Artist
参加アーティスト
ナカムラマサ首
Masakubi Nakamura
>《BLOODWORSHIP》2017年
Works & Comment
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すごく日本語的な解釈になるが「表現」という言葉の文字をそのまま追うと「表に現す」となる。では一体何を表に現すのか? それは表にない部分であって、たとえば自分固有の癖や手順、そして考え方などなど。それらは黙っていると他人の目にふれることはないし、当然知られてないから何もしなければ基本的には誰からも求められることもない。「表現」とはそういったものを自分の意志で表に現し、他人に主観を伝えるということではないかと思う。今のところ。
じゃあ何のために表現をするのか? それは決して世間や相手の承認を引き出すものではなく、表現をきっかけとして与えることのできる刺激と反応があるのならば、それを起点に自分は世間に対して何者であるのかというのが少しみえたり、自分の内面に漂う「何か」の気付かなかった輪郭が少しでもみえたりするかもしれないという希望である。それを希望ととらえている以上、引き続き呼吸を続けたいと思うのである。
じゃあ何のために表現をするのか? それは決して世間や相手の承認を引き出すものではなく、表現をきっかけとして与えることのできる刺激と反応があるのならば、それを起点に自分は世間に対して何者であるのかというのが少しみえたり、自分の内面に漂う「何か」の気付かなかった輪郭が少しでもみえたりするかもしれないという希望である。それを希望ととらえている以上、引き続き呼吸を続けたいと思うのである。
Briefly referring to the Japanese interpretation, I translate the word 表現-“hyogen,” consisting of two Chinese characters, 表 -“hyo” which represents “outward,” and 現-“gen” which means “express,” to stand for “express outward.” The question becomes “express what outward?” or “What do I express outward?” The answer to this question should be, “I express things which are nonexistent outside.” I express, for example, things like my own habits, my process or way of thinking and so on. These are things nobody notices if I remain silent and, in effect since no one is aware of them, no one will ask. I think 表現-“express outward” means exposing things emanating from my own free will and this expression gives my subjective view to others. This is what I now believe.
Then why do I express anything? Expressing myself isn’t meant to gain the recognition of others. I express myself in my art with the slight hope that if expressing myself provides a great chance to stimulate people or seek a response from them, I may be able to know a little more about who I am, or see an outline of the things which dwell within me unconsciously. As far as I perceive it as a hope, I would like to keep breathing and remain sentient.
Then why do I express anything? Expressing myself isn’t meant to gain the recognition of others. I express myself in my art with the slight hope that if expressing myself provides a great chance to stimulate people or seek a response from them, I may be able to know a little more about who I am, or see an outline of the things which dwell within me unconsciously. As far as I perceive it as a hope, I would like to keep breathing and remain sentient.
>《Dad》2016年
>《Mom》2015年
>《HAKABA》2016年
>《EXPRESSION OF SEXUAL CHARACTERISTICS》2016年
>《SHOUJO-NOUCHIGAWANOZOKI 》2015年
>《INNER VIEW》2015年
>《DECOMPOSITION PEEK》2016年
Profile
ナカムラマサ首 Masakubi Nakamura
ステンドグラス、絵画
- 1976
- 兵庫県生まれ
- 1998
- 神戸芸術工科大学芸術工学部視覚情報デザイン学科中退
- 2003
- 多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業
- 2009
- 株式会社AZCREW ステンドグラス製作室所属
- 2015
- 10月独立、制作活動に専念
主な受賞歴
- 2016
- 萱アートコンペティション2016梅田版画工房賞
- 2017
- 萱アートコンペティション2017寿高原食品
主な作品発表歴
- 2015
- 「紙に鉛筆」展(FLATFILESLASH GALLERY/長野市)
「D15 ナガノオルタナティブプレイベント」(FLATFILESLASH Lounge Gallery/長野市)
- 2016
- 個展「異形の声」展(ARTSPACE FLATFILE/長野市)
個展「2階の胎内」展(GALLERY BAR tomorrow/東京都)
個展「発光・分裂・増殖」展(GALLERY BAR tomorrow/東京都)
「nagano art file 2016 10×10」(FLATFILESLASH GALLERY/長野市)
「Blanc with LOVE」(Blancアートギャラリー/千曲市)
「萱アートコンペティション2016」(Blancアートギャラリー/千曲市)
- 2017
- 「ちいさなアート展2017 NAGANO」(ギャラリー松真館/長野市、松代町)
「萱アートコンペ2016 受賞者作家展」(gallery Blanc/千曲市)
「ちいさなアート展2017 NewYork」(Studio 34 Gallery/USA、N.Y.)
「萱アートコンペティション2017」(Blancアートギャラリー/千曲市)
「たいせつなもの展」(靖山画廊/東京都)
学芸員の解説
日本語テキストで読む
Read in English Text
ナカムラマサ首氏について
額縁制作のモリヤコウジ氏のバーでたまたま出会ったのがナカムラマサ首氏だった。「今度初個展を長野でします」と画像をみせてもらい驚いた。その奇抜な名前と同時に、作品のインパクトが強かったと思う。続いてみたドローイングも完成度が高い。個展後に次の案内が送られてきたが、マサ首氏が書く文字も印象的だった。
本格的に作品を発表してまだ2年ほど。神戸の大学でデザインを学ぶがむしろバンド活動に専念。その後、東京で映像を学び制作会社に出入りした時期もあったが、求人情報誌でみたのがステンドグラスの会社で、そこで初めてその世界にふれるこ
とになる。もともと研究熱心、徐々に、「型にはまりすぎでは」「こうしたらよりすごいものが作れるのに」と考え、自由な表現をしようと独立した。
作品の特徴として鉛線に注目したい。本来鉛線は無加工が多いが、マサ首氏のものは、棘や血管のような加工を施す。また画像をフィルムにプリントしてガラスに挟み込んだり、シリコンを入れてガラス部分に泡を入れたりと斬新な試みだらけ。
教会のステンドグラスではなく、ポップでシュールで、グロテスクでもある。
ステンドグラス制作とはまったく異なるのがドローイングだ。制作工程を決めるステンドグラスに対し、ドローイングは下書きなし、構図も考えずに「感情にピントを合わせ、それを紙に転写する」作業だという。ちがった取り組みが心のバランスを保っているそうだ。
アトリエにあった神戸の大学時代の冊子の取材記事に「空間も含めた会場全体が一つの作品になるような個展を開きたいんです」とある。「今と変わらないこといってますね」と話していたのが印象的だった。今回はまさに場所との融合。グループ展ではあるが、ほかの作品を巻き込み、実は自らの作品としてしまうというテーマで臨む。この文章執筆時、作品の全貌は明らかではないが、彼にとって記念碑的な作品になり、新たなスタートを切ることができたら本望である。
本格的に作品を発表してまだ2年ほど。神戸の大学でデザインを学ぶがむしろバンド活動に専念。その後、東京で映像を学び制作会社に出入りした時期もあったが、求人情報誌でみたのがステンドグラスの会社で、そこで初めてその世界にふれるこ
とになる。もともと研究熱心、徐々に、「型にはまりすぎでは」「こうしたらよりすごいものが作れるのに」と考え、自由な表現をしようと独立した。
作品の特徴として鉛線に注目したい。本来鉛線は無加工が多いが、マサ首氏のものは、棘や血管のような加工を施す。また画像をフィルムにプリントしてガラスに挟み込んだり、シリコンを入れてガラス部分に泡を入れたりと斬新な試みだらけ。
教会のステンドグラスではなく、ポップでシュールで、グロテスクでもある。
ステンドグラス制作とはまったく異なるのがドローイングだ。制作工程を決めるステンドグラスに対し、ドローイングは下書きなし、構図も考えずに「感情にピントを合わせ、それを紙に転写する」作業だという。ちがった取り組みが心のバランスを保っているそうだ。
アトリエにあった神戸の大学時代の冊子の取材記事に「空間も含めた会場全体が一つの作品になるような個展を開きたいんです」とある。「今と変わらないこといってますね」と話していたのが印象的だった。今回はまさに場所との融合。グループ展ではあるが、ほかの作品を巻き込み、実は自らの作品としてしまうというテーマで臨む。この文章執筆時、作品の全貌は明らかではないが、彼にとって記念碑的な作品になり、新たなスタートを切ることができたら本望である。
宮下 真美(おぶせミュージアム・中島千波館)
The Works of Nakamura Masakubi
Nakamura Masakubi works mainly with stained glass and drawings.
Unlike ordinary stained glass works on which vertical lead lines are the norm, he processes the lead came into shapes like thorns or blood vessels, which are characteristic of his artwork. He makes his works look fresh and original by inserting film imprinted with an image between two or more pieces of glass, and utilizing silicon to glue them together, and sometimes to create bubbles. Contrary to stained glass, which requires an exact production process, his drawings are executed freehanded. The only thing he considers is “focusing on his feelings and transferring them to paper,” paying no concern to its composition.
He is determined to contribute to this exhibition with an ambitious theme of consolidating his works through assimilation with other exhibitors’ artworks on site.
Unlike ordinary stained glass works on which vertical lead lines are the norm, he processes the lead came into shapes like thorns or blood vessels, which are characteristic of his artwork. He makes his works look fresh and original by inserting film imprinted with an image between two or more pieces of glass, and utilizing silicon to glue them together, and sometimes to create bubbles. Contrary to stained glass, which requires an exact production process, his drawings are executed freehanded. The only thing he considers is “focusing on his feelings and transferring them to paper,” paying no concern to its composition.
He is determined to contribute to this exhibition with an ambitious theme of consolidating his works through assimilation with other exhibitors’ artworks on site.
Miyashita Mami(THE OBUSE MUSEUM The Nakajima Chinami Gallery)
開催会場
北信
信州新町美術館
- 住所
- 〒381-2404
長野県長野市信州新町上条88-3
- 電話番号
- 026-262-3500
- 開館時間
- 9:00~16:30
- 閉館日
- 月曜と祝日の翌日休
「シンビズム -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております