ARTISTS作家一覧
丸山晋一SHINICHI Maruyama

略歴
| 1968 | 長野県生まれ、千葉大学画像工学科卒業 |
|---|---|
| 1993 | フリー写真家として活動開始 |
| 1998 | 博報堂フォトクリエイティブ |
| 2003 | ニューヨークへ移住 |
| 2019 | ニュージーランドへ移住 |
おもな作品発表歴
| 2001 | 写真集「SPITI」「Into The Spiti Valley」、写真展「SPITI」 (ギャラリーロケット/東京都) |
|---|---|
| 2007 | 「125 Magazine Japan Issue」展(ポール・スミス・ スペース/東京都) |
| 2007,09,11 | 「AIPAD」(Miami, USA) |
| 2008,11−13,19 | 「Paris Photo」(France) |
| 2009 | 「Kusho」(Bruce Silverstein Gallery / NY, USA)、「空書-Kusho-」(Blitz Gallery /東京都)、「Spheris Gallery」(NY, USA) |
| 2009-11,13 | 「Art Basel」(Basel, Switzerland) |
| 2009,11-13 | 「Art Basel Miami Beach」(Miami, USA) |
| 2009,11-14 | 「The Armory Show」(NY, USA) |
| 2010 | 「PULSE」(Miami, USA) |
| 2011 | 「GARDENS」(Bruce Silverstein Gallery / NY, USA)、「Water Sculpture」(Carnegie Hall / NY, USA) |
| 2012 | Art Fair (The Peabody Essex Museum / Salem, USA) |
| 2013 | 「Nudes」(Bruce Silverstein Gallery / NY, USA)、Art Fair (Boghossian Foundation / Brussels, Belgium)、Art Fair (The Crow Collection / Dallas, USA) |
| 2014 | 「Outside Looking In」(Lesley Kehoe Galleries / Melbourne, Australia) |
| 2015 | 「The International Show」(NY, USA) |
| 2019 | 「DRAWING THE LINE」(Bruce Silverstein Gallery / NY, USA) |
| 2023 | 「Shinichi Maruyama: Photographs 2006− 2021」(Blitz Gallery /東京都) |
STATEMENTステートメント
写真の実在
「一枚の写真を制作するのに3年かかってしまった、その記録。」
丸山晋一のWebサイトには、「概要」「作品」等と並んで、「光の彫刻」という独立したタブがある。冒頭の引用は、タブを開いたページトップで出会う彼の言葉だ。
え、3年?
スクロールを続けると、実験と結果が並び、まるで科学系のページに迷い込んだかのようだ。《Light Sculpture-光の彫刻》は、色を宿す一滴一滴の水の集合体として形成される虹の「肉眼では見えない美しさ」を表現する試みで、現在も継続中のプロジェクトだ。このアイデアを思い付いた時は、3ヵ月で完成する予定だったが、図らずも費やしたその歳月は、自然界に発生する現象を捉えるため辛抱強く待った3年、ではない。理想とする虹を自ら作り出すためにかけた時間だ。サイトに掲載している数々のトライ&エラーがそれを物語る。たとえば、日光のもとで原理通りに色が出るのかというテスト。自然環境からスタジオへと環境を変えた際に問題となる点の把握と解決策。水滴のサイズやら完全な球状やら光源やら画角やら。具体的な青写真を描き実験を重ね、方法論を構築したうえで仕事を進める、極めて論理的な体質の持ち主ということがサイトからうかがえる。
それもそのはず、丸山は千葉大学画像工学科出身だ。聞きなれない学問領域だが、学科案内にいう「化学や物理を基礎とし、人間工学の視点を取り込んだ総合工学としての画像の科学・工学」を学んだ科学畑の作家ということになる。ところが、である。
丸山の作品はエレガントなのだ。《Light Sculpture》は、豊麗の一言に尽きる。実験結果を示す数字の羅列は機械的であり、そこに情緒など見出せはしない。にもかかわらず、計算し尽くした効果を画面に収めたというだけでは到底表現できない風情を丸山の作品は纏う。彼のデビュー作《Kusho》は、空中に放った漆黒の墨が描き出す二度とない瞬間を収めた作品で、1/7500秒から1/2万秒という超高速シャッターを駆使した作品だ。試行錯誤のすえ完成したそれは、ダイナミックな動的描写でありながら静寂をたたえ神秘的ですらある。同シリーズは、2009年、アートの街、ニューヨークの写真アートギャラリーBruce Silverstein Galleryの個展において展示され、国内外で好評を博した。その《Kusho》から現在に至るまで、液体を扱い続けている点は特筆に値しよう。空中に液体を投げ込み生じる造形を撮影することで、自身が禅寺の庭から得た感覚を表した《Gardens》(2011)、空中での水のフォルムの変化を彫刻に見立てた《Water Sculpture》(2011)、ビールを通して日本の消費社会の特異性を表現した《Japanese Beer》(2014)、そして、虹の見える原理から肉眼では見えない世界を探求する《Light Sculpture》(2016~)。
丸山は《Water Sculpture》で、「空中に水を投げると、飛行中に重力に引っ張られて表面張力で破裂し、絶えず形を変えます。一瞬一瞬、水は〈人工的で自然な〉彫刻ともいえる美しい姿になります。私はこれらの美しい無常の水の彫刻を、その存在の本質が純粋であるまさにその瞬間に撮影することによって捉えたかった」と語っている。ここに作家の世界観が如実にあらわれていよう。実験データを取り理論上完璧であっても、液体の軌跡は作家の統御をかいくぐり自然の力が不可避に及ぶ。〈人工的で〉あり〈自然〉である様は、レンズ越しに世界を見据える丸山にとって矛盾ではない。妥協を許さぬ科学者の眼で対象を観察し実験を通して創り出す彼の美は、人知が及ばぬ自然の影響を是として受け入れており、潔く、心地よい。この潔さが、丸山の心の在り様であり、作品が纏う一種の麗しさに繋がっているのだろう。
画面を通じて写真を目にすることが当たり前になった現代において、アナログ媒体による現代アート写真は、写真がもつ物理的実体や対象物性について改めて考察する機会をもたらした。デジタル技術の利用はあれ、丸山の作品では、対象は質量をもち実在する何かであり、作品自体も実在する。その作品群の解釈を試みたとき、そこに介在する意図や写真を撮るという行為に対する、作家の興味深い選択の連鎖を目の当たりにすることになる。「遠くから見ると虹です。近づいてみると、そこに秘められた美しさを発見できます」と語る《Light Sculpture♯22,2019》は、サイズが大きすぎるためギャラリーには出品しておらず、本展での公開が楽しみな作品のひとつだ。見るというよりは、体感を通して作品を味わい、現代アート写真が暗示する物質性を考察することは、今の時代におけるあらゆる分野や文化についてわれわれが理解を深め未来を見つめることに繋がっていよう。そこには、「存在の本質が純粋」な大いなる自然への眼差しが寄り添うに違いない。
安曇野髙橋節郎記念美術館 冨永淳子
Reality in Photography
MARUYAMA Shinich pursues “beauty invisible to the naked eye.” The subject of most of his works is real liquid with mass. He contains liquid dancing in the air into an analog medium as fine pieces of photographs, such as “Kusho,” “Light Sculpture” and “Water Sculpture.” MARUYAMA captures and expresses beauty as being “artificial and natural” because even if he shoots the subjects according to his methodology built on his repeated experiments, a natural power still influences his works. Because of that, we view the interesting sequence of his choices against his intervening intention and act of shooting. His works will give you a unique opportunity to reconsider the materiality of contemporary artistic photography.
Takahashi Setsuro Art Museum of Azumino Tominaga, Junko










テクノロジーを活用することで、肉眼では捉えることのできない事象を発見し表現したいと思っている。
長野で生まれ育ち、好きな被写体にカメラを向けて楽しんでいた。
東京や海外でさまざまな仕事をし、今は撮りたいと思う被写体を模索中。
同じ事をし続けるのは飽きっぽい性格の自分には出来ない、でも好きなモノ、見たことのないモノなら撮り続けられる気がする。
原点に戻っていくようだ。
今回、故郷で展示の機会をいただけた事に感謝しています。
I would like to discover and express phenomena that cannot be seen with the naked eye by utilizing technology.
I was born and raised in Nagano and enjoyed shooting my favorite subjects with my cameras.
I worked at various projects in Tokyo and abroad, and am now looking for subjects I wish to shoot.
I cannot continue working at the same project because I have a restless personality that dissuades me from doing the same thing, so I still feel like shooting subjects I like or have never seen.
I sometimes think I’m returning to my origin.
I really appreciate having been given the opportunity to exhibit my works here at home this time.