SHINBISM | シンビズム | 信州ミュージアム・ネットワークが選んだ作家たち

ARTISTS

  • 《脱皮》2020年
    《脱皮》2020年
  • 《ドロップ ピンク》2017年
    《ドロップ ピンク》2017年
  • 《カメおどる》2020年
  • 《わたしをみているせかい》2017年
  • 《Beginning #7》2018年

中村ヒカルNAKAMURA Hikaru

中村ヒカル
日本語
ENGLISH

「空想」がテーマ。不安や恐怖など、とてもネガティブな心の状況を、空想することを通してポジティブなイメージに変える方法として、制作を行う。空想というフィルターを通して現実世界を見ることで、少しでも現実世界を自分自身が生きやすくしたいと考えるからである。モチーフとなっているのは身近な生き物や生まれ育った長野の山など、有機的な形である。土を成形して焼成し完成させる、陶芸の技法で制作した立体物とレリーフを展示する。

The theme of my production is “fantasy.” I produce my works as a way to transform very negative conditions of mind, such as anxieties and fears, into positive images through fantasizing. I view the real world through a filter of fantasy, because I wish to make it easier, however little, for me to live in. The organic shapes, such as living things around me and the mountains of Nagano, where I was born and raised, are the motifs of my works. Here, I will exhibit three-dimensional works and reliefs that are made with the technique of ceramic art by molding and firing clay.

略歴

1994 長野県伊那市生まれ
2013 長野県伊那北高等学校卒業
2017 京都芸術大学卒業後、同大学院入学
2019 京都芸術大学大学院修士課程修了
現在 京都で制作

おもな作品発表歴

2015 「京都同時代学生陶芸展」(元立誠小学校/京都府)、「どん丼いこう展」(ギャラリーH2O/京都府)、「第110回京料理展示大会」器の制作(京都市勧業館みやこめっせ)、「総合造形コース進級制作展」(ギャラリーマロニエ/京都府)
2016 個展「あなたのおともだちになりたい」(ギャラリーマロニエ/京都府)、「同じ窯の位相展」(ギャラリーARTZONE/京都府)
2017 「京都芸術大学卒業展」(京都芸術大学内)、「アジア現代陶芸展」(愛知県陶磁美術館)、「わん・碗・ONE展2017」(京都陶磁器会館)、「京都芸術大学修士課程1年生HOP展」(ギャルリ・オーブ/京都府)、作品を鹿児島県湧水町に寄贈
2018 「京都アートラウンジ」(ホテルアンテルーム京都)、「同じ窯の位相「うつわ」展」(ギャラリー久里/京都府)、個展「HAPPY BIRTHDAY」(同時代ギャラリーコラージュ/京都府)、公募展「SICF19」(スパイラルホール/東京都)、「京都芸術大学修士課程2年生SPURT展」
(ギャルリ・オーブ/京都府)、子供服の店「familiar」神戸本店展示花器の制作、「新進作家五人展」(京都文化博物館)
2019 「京都芸術大学大学院修了展」(京都芸術大学内)、「ART POINT Selection I」(GALLERY ART POINT/東京都)、「アーティストフェア京都」(京都文化博物館)、スターバックス京都バル店作品展示、「第70回華道京展」(大丸ミュージアムKYOTO/京都府)、「よいの形Part2」(多治見市文化工房ギャラリーヴォイス/岐阜県)、「第17回ZEN展」(東京都美術館)、Ing
...初心のどんぶり」(ギャラリーH2O/京都府)
2020 「ART POINT推薦8美大学選抜展vigor」(GALLERY ART POINT /東京都)
2021 「情念の形 二人展 川上建次と中村ヒカル」(LOAF/ 京都府)、個展「生活と空想」(京都陶磁器会館)、「薫ヶ丘美術展」(長野県伊那文化会館/伊那市)
2022 公募個展「トライアル・ギャラリー2022」(長野県伊那文化会館/伊那市)、個展「詩と雑貨」(ヒナタヤ/伊那市)

おもな受賞歴

2017 京都芸術大学卒業展 奨励賞
2017 わん・碗・ONE展2017 優秀賞
2019 京都芸術大学大学院修了展 優秀賞

STATEMENTステートメント

日本語
ENGLISH

「空想」を狭間に

中村ヒカルの陶芸作品は、手びねり成形による造形、それを細やかな装飾で覆いつくしている。ごつごつした岩肌のような質感の真っ黒い作品が印象深いが、対照的にカラフルな作品も多い。モチーフとなっているのは身近な生き物・物質や生まれ育った長野の山など、有機的な形である。

初見では全く別のテーマを持っている作品ではと思われるが、彼女の作品のテーマは、「空想」で一貫している。自分の恐怖や不安といったネガティブな感情を、ポジティブなイメージに変える方法として「空想」を用い、制作を行っている。少しでも生きやすくしたいと思い、日常で感じる怖いものやネガティブな感情を、楽しいものや安心するものに置き換え、考え、制作することが「空想」であるという。黒い作品は、おもに空想ができていく前のネガティブな気持ちや混沌とした風景を表現し、一方でカラフルな作品は、それらが空想を通してポジティブな気持ちや具体的な生き物になった様子を表現している。中村の制作方法は、土で形を作り、その上に細かくちぎった土を貼り付けて凹凸をつけていき、針やナイフでテクスチャー(装飾)をつけていくというものである。作品の表面を装飾で覆い隠すことで自分の心が安心するという。

どのようにしてテーマの「空想」が生まれたのか、手掛かりになりそうな経験が中村の幼少期に垣間見られる。中村は自身の幼少期を振り返った文章の中で、「人と話すのが苦手」「友達が少ない」「夢見がちであった」という言葉が出てくるが、作品のテーマに含まれた「日常で感じる恐怖」や「空想」につながっているのではないかと推察される。中村は1994年長野県伊那市に生まれ、現在は京都を拠点に、陶芸の立体作品や、レリーフ作品を中心に、銅版画も制作しながら、短歌も日常的に作っているという。中高生の時には演劇部に所属していたが、高校の美術の授業が楽しく、美術部にも入部し、京都芸術大学に進学するようになる。陶芸に触れたのは大学1年生の時だ。アニメーションを学ぶ学科に入学したが、2年に上がる際に立体造形を学ぶために転科をしている。それまでの学科ではパソコン作業が中心であったため、手を使って土の感触を楽しみながら制作することに魅力を感じたと語っている。

陶芸を制作しはじめて約10年。これまで銅版画、短歌、演劇など陶芸以外のことにも挑戦している中村は今後の活動の展望として次のように語る。

「日々感じたことを日記を書くような感じで陶芸やレリーフや銅版画として表現していきたい。日常的に短歌を書いているので短歌と陶芸を合わせた作品など作ってみたい。陶芸作品の表面のテクスチャーの形をもっと研究していき、陶芸の釉薬などもいろいろな色を試したい。」

今後も中村の陶芸作品の幅の広がり、他分野にも触れてきた中村の陶芸と他のジャンルを掛け合わせた展開などにも期待したい。

須坂版画美術館 梨本有見

Putting “Fantasy” in between

The theme of works by NAKAMURA Hikaru is “fantasy.” She uses fantasy as a way to transform her negative feelings, such as her own fears and anxieties, to more positive images and creates her works with that attitude. Her black-colored works mainly express her negative feelings, or chaotic landscapes before the fantasy was brought forth. On the other hand, her colorful works express positive feelings or concrete living creatures created from her fantasy. She says, “I would like to express my everyday feelings using ceramics, reliefs and cupper printings. At other times, I would like to incorporate my tanka (short Japanese poems), which I write on a daily basis, in my ceramic works. Moreover, I would like to try things, such as creating different textures and using a variety of glazes for ceramics.” I expect further expansion of the scope of her production.

Suzaka Hanga Museum Nashimoto, Yumi

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