ARTISTS
山上 渡
絵画、立体インスタレーション
WORKS & COMMENT
作品&コメント
《セカイノセカイ》2010年
日本語テキストで読む
Read in English Text
私は劇場を作ろうと考えている。
演じるものと鑑賞するもの、悲劇と喜劇、支配と被支配、愛と憎悪、正義と悪、生と死、有限と無限、受動と能動。
これらが対峙し、混在し、そして無化する劇場となることを妄想している。
私の考える二項関係の間に生まれる生き物のような劇場は、舞台と客席を分ける仮定としての線引きを嫌い、傍観的な鑑賞者は実のところ演者なのかもしれないと考えさせるのである。
今、ふと世界を見渡せば極端なまでの差別や露骨な社会的分断が横行し、とかく人の世は住みにくい。
このある種の悲劇的世界に、支離滅裂で矛盾を孕む喜劇の劇場が亡霊のように立ち現れるのである。
そんな劇場を作ろうとしている。
演じるものと鑑賞するもの、悲劇と喜劇、支配と被支配、愛と憎悪、正義と悪、生と死、有限と無限、受動と能動。
これらが対峙し、混在し、そして無化する劇場となることを妄想している。
私の考える二項関係の間に生まれる生き物のような劇場は、舞台と客席を分ける仮定としての線引きを嫌い、傍観的な鑑賞者は実のところ演者なのかもしれないと考えさせるのである。
今、ふと世界を見渡せば極端なまでの差別や露骨な社会的分断が横行し、とかく人の世は住みにくい。
このある種の悲劇的世界に、支離滅裂で矛盾を孕む喜劇の劇場が亡霊のように立ち現れるのである。
そんな劇場を作ろうとしている。
I try to create a delusional theater, where opposite things such as performers and viewers, tragedy and comedy, rulers and the ruled, love and hatred, finite and infinite, the passive and active, confront each other, intermingle and then disappear.
The theater in my mind is a kind of delusive theater, like a living creature, born from antagonistic relationships, which defies the borderline between the stage and the auditorium as supposition and, in doing so, entices the expectant viewers to realize that they themselves might be the actual performers.
Observing the world, extreme discriminations and open social segmentations are rampant. It’s not easy to live in this world.
In this world - tragic as it is - a disjointed comic theater full of contradictions, conjures up like a ghost.
My idea is to create such a theater.
The theater in my mind is a kind of delusive theater, like a living creature, born from antagonistic relationships, which defies the borderline between the stage and the auditorium as supposition and, in doing so, entices the expectant viewers to realize that they themselves might be the actual performers.
Observing the world, extreme discriminations and open social segmentations are rampant. It’s not easy to live in this world.
In this world - tragic as it is - a disjointed comic theater full of contradictions, conjures up like a ghost.
My idea is to create such a theater.
《totem 04》2018年
《Rite of passage》2014年
《world of world-primal scream》2018年
《セカイノセカイ まれびとと夜明け》2016年
《ウシロノショウメン》2009年
《Tokyo Atlas00》2013年
NEWS
山上 渡の関連情報
2018
12/01
(土)
Profile
プロフィール
AWARD
おもな受賞歴
- 2008
- シンジュクアートインフィニティ入選
トウキョウワンダーウォール入選
- 2009
- 岡本太郎現代芸術賞特別賞
- 2010
- トウキョウワンダーシード入選
- 2013
- TOKYO MID TOWN AWARD 2013準グランプリ、オーディエンス賞
RELEASE
おもな作品発表歴
- 2001
- 個展(CASA DE BARRO/ペルー)
- 2004
- 個展「顔展」(nagne/東京都)
- 2005
- 個展「24 時間の公開インスタレーション制作」(E★stadio/神奈川県、横浜市)
- 2006
- 個展「宇宙の頭」(SHORT LINK CIRCUIT/東京都)
- 2008
- 個展「ウシロノショウメン」(8 Link Studio/大町市)
- 2009
- 「岡本太郎現代芸術賞展」(川崎岡本太郎美術館/神奈川県)、「越後妻有トリエンナーレ」(かまぼこ画廊/新潟県)
- 2009-2010
- 「Group show」(8 Link Studio)
- 2010
- 個展「ニシへヒガシへ」(ヴィオパーク劇場/松本市)、「“Japanese Inspired”Exhibit」(Mendocino Art Center/アメリカ)、「湖畔の原始感覚美術展」(麻倉/大町市)
- 2011-2014
- 「metamorphosis」(ギャラリー82/長野市)
- 2012
- 「NAGANO 新 CONCEPTUS」(山ノ内町立志賀高原ロマン美術館/山ノ内町)
- 2013
- 「TOKYO MID TOWN AWARD 2013」(東京ミッドタウン/東京都)
- 2014
- 個展「Drawing Works」(nagne)、「六本木アートナイト 2014」(東京ミッドタウン)
- 2015
- 個展「生命形態的形と増殖するドット」(横川創苑/広島県)
- 2017
- 「記憶の種」(Langgeng Art Foundation/インドネシア)
COMMENTARY
学芸員の解説
日本語テキストで読む
Read in English Text
プロローグ Prologue
山上はアーティストとしてきわめて異色な経歴を持つ。馴れ合いの日々を嫌い、15歳から日本、海外で放浪を続けた。放浪の旅では、今夜の寝床、明日の飯に困るという大ピンチを乗り切るために即興で作品を制作し、ときに大道芸などで食いつないだという。苦境を乗り切るために、自分に何ができるのかを冷静に見つめ行動しただけだというが、たくましさは半端ではない。
ある日、南米の少数民族の言葉と自分の名前である「ワタル」が、「つなげる」という日本語と同義語であることを知って、世界はつながっていると感じたという。それ以来「世界のつながり」は彼の信条となった。日本に戻ってからは、神社仏閣をめぐりながら放浪を続け、精神世界にものめり込んだ。
その後、信州に戻り粘菌の美しさと生態にのめり込んで山に棲んだ。ある日、仲間の壮絶な最期に向き合うこととなったが、その空間は荘厳な美に充たされていたという。このことは、山上の野性にも似た感性を突き動かし、制作に没頭させた。生み出したものは鎮魂と賛美であるが、自分の死も同様に美しくありたいとの願いを込めているかのようだ。
今回、山上はこれまでの表現を大きく変化させるつもりでいる。本人のコメントにあるように「分断」をコンセプトとした劇場をつくるのである。山上は、これについて、作品はあくまで「ツール」であり、今回は「序章」に過ぎないのだという。分断は、彼の信条である「つながり」とは反対の側にある。逆説的なアプローチなのか、それとも世界の矛盾や不合理に対するメッセージなのだろうか。
ギラギラとした風貌だが、こちらの懐にストレートに飛び込んでくる人なつっこさには、旧知のような親しみも覚えた。私との別れ際、「この先どうなるか自分にも分からない。いつも命がけでやっている」と、その目は語っていた。
ある日、南米の少数民族の言葉と自分の名前である「ワタル」が、「つなげる」という日本語と同義語であることを知って、世界はつながっていると感じたという。それ以来「世界のつながり」は彼の信条となった。日本に戻ってからは、神社仏閣をめぐりながら放浪を続け、精神世界にものめり込んだ。
その後、信州に戻り粘菌の美しさと生態にのめり込んで山に棲んだ。ある日、仲間の壮絶な最期に向き合うこととなったが、その空間は荘厳な美に充たされていたという。このことは、山上の野性にも似た感性を突き動かし、制作に没頭させた。生み出したものは鎮魂と賛美であるが、自分の死も同様に美しくありたいとの願いを込めているかのようだ。
今回、山上はこれまでの表現を大きく変化させるつもりでいる。本人のコメントにあるように「分断」をコンセプトとした劇場をつくるのである。山上は、これについて、作品はあくまで「ツール」であり、今回は「序章」に過ぎないのだという。分断は、彼の信条である「つながり」とは反対の側にある。逆説的なアプローチなのか、それとも世界の矛盾や不合理に対するメッセージなのだろうか。
ギラギラとした風貌だが、こちらの懐にストレートに飛び込んでくる人なつっこさには、旧知のような親しみも覚えた。私との別れ際、「この先どうなるか自分にも分からない。いつも命がけでやっている」と、その目は語っていた。
佐藤 聡史 (東御市企画部文化振興室・丸山晩霞記念館)
Prologue
YAMAKAMI is a unique artist who detests spending life cozily. When he was fifteen years old, he started wondering around the world. After returning to Japan, he lived in the mountains looking for slime molds and bathed himself in the spiritual world as well. He felt a solemn beauty in the heroic death of his friend, which moved him and awoke his wild sensibility motivating him to create masterpieces of art as requiem and homage. His belief has been “to remain connected” ever since he learned that his first name, Wataru, meant “to be connected” in the language of a minority group in South America. But, for this exhibition, he says that he would create a “theater” displaying the concept of “to be divided.” He also says that his work is only a tool for him, and he has just begun its “Prologue.”
Sato, Satoshi (Maruyama Banka Memorial Museum)
EXHIBITION MUSEUM
開催会場の情報
丸山晩霞記念館
東信エリア
- 住所
- 〒389-0515
長野県東御市常田505-1
- 電話番号
- 0268-62-3700
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 閉館日
- 無休
丸山晩霞記念館はシンビズム2開催期間中(2018/12/01~12/24)、丸山晩霞作品の展示はございませんのでご注意ください。
「シンビズム2 -信州ミュージアム・ネットワークが選んだ20人の作家たち-」会期中は開館時間、閉館日が通常と異なっております