Artist
参加アーティスト
魲 万里絵
Marie Suzuki
>《導かれる》2014年
Works & Comment
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寒い中、ご来場下さいましてありがとうございます。
もうすぐ来る、芽吹きの春を心待ちにしています。
緑が燃え立つ夏の暑いときは、次の冬はどうすごしているのかを想像します。
いつか来る肉体の命が終る日まで、あとどれ位の距離にいるのだろうかと思います。
いつまで描いていられるかどうかわかりませんが、出来るだけ長く続けられたらと思います。
もうすぐ来る、芽吹きの春を心待ちにしています。
緑が燃え立つ夏の暑いときは、次の冬はどうすごしているのかを想像します。
いつか来る肉体の命が終る日まで、あとどれ位の距離にいるのだろうかと思います。
いつまで描いていられるかどうかわかりませんが、出来るだけ長く続けられたらと思います。
Thank you for coming to this exhibit even in the chill of winter.
I am patiently waiting for next spring when the trees begin budding, and sprouts begin to emerge from the ground.
On hot summer days when the green of plants is so vivid, I wonder how I will ever get through the coming winter.
I wonder how long my body will last.
I don’t know how much longer I will be able to paint, but I want to paint as long as I can.
I am patiently waiting for next spring when the trees begin budding, and sprouts begin to emerge from the ground.
On hot summer days when the green of plants is so vivid, I wonder how I will ever get through the coming winter.
I wonder how long my body will last.
I don’t know how much longer I will be able to paint, but I want to paint as long as I can.
>《鬼か神かが》2015年
>《うわっつらも もっていく》2014年
>《数には入れない》2016年
>《勝てない》2016年
>《口先軽やかな盗人》2016年
Profile
魲 万里絵 Marie Suzuki
絵画
学芸員の解説
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心の内奥を描く
鮮烈な色彩とうごめく文様。モチーフは、豊満な女性の裸体、顔、目、唇、手、性器、無数の乳房と脚、はさみ。過激な画面は、社会に対する挑発にさえ思える。
ところが、作家本人は作品の印象とは逆の、冷静で知的な、そして穏和な人である。問いかけには、自分の気持ちに最も近い言葉で答えようとする。
言葉への敏感さは、巧みな作品タイトル―たとえば「エリエリ・レマ・サバクタニ」(イエス・キリスト最期の言葉「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」の意味)、「ワゴンセール正義」―にも表れている。キリスト教系高校の生徒であった素養や女性であることへのストレスなどをシニカル(冷笑的)に伝えるものが多い。しかし、本人は作品とタイトルは直接関係がなく、そのときに思いついた言葉や、ニュースで心に残った発言を名付けるという。
2007年末から突然、現在のような絵を描きはじめた。それも色数や構図を増やしながらゆっくりと進化をし続けている。子宮から生まれる生命へのいぶかしさ、性に対する恐怖感や嫌悪感、そして、そうした感情と表裏をなす興味関心。描かれる乳房や性器、はさみは思春期の記憶が大きく影響しているそうだ。
2010年、フランスで開かれた「アール・ブリュット・ジャポネ」展に出品。以降、彼女の生活は劇的に変化した。海外への出品、国内各地での個展が相次ぐ。本展も2017年秋に開幕したフランス国立現代芸術センターの展覧会との並行作業となった。
繰り返しの表現、鮮烈な色彩、性的なモチーフなどの共通点から、草間彌生さんと比較される。男性など他者に対する嫌悪と関心を増殖させ、自らの存在をかき消そうとするような草間さんの表現に対し、魲さんが描くのは自分と同じ、女性の身体である。
「自分の気持ちにズレのないものを描きたい」。ごまかすことなく自己をみつめる作家は、しなやかに、巨匠を超える強さを秘めているのかもしれない。
私は、その強さへの憧れと奥底からの共感をもって応援し続ける。
ところが、作家本人は作品の印象とは逆の、冷静で知的な、そして穏和な人である。問いかけには、自分の気持ちに最も近い言葉で答えようとする。
言葉への敏感さは、巧みな作品タイトル―たとえば「エリエリ・レマ・サバクタニ」(イエス・キリスト最期の言葉「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」の意味)、「ワゴンセール正義」―にも表れている。キリスト教系高校の生徒であった素養や女性であることへのストレスなどをシニカル(冷笑的)に伝えるものが多い。しかし、本人は作品とタイトルは直接関係がなく、そのときに思いついた言葉や、ニュースで心に残った発言を名付けるという。
2007年末から突然、現在のような絵を描きはじめた。それも色数や構図を増やしながらゆっくりと進化をし続けている。子宮から生まれる生命へのいぶかしさ、性に対する恐怖感や嫌悪感、そして、そうした感情と表裏をなす興味関心。描かれる乳房や性器、はさみは思春期の記憶が大きく影響しているそうだ。
2010年、フランスで開かれた「アール・ブリュット・ジャポネ」展に出品。以降、彼女の生活は劇的に変化した。海外への出品、国内各地での個展が相次ぐ。本展も2017年秋に開幕したフランス国立現代芸術センターの展覧会との並行作業となった。
繰り返しの表現、鮮烈な色彩、性的なモチーフなどの共通点から、草間彌生さんと比較される。男性など他者に対する嫌悪と関心を増殖させ、自らの存在をかき消そうとするような草間さんの表現に対し、魲さんが描くのは自分と同じ、女性の身体である。
「自分の気持ちにズレのないものを描きたい」。ごまかすことなく自己をみつめる作家は、しなやかに、巨匠を超える強さを秘めているのかもしれない。
私は、その強さへの憧れと奥底からの共感をもって応援し続ける。
伊藤 羊子(一般財団法人 長野県文化振興事業団)
Expression of the Innermost of her Heart
Suzuki Marie suddenly started painting at the end of 2007 in the same style as she does presently. She renders her suspicious feeling about life which is born from the womb, her fear and hatred of sex, and curiosity about it as well, which is contra-positioned to those feelings, in her works. Her works have continued to attract the attention of viewers in Japan as well as worldwide since they were displayed at the exhibition “Art Brut Japonais” in France in 2010.
Her work is compared with that of Kusama Yayoi, a world-famous Japanese female artist, because of its similarity in the usage of repetitive patterns, vivid colors, sexual motifs and so on. However, contrary to Kusama Yayoi, who propagates her hatred and curiosity about the male sex, and tries to erase any existence of herself, Suzuki Marie, though a female painter as well, portrays (naked bodies and organs of) the female sex solely.
An artist with deep introspection displays a kind of strength surpassing that of Kusama Yayoi, a renowned master, in her bosom.
Her work is compared with that of Kusama Yayoi, a world-famous Japanese female artist, because of its similarity in the usage of repetitive patterns, vivid colors, sexual motifs and so on. However, contrary to Kusama Yayoi, who propagates her hatred and curiosity about the male sex, and tries to erase any existence of herself, Suzuki Marie, though a female painter as well, portrays (naked bodies and organs of) the female sex solely.
An artist with deep introspection displays a kind of strength surpassing that of Kusama Yayoi, a renowned master, in her bosom.
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
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Works
Profile
魲 万里絵さん出演番組 ETV特集 「人知れず 表現し続ける者たちⅡ」
開催会場
北信
信州新町美術館
- 住所
- 〒381-2404
長野県長野市信州新町上条88-3
- 電話番号
- 026-262-3500
- 開館時間
- 9:00~16:30
- 閉館日
- 月曜と祝日の翌日休
「シンビズム -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております