に移住する。アメリカで心理学と美術史を修め、日本の陶芸、茶道、遍路、空手を経験し、アメリカの広大な自然のなかでサーフィンやサイクリングを楽しむ。経験を通して自然を理解し、素直に作品をつくる。ランド・アートからサイト・スペシフィック・アート(その場所固有の芸術)を経た彼の作品は、経験の重要性と、芸術は生きることと同様に自由でなければならないことを教えてくれる。
中嶋 実 (小海町高原美術館)
Art is Experience
It has been more than ten years ago that Yoshimi HAYASHI has been organizing exhibitions and creating his works, while staying in Nagano Prefecture, Japan. In this exhibition his new works will be introduced which exhibit the combined efforts of his usual local process in Nagano Prefecture and the experience of collaborating with local high school students. Born in Japan, Yoshimi HAYASHI moved to California with his family when he was six years old. He studied psychology and art history in the U.S., experienced Japanese ceramic art, tea ceremony, participated in the Shikoku Pilgrimage and studied Karate in Japan. While in the U.S., he enjoyed surfing and cycling as well. He came to understand nature based on his experiences in both countries and, from that standpoint, genuinely set off to create art. His works suggests to us the importance of experience and that art must be created freely in the same sense as we strive to live.
Nakajima, Minoru (Koumi-machi Kougen Museum of Art)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
丸山晩霞記念館
東信エリア
- 住所
- 〒389-0515
長野県東御市常田505-1
- 電話番号
- 0268-62-3700
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 無休
丸山晩霞記念館はシンビズム2開催期間中(2018/12/01~12/24)、丸山晩霞作品の展示はございませんのでご注意ください。
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております